Interview With Choi Bok Sil

Choi Bok Sil (pseudonym) discusses her childhood in Japan, her parents’ differing allegiances to North and South Korea, her return to the North with her father in 1961, and her experiences there.

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Choi Bok Sil was born in 1948 in Shiga Prefecture. Her parents came to Japan as stowaways from Gyeongsang Province after their marriage. Her father was active in Chongryon for quite some time, but stopped doing so to make ends meet. After that, he moved from place to place as a construction foreman who led a group of Korean workers. When Choi was little, her parents divorced, and she lived with her mother and older sister. Since her mother was suspicious about her husband’s activities at Chongryon and had some assets in Daegu, she supported Mindan. 

    When Choi was in the third grade in elementary school, her father suddenly visited and told them that they would return to North Korea. Her mother strongly disagreed and said that there would be only corn rice there. However, he was determined regardless. Although he was no longer an active member of Chongryon, he was always discussing the repatriation program with his friends. Naturally, he decided to go back to North Korea. Choi worked to find ways to avoid it and even thought of running away to Niigata Prefecture as she did not want to be separated from her mother. Eventually, however, she returned to North Korea at the age of 13 in 1961. 

    Upon her return, she was resettled in Wonsan. As she was good at sports, she practiced hard as an ice hockey player. Her mother sent her all the equipment she needed to play from Japan. Many who returned from Japan lived in Wonsan, and she had many friends. All of them were older than her. Unlike her, who only received money from her mother in Japan, other returnees were wealthy. The son of an executive in Chongryon was so rich that his wealth surprised visitors from Japan. Choi however, did not flatter them. It made them like her and tell her that she was confident and interesting. Having spoken Japanese all the time, her Japanese is still fluent and “interesting”. 

    She got married twice and was “expelled” to the countryside twice. In her first marriage, her husband was a returnee and they had 2 daughters. However, they were forced out to the countryside for a year because he played the guitar and sang about “bad ideology.” He passed away soon after. She was expelled for the second time due to the “returnee hunt” in her 50s. A friend of hers, Lee, ran a big restaurant used to receive videotapes from Japan along with cooking oil. They often got together with other friends and enjoyed watching them. One day, these videotapes were detected by the State Security Department. Lee and 20 other returnees including Choi were taken away. She was the only woman in the group. She was confined for 3 months and was pressured to confess who else had watched those tapes. She held her silence. 

    After her release, she learnt that Lee was publicly executed. As she felt in danger being an unmarried woman under these circumstances, she proceeded to remarry a local man in the upper class. Although she was still “expelled” to the countryside for a couple of years, she managed to get by. Her other friends were all shot to death. Their wives and children were taken to concentration camps. Locals were unsympathetic to their plight, as they saw returnees as an anti-social group that lived in luxury and only mingled amongst themselves.

    Over time, due to her experience of persecution and fleeing it, Choi became more adept at finding ways to get by and overcome dangerous situations. Years later, she feels she can still instantly tell if the person is trustworthy or not and acts accordingly. Looking back on her life, despite her brief brushes with the authorities, she feels it was easier to live in the North Korean society as the social ties between people there were stronger.

  • F: Interviewer 

  • C: 崔福実 최복실 Choi Bok Sil

F:今日は9月10日ですね。시 엔젤인아쓰카페です。선생님 お話を伺いたいと思います。よろしくお願いします。北に行かれてどんな暮らしをされていたかとか、なんで北朝鮮にいくことになったのか、お話辛いことも多いと思うんですけど、ちょっと細かい質問だったりもさせていただくかもしれません。

C:はいはいどうぞ。お聞きしてください。誰が聞いても別に。もう北朝鮮からこっちきてるんやから、怖いこともない。家族皆きてるしね。

F:それは何よりです。

C:でもね、お兄さんの家族はまだ残っているけどね。あそこはそこまで響くからね。しんどいよ。家族まで響く。だから、あんまり、偉いさんの悪口だけ言わなかったらいい。そう、私はいつもあそこでも偉いさんの悪口は言わなかった。それで助かってるんや。そうじゃなかったら私も殺されてるもんね。だから一回追放されたやろ。その経験があるから。それで、二度目に大変な事件が起こったのに、その時はもうこれは全員、20何人、ね。銃殺だって言われるところの、女は私一人入っとったんや。銃殺や、私も殺されるもん。 そこでも「これ」で助かったんや。

F:「口」で助かった。

C:やっぱりペテンが効かなあかんのや。どこ行っても。あほは死ぬで。ここが、

F:達者やったんですね。

C:達者でもぴーぴーぴー言うんじゃなくてね、これは言っていいやつと悪いやつね。

F:効果的にね。

C:そうそう。これはね、私も良心的に考えたら、これは、日本にいる在日がわからなあかんっていう問題なのよ。私がこれから言おうとするものたちは。もう、北朝鮮で大事件だったんだから。北朝鮮で総連屋の家族、お金を示唆している人たち、そういう人たちを捕まえて、そうなったから。大事件なのよ。私見た、20何人が銃殺と言われてるの。私も銃殺前まで行ってたんよ。だから帰国して、若い時に結婚してね、夫と離婚したわけ。子供3人産んで。その、豚箱に一回行ってきた夫ね。手癖が悪いのよ。

F:暴力があったんですね。

C:ほんで私気性があらいやん。私も強いやろ。はいはい、ってできへんから。でもこれまたしつこいの。捕まえたら話さへん。離婚するって言ったら殺すって来るしな。そんな男や。そういう、なんというか、家柄もいいし。인물도 잘 생기고 뭐 빠지는게 없어요. 그러다가 小さい時からわがままに育って、自分勝手なそういう性格を持っているわけ。それで離婚した。

F:在日ですか?

C:在日在日。名古屋の瀬戸市で一番金持ちやったんや。離婚したんや。

F:再婚はされなかったんですか

C:それが次出てくるねん。途中途中、とんでもないこと言ったら、順序が悪くなるから。

F:順序立ててね。

C:そうそう順序立てて、だから私大体書いてきたんや。話したいところは。

F:そうなんですね。私が伺いたいところは、本当に昔の昔に거슬러 올라가서

C:60年度に帰国して。

F:生まれは何年か教えてください。

C:私は48年生まれ。

F:何月生まれですか?

C:1月。

F:お生まれは?

C:生まれたのは京都。京都でもないな。滋賀県やな。

F:滋賀のどちらです?

C:それはよく知らんわ。生まれてすぐ京都に出てきたから。

F:そうですか。滋賀で生まれて、京都で、

C:そう。生まれてすぐ京都に渡って。

F:京都の市内ですか?

C:うん。渡ったけど、お父さんとお母さんがな、お父さんは総連の方の仕事を、あのときはね、総連じゃなくて、

F:朝連?

F:련맹って言ってたんや。連盟やな。련맹 っていうところでうちのお父さんが工作員として働いとったんや。うちのお母さんは給料も持ってけえへんし、子供らはあれだし、自分一人一生懸命働いて남편 혼낼라고. 혼낼라고私連れて横浜に行ったわけや。私はあの時赤ちゃんやったから。横浜に行ったけど、2、3年してな。家に帰ろうと思とったんやろ。남편 혼내기 위해서 갔으니까. 行ったらお父さんがさ、受け取らへん。一回出て行った女はもう絶対だめだと。

だからあの時うちのお父さん、お父さんとはひとつも안 닮아서 うちのおとうさん인물 잘나서.うちのお母さん私にそっくり。못생겼어.顔が悪い。背も低い。丸いし。全く私はお母さん似や。お父さんに似たらよかったのにな、と思っている。何しろ女もよくつくし、総連の仕事します、言ってな。(女性が)くっついてやろ、だからお母さん腹立ってな、そうやって出て行ったんやけど、それっきり。家族写真を写して、それで終わり。それで横浜帰ってきたんや。帰ってきて、お母さんが私と暮らしているうちに再婚したんや。妹がね2人いるわけや。2回目の、二度目の夫の仲で子供2人産んだんや。その人は、歳とったら大邱ってところあるやろ。大邱に息子を置いてきていて。한국에서 子供置いてから日本に行ったんや、そのオッサンが。

F:なるほどね。

C:せやから子供を一人置いていったんや。その子供が、あの、息子さんのいない、養子にはいったわけや。その息子さんが。だから大邱にいるんやけど、どえらい金持ちらしいわ。

F:そうなんですか。

C:そやからこのおっさんな、自分の息子のところに行ってみて、びっくりしてからな、帰ってしもたんや。年取って。歳とるだけ取ったからな。娘も日本に二人おいて。帰って来てしもた。だからここで亡くなったんや。これ(お金)には勝てないね。

うちの妹ね、種違いの妹が来たら、うちのお母さんと一緒に来たら、そのメヌリ(嫁)がうちのお母さん見たらはぁーって挨拶して、もう、さまさまにしてくれはったで。ほいで、帰ったあとな、朝鮮のタンスあるやろ。変なの、いっぱいついてるやつ。

F:飾りがいっぱいね。

C:昔それ流行したんや。それからお人形さんから何からもう、いっぱいなんや、日本から送ったんちゃうくて韓国から送ってきてた。その写真写したやつ私とこの北朝鮮に送って来てた。反対にな、大邱から送って来てた。大邱でもどえらい金持ちやで、言うて。うちのお母さんとこは、対して金もないのに、でも子供らが帰国してるからな、苦労してるいうことを知ってるから。食わず、買わずにして、お金を集めてお金を送ってくれてたんや。お母さんが、荷物。

帰国船が通っている時なんかは荷物なんか、ずっと送ってくれて。母親やからできるんや。お父さんやったらしてくれへんやろ。お母さんだからしてくれたんや。送ってくれたんや。そのおかげで私も子供を楽に育てた。

F:4人のうち、えっと、Cさんは何番目ですか?

C:私が末っ子。お兄さん2人、お姉さん1人。兄さんが2番目、3番目も兄さん。

F:お姉さん、お兄さん、お兄さんですね。そうか。わかりました。オモニは、日本に来る前はどこの出身かって、ご存知ですか。

C:大邱やと思う。お父さんの下で育ったから。あのね、私ままっこじゃない。だからよく殴られたよ。小遣いくれって言ったら殴ったり、お母さんが働きに行って、自分は仕事にもいかんと家の中でんと座って、私が小遣いちょうだいしたら殴ったりして、お母さん見てないところで。よう殴られたで、私。

F:見た目は格好良くて、総連もしているのに。

C:そうそう、顔がよくて何するの。そんなもん、仕事もそんなにしないしな。

F:活動家で?

C:活動もしてない。うちの実のお父さんは働きもので、活動のために、女がくっついて歩いたから、それでうちのお母さん焼き餅やいてそうなったけど、二度目のお父さんは働きもせえへん。こんだりこんだり。だから、韓国から日本に渡って。いくところないやろ。だいぶ、うちのお母さん行ったより遅く来てるみたい。いくところがないから誰かに紹介されたお母さんが一人でいるっていうから、そこに入ってきたんや。

F:息子さんがいるっておっしゃったんですけど、じゃあ、大邱に金持ちの息子さんがいるそのアボジは2番目のアボジですよね。

C:そうそう

F:ですよね。

C:一番上の、はじめのお父さんは総連の仕事をしたし、だから給料も全然もらえないじゃん. 련맹 때 はね。自分の良心でやって戦っていたから。あの時は日本人の警察が朝鮮人やって言ってからなんか、悪いことせんでも悪いことしたって言って殺したりなんかするから、それで団体でその、ある人間が警察を殺したみたい。それをうちのお父さんがもって。お父さんは殺してないんやで。せやけど、誰かが一人逃げ回ったら、その捕まっても殺せないから大丈夫や。逃げ回ると、あいつが殺したんや、だからそいつを捕まえろっつって、基本殺した人間に神経あんまり使わないじゃん。そんな具合にして逃げ歩いてたんやて。私も聞いた話やけどな、うちのお姉ちゃんから。お姉ちゃんから聞いた話。うちのお父さんはそういう風にして、逃げまわったりしてる時、ある女の家で、やっぱり、女の家じゃなかったら囲んでくれへんわな。食わして食べさせて、抱いてあげて。食べさせてもらったんやろ。それをうちのお母さんがどこかで聞いて、やきもち焼いて。そりゃ焼き餅焼くわな。

でも、逃げ回ってる時に、ちょうど正月、明日正月やって言う時に、お父さんが来たんやって。家に。うちのお姉ちゃんの話や。お姉ちゃんだけぱっと起こしてから、出てこいって、外に呼んで、お金と、なんか正月な、使うようにって。女からもらったんやろ、と思うけどね。働いてもないのにどこから金出るの。 お金くれたって。お父さんが、帰ってすぐお母さん깨우지 말라って。自分が帰って10分くらいしてからお母さん起こしなさいって。それからお母さんに言いなさいって、行ってしまったんや。それで、家に、お母さん寝てるやつ起こして。お父さん来て、お金くれたよって言ったらな、お母さんカンカンになって。このカシラが、私がお父さん찾지 못해서ほっといて、そんなしてたらお父さんの味方とって、お父さんのいう通りにしたって怒っちゃってからさ。それで、うちのお母さんね、死ぬまでうちのお姉ちゃん憎んでたわ。そうやってお父さんの味方ばっかりとるから。自分の味方とらなあかんのに、娘っつうのがお父さんの味方するって。

F:娘はね。

C:また、うちのお姉ちゃんが一番上やから。したはもう아무것도 何もわからへんやんな。それでも荷物は똑같이送ってくれてたけどね。ちゃんとお姉ちゃんも一緒に送ってくれてた。うちのお母さんの一生というのは、そうやって二度目の旦那も、そんなんやったし。一生懸命働いても働いても、はたらけどはたらけども、苦労ばっかりして、うちのお母さんは一生苦労して、本当はすごく大邱でも、校長先生の娘やったんや。だから生活はちょっと良かったんや、うちのお母さんは。そやのに、だから顔悪くてもあんな、美男子な。

F:顔・・・悪くないんじゃないですか?

C:いやいやこの顔だっつうのに。

F:이쁘신데

C:うちのお父さんはあの時日本と行ったり来たりしてるときやねん。昔だけど。なんや、ここでも、昔は、일본에 갔다 왔다って言ってからね。結構見る目が違うらしいわ。ここに来た時に。だから、見合いしたらええ顔してるし、もう日本行って来たって言うてるしといってから、その校長先生の家で、一人娘や、うちのお母さんが。そこに嫁に行ったんや。

F:こっちで、남한で

C:そう。結婚して。ほんで、子供を産んで。私を産まずに3人産んで。3人産んだのにお父さんが、なんか日本のお金を持って来たって。しらんけど、それはもうはっきりしたことがしらん。何しろ日本に行って来なあかん言うて。日本にまた渡っていったんや。渡って行ってまた帰って来へんやん、お父さんが。うちのお母さん、もう、うちのお父さんハンサムやからな、また女がくっついたって言うから、必死で子供ら連れて、3番目の息子をおんぶして、闇船乗ってから、追っかけて。 金の指輪よなんよって金いっぱい持っていったから、金持ちの娘やったから

F:お金に変えて

C:うん。そこのなんか、どこ?수용서あるやろ? なんの수용서 ?

F:수용서?大村?

C:おうおう。あんなとこ、そこに入れられようと思ったんやけど、警察に指輪取ってあげたりしたって。

F:あいご

C:子供らいるから助けてくれって。そしたら、反対にこっちから行けって教えてくれてたって。

F:そんなことがあったんですね。

C:それで助かったんやって。それで探して行ったら、今度はうちのお父さんがな、どこかのヤクザのな、日本人やけど、なんかヤクザみたいな団体のところで、居てたって。そこの娘がまたその、うちのお父さんに惚れて、一緒に暮らしてたって、その家で。ヤクザの親分の家で。それでから、付き合って渡って渡って、朝鮮人の話聞いていろんなところ行ったら大体通ずるわけやね。それで、そこに探して行ってから、そこのヤクザの親分が、男らしいねん。できてる男や。本妻が来て、子供もまた連れて来てる。自分の娘はまだ子供うんでない。だから、返してあげなさい、自分の娘に(言った)。うちのお母さんとこに帰ってきたんや、お父さんが。そのヤクザの親分ができてるねん。戻してくれて。それでお母さんと暮らして。その後総連の仕事をやり出してから、あんななって。なんだかんだなんだかんだしてから、

F:その무렵에産まれたんですね?

C:そうそう。その무렵에最後に私が産まれたわけね。そこの滋賀県で。

F:では他のお姉さんお兄さんは朝鮮で産まれてるんですね。

C:一番上の姉さんは朝鮮で産まれてるかな。大体3人連れてった、言うのを見たら3人みんなここ(韓国)で生まれているみたいような感じやな。私の考えでは。

F:大変でしたね、子供を連れて

C:私を連れてな、お母さん出て来たやろ。それで横浜に出て来てさっき言ったみたいに2度目の旦那さんと暮らしてて、うちのお父さんが、私はやっぱり自分の子供やといつも頭の中で、赤ちゃんの時しか見てないのにね、自分の정자だ、自分の種だって、私を連れて、帰国するって言うわけや。なんで帰国するんかいったらな、うちの큰오빠 うちの兄さん、大きい兄さんが、兄さんじゃなくて、姉さんが家出したんや。家出してキャバレー行って仕事したんや。朝鮮人、学校も出てへんからな。昔はあんなもう、だから水商売の仕事をしたわけや。お父さんそれどこかで聞いて気絶しそうになってからな。(笑) だから、帰国する!ってなったわけや、姉さんのために。

F:姉さんのために!

C:姉さんがあんなしてキャバレー入ったんや、家出してから。どうにかもうこうして連れて帰ってきた。その時はもう結婚する相手がいたんや。

F:お姉さんに?

C:うん。居てたんや。その、結婚する相手がいてたのに、その人も後で帰国するって言ってたんやけど、結局はうちの姉ちゃんが来るなって言って、ここはもうすごいところやから。その人が何度か姉ちゃんにね、荷物を送ってくれてたわ。それでも愛人や言ってな。自分も結婚したあとは、送って来なかったけど。何しろ何度か荷物を送ってきはったわ。お姉ちゃんの愛人が。

F:それじゃ、ちょっと整理します。帰国をしようって言ってたのは、本当のアボジがですよね。

C:そうそうそう。二度目は関係ないねん。

F:総連の活動をされている中で?

C:そうそう。

F:なるほど。納得が。

C:わかる?

F:はい、合点がいってます。

C:総連の方やから、総連に向いてるから。帰国船のそういう사업も。

F:そういう사업も、アボジが?

C:사업 はしてない。お母さんが出て行ってからはうちのお父さんは、総連の仕事をしなかった。なんでかって、できない。3人の子供を育てなあかんのに、自分がどないして、総連屋なんて給料これっぽちしかくれへんのに、できないよ。だからあの時は土方の親分をやってたわ。土方の、なんか、飯場みたいなやってた。私が、うちのお母さんと一緒に行ったら、人夫たちが50人くらい居てた。汚いふとん引いてからな、長い家でな。そこでうちのお父さんが責任を持って、なんか土方の親分やってたんや。

それで、人をこうね、다스릴 줄 아니까. お父さんはね。頭は悪くないんやけど、でももう、大学出ているわけじゃないし、学校なんて出てないしな。ちゃんとした仕事はできないし、商売根性はあんまりないしな。それしかできないわな。うちのお父さんやったら。その仕事しか向いてないわ。それで、食べるのは大丈夫やった、人夫つれて仕事してたから、お父さんとかわな。それなりに、金持ちじゃないけど、食べるのは食べていけたんや。そやけど、そやけどお姉さんがそうやって家出して。その人夫のところでうちのお姉さんが、ご飯をしてあげたんや。おばさん一人連れてきて、おばさん二人か。二人とお姉ちゃんと三人でその50人のご飯をしようと思ったら大変や。

だからお姉ちゃんもそこで仕事をしていたんや。なのにうちのお父さんホウケン(封建)が強いからもう、うるさいしあれやから家出してしもたんや。(笑)ご飯してくれる人二人いるから安心して家出したんや、姉ちゃんが。それで家出したのに結局な、キャバレーに行ったって言うからな。キャバレーかバーか知らないけど、どっちか知らないけど。何しろそういう水商売の仕事してるっていうこと聞いて、お姉ちゃん連れてきて、ああ、自分は。でもお父さんね、子供3人いるから絶対再婚しなかった。

F:子供3人っていうのは、

C:私はお母さんとこ行ってたじゃん。お母さんが赤ちゃんのとき連れて行ったじゃない。だから3人や。

F:3人は別で暮らしていたんですね。

C:そう、私はお母さんと横浜で暮らしていたし。

F:タネ違いの妹が二人、というのは?

C:それはお母さんのところ私が行って、二度目のお父さんのとこから産まれた子が二人いる。

F:それでタネ違いか、なるほど。

C:お腹は同じやけど。みんなね。タネは違うの。

F:(実の)アボジは特に再婚はされなかったんですね。

C:再婚してない。お母さんがいつも疑って、女がついてるって。しょうがなしに女の付き合いもしたと思うけど。

F:女性が多かった?

C:そうそう。女、あそびじゃなくてな。まぁ、きれいな女遊びだと思うけど、何しろ私が帰国する当時ね、お父さんが、連れにきたんや。お父さんは名古屋にいて、私は横浜にいたのに、自分の친구連れて。自分の娘やから連れて帰りますって。だから、2番目のお父さんの子供が二人いるやんか?女の子が。だから私は連れて帰りますって、横浜にきたわけや。お父さんが。来てから。

F:それはおいくつくらいの時ですか

C:ちょうど私がね、小学校、3年かな?そのくらいの時。それで、連れに来てから、いや、うちのお母さんが、Cちゃん連れて못간다言うてから、自分は死んでも離さへん。こうなったから、ほんならしゃあない言うて。うちのお母さんと私とその妹、一人の時な。連れて、お父さんとこ来たわけや。名古屋に。お母さんが、だから、私を出すの嫌やってこうなったから、その、お父さんとあれしてから、連れてったんや、名古屋に。私とお母さんと、妹と。

それで名古屋に行って、小牧の飛行場があるんよ。人夫連れて仕事していたのに、お母さんがそこでご飯なんか炊いてあげたりしてるのを私は薄々わかってるんよ。写真なんかもあったしな。やっぱりうちのお父さんから見たら、下の妹はかわいくないわな。

F:自分のこどもじゃないからですよね。

C:そうそう。それでまた、兄妹も別にな、あの子はかわいいと思わないわな。私だけがその妹をかわいいと思う。だから、結局うちのお母さんが、追い出されてしまうねん。うちのお母さんどないするかと言うたらな、うちのお父さんがうまいことして、家一つ買うてあげて、その子の名前サチコっつうねん。さっちゃんとお母さんを家ひとつ借りて、ここにいなさいって。うちのお父さんが。仕事の都合でまた他行かなあかんから、なんやかんや何か騙してからな、家一つ借りて。私は、(朝鮮学校の)小学校。そこに寄宿させたの。わざと。だから(父が)お母さんと離れさそうと思って。それで私は、そこに寄宿舎なんてないんだよ。昔、小学校やもんな。だから、その時はまた、小学校寄宿舎にいる時な、お母さんの家はどこや、お母さん家ある言うてたけどって、お兄ちゃんに言うたら、その兄ちゃんも小学校6年くらいの時やから「オモニのところ連れてったろか?」言うてから。(家に行くと)えらい近いとこ。お母さんの家があるんや。

F: だから名古屋の小学校、朝鮮の小学校。うちのお父さん、総連やから、朝鮮学校入れるわ。

F:守山に朝鮮学校があったんですね。

C:あるある。今はどうか知らないけど、あの時はあったんや。その学校に寄宿していたのに、お母さんいるっていうから探していったんや。探していったら、犬の足跡ばっかりで、そこに犬、育ててたみたいや。お母さんが。だから、そこで暮らしていたけどあかんから、また横浜に帰っちゃったんや、お母さんが。もう自分は見捨てられたと思って。お父さんも家だけ買うてあげて来もせえへんから、お母さん(横浜に)行ったんやろ、と思うよ。なんで行く?横浜に。で、横浜に行ったら横浜のお父さんが、ちょうどそのお母さんとお父さんと向こう行く時にそのお父さんに目をつけている女が居てたんや。だから(母を横浜に)行かせたわけや、二度目のお父さん。あの時うちのアボジが連れに来てたやろ?横浜に。その時にそのおっさんに女がちょっとできてたんや。そやから行かせたんや、お母さんを。

そやのに、うちのお母さんが、それでも行くところないから、その家探して行ったら、お父さんが他の女と暮さんと一人で居てたて。2番目のお父さんが、その二階建ての家で、一人で暮らしてたんや。うちのお母さんは甲斐性があるからな、家も二階建て建ててな、自分のお母さんの甲斐性やで。お父さんなんかなにも出来へんねんから。その間に、そのお父さんが二度目の嫁さんもろたけど、再婚したけどやで、働かへんし、女も働かへんからうまくいかんわな、そら。それでまた別れちゃった。それで今度うちのお父さんが、ちょうどその時に帰って来たわけや。そやからまた一緒に暮らして、その次また妹一人産んだわけや。

F:なるほどなるほど。

C:わかる?

F:はい。

C:それでまたもう一人が産まれたわけや。それで妹が二人になっちゃったわけ、ね?二人になっちゃった。

F:なるほど。そうですか。すごい話、

C:それで私はそのまんま、小学校通って。うちのお父さんが今度はね、瀬戸の方に工事があるからって。あの、あの、土方っていうやつはね、移動するのよ。ここがもう建設が終わったって言ったら、また向こう行ったりこっち行ったりするんよ。だからうちのお父さんについてまた、瀬戸に行ったんだよ。

F:そこにも朝鮮学校があった?

C:そこにもそうそう。朝鮮学校ね。

F:転校したわけですね。

C:え?

F:学校変わっちゃった?

C:そうそう、転校するよ。名古屋から、瀬戸から、よ、こっちまでこれないから、瀬戸の学校にもあるから、その学校に通ったわけ。

F:そこでも寄宿舎があった?

C:いやいや、そこは家から通った。うん。学校から近いから。家から通ったんやけど、

F:ちょっと話を戻すんですけど、じゃあ小学校3年生までは?

C:小学校3年生の時は横浜で。

F:それまでは小学校1年生から3年生までは、

C:それまでは横浜

F:横浜の日本の学校?

C:それも朝鮮学校

F:そうですか。横浜はアボジがまだ、なんや、その、朝鮮学校に行けっていうわけじゃなかったと思うんですけど、

C:知らない。どうなってから行ったのか私は、朝鮮人やから朝鮮学校に行かせたんやろ。

F:じゃあ、小学校は何度も変わったんですね。

C:そう、うちの、私のお母さんの運命があんなんやから、私もトントン・トントン♪いっつも飛んで、あっちこっち、あっちこっちね。もう私の一生も考えたらね、まぁよくもまぁ、トントン・トントン♪飛んで、引っ越してたわってね。同じところにいないで。

F:선생님の人生もそうですけど、オモニは本当にもう、

C:そうそう。

F:苦労というか

C:そうそう。うちの母さん昔の人間やから、うちのお母さんがな、日本に、日本から朝鮮に、北朝鮮に手紙書いて送るときになんて書いてるか言うたらな。 自分の家からな、ちょっと離れたところに、うちの、横浜のあるところ、堤防ちょっと上がったところに、山の横や。そこら辺に空いた土地があるからな、畑を耕したんや。朝鮮人やから。で、畑を耕してじゃがいもを埋めたんやって。そしたらな、じゃがいもを掘っていたら、아이고,なんでじゃがいもはこんな小さくて大きく、たくさんついてたらええのにな、なんで自分に子供がそんなして、あちこちでな、産んでからな。自分の運命、한스럽다、言うてからな、手紙が来てた。 北朝鮮に(息子、娘が)4人も行ってるから、それを送ろうと思ったら大変やんか。せやからそういう手紙が来た。泣いて書いた手紙が来てた。

だからオモニは大変なんやな、うちらのために、と思って。それでもね、子供っつうのはアカンな。お母さん苦労したことは考えんとな、自分は送ってもらわなあかんっていう頭しかなかったよ。北朝鮮に。頭の中はただ(荷物を)送ってもらわなあかん、それしかなかった。お母さんが苦労してるって子供の頃は。自分が親になって初めてお母さんの気持ちがわかったの。子供の時はわからなかったな。 親になって初めて自分のお母さんがどれだけな、苦労したか言うことがわかった。うん。で、うちのお母さんはそれでもう一生この(苦労を抱えて)それでうちの母さんは半分、この、もう歳やから、お母さんも歳やから、もう、そんなしてあんたらにずっと送ってあげることもできへんでって、なんだかんだ手紙で(書いて送ってきた)。

そうなった時に私が、ちょうど、원산がね、ほら、원산ちがうね、北朝鮮自体が、もう、食べるもんも食べられへんし、고난의 행군に入ってから、乞食だらけで人殺しは起きるわ、泥棒はされるわってそういう時に、ちょうどお母さんが、もうあんまりな、お母さんも歳やからなって妹から(便りがあった)。だから、その後からはお母さんが送ったんじゃなくて妹が送っていたわけや。継いで、お母さんが泣き言言うから。泣き言いうから、妹が二人でなんだかんだって集めてな、送ってくれた。だからアクセサリーとかあんなんいっぱい送ってくるやろ。お母さんがなんでアクセサリーするんや?妹やから、もう一回二回使うたアクセサリーなんか来てた。それでまた、うちの妹は旦那さんがなんか、パチンコみたいななんか、ビルディング持ってたから生活もよかったから、送ってくれてたのに、日本も、あんときさ、90年度の終わり頃になったら日本も大変な時や。

F:ああ、バブルが爆発しますね。

C:そう。だから日本も大変な時になってきたから、今度は送ってくるのは、実のお母さんからでもない妹から送ってくれたところに、日本が大変となってきたら今度は、もう送ってこないかわからんなっていう時や。それで、もう話聞いたら逃げてるっていうからな。

F:逃げてる?

C:北朝鮮から韓国に逃げてる人間がいるって噂聞いたわけや。

F:ああ、なるほど。そういう人たちがおるっていうことを、ですね。

C:うん。その前に私はね、その、そういう、その前に、その、このなんか、そこまではうちのお母さんの話やったけど、私がこの、なんや。うちのおっさんと離婚して、一人でいる時に、帰国者は帰国者同士で付き合うわけや。

F:そうですよね。

C:私も13歳でここに来ているけど、なんで日本語べらべら喋るか言うたらね、帰国者とばっかり喋るから、日本語忘れない

F:わすれなかった

C:20歳すぎた人が行ってもな、帰国者としゃべらへんかったら、日本語片言でおかしいねん。私はそういう付き合いが皆年上だったし、それでそういう帰国者同士で付き合ったら、送ってくるやろ、みんな総連屋の幹部の息子だとかな。それでまた、金のある商工員たちがな、北朝鮮に金を寄付している息子にお金をばんばん送ってくるわ、日本にいるよりええ生活するわ。

F:そうなんやね

C:その人たちは。日本の人が来てびっくりするくらいやからな。あんたら、私よりええ生活してるやないのって言うくらいやから。うん?だから、そんくらいな、100万送って来たらな、1年暮らせるんやから。100万つうのも金持ちが100万やで。普通の人間は20万で結構や。私なんかもう、100万なんか送って来たことない。20万円やな。なのに、ちょっとした、もう잘 살면 100万くらい送ってくるわけや。そしたらもう、외화 상점行ったら日本の家具ぱかぱか買って、貧乏になってきたら自分の使っとうやつ売りに出るやろ。ボロの安く買うて、入れるやろ。そやからもう、送ってこない人はすっからかんにみんな、金のなる人に売って、乞食になって行くし。送ってくる人間はもう、安くばんばん買ってから家の中ピカピカにして暮らせるし、家も大きな広い家に引っ越すしな。

F:ああ、引っ越せるんですか?

C:そうよ、もう自由よ、カネだけあったらなんでも。北朝鮮はめちゃくちゃやで、カネだけあったらなんでもできる。

F:資本主義ですね。

C:そうそうそうそう。変なところや。思想だけはあかん。この思想だけは絶対あかん。だけど、もう、金だけあったら幹部ももう、乞食みたいだから、金だけくれたら言うことよう聞きよる。ほんで、その帰国者たちが、問題やねん。集まったらみんな麻雀するやろ?私もそこで麻雀覚えてから。麻雀やって。今、日本から麻雀持って帰って来たよ、ここ(韓国)。うちらの子供と三人で麻雀、

F:麻雀されてるんですか。(笑)

C:あの子らも北朝鮮いる時に(麻雀を)教えてあげてたから。北朝鮮やることないやん。テレビ見なかったら麻雀、花札、トランプ、それしかないやん、やることが、な?だってその麻雀グループ言うたらちょっと金のある人たちや。もうトランプ言うたら金のない人。花札言うたら婆さん連中、こう決まっとうねん(笑)それがね。その麻雀グループが結局、ちょっとある人間たちは、類は類を呼ぶ言うてな。ある人間はある人間同士集まるわけや。私はそこまでないけど、ちょっと強い方やったからな、私は(笑)。その仲間に入っているわけや、私は。ほいで、その、グループなんかとどっか行くって言うたら、いやぁ、Cさん 없으면 재미없어〜言うてから、私ちょっと面白いねん。

F:(笑)

C:ものすごくケッコウ(滑稽)で面白いねん。せやからもう、日本のみんなに、

F:民団の?

C:民団のおばあさんたち集まるところあるやろ?そこもね、通ってたんよ。おばあさんが面白い言うてから、そうそうそう、これ(お金)までくれてたんよ。

F:そうでしたか。そんなに。

C:寂しがってたから遊んであげて。これもらって来てたよ。

F:みなさん寂しいんちゃいますか、今

C:そうそう。だからそうやって、私ちょっと面白いのよ。 それで、堂々としているし。そこで、友達たちがやっぱり面白いから、どっか遊びに行くって言ったらみんな車もってるねん。私は車もってないけど。みんな車持ってくるから車持って遊んで、遊びに行ったり、どっか行ったりどこ行ったりって、車持ったらみんな自分の車持ってたらな、バスまであったんや。”李○”言うの、書いとき。李○っつう人が、バスなんか(日本から)送って来てたし。バスの一番後ろは寝台になって、キッチンまで着いてるそんなバスまで送って来てな。ほいでもう、車のないオナゴたちはみんなそのバスに乗って、車のあるやつはみんな車乗って、ほいで、遊びに行ったりするんよ。ほんで、帰りに川辺によってバーベキューして食べたり。地元から見たら憎たらしいわな。あいつらはほんとに건방지게やな。何様やって、あんな、あ?そりゃ怒るわ。

F:なぜそんなにバスとか持ってたんですか?

C:送ってきてたから。

F:日本で家族はどんな人だったんですかね。

C:親戚から送って来たんや

F:総連?

C:総連じゃない、あ、そこは総連や。

F:事業家とか?

C:そうそう、総連や、そこは総連屋。実のお父さん、死んだお父さんが総連屋やったんや。その、お父さんがそういう仕事をなんかやってたんやろう。だからお金になる仕事をやっていたから、お金があるからバスも送ったり、タクシー、タクシー、あの時원산にタクシーなんかなかったんや。そこからタクシーがもう何台も送って来たり。トラックがもう何十台も送って来たり、そんな家や。だから、そのグループが、そんなグループなのよ。わたしだけが乞食みたいに何もないけど(笑)私だけ、私が一番ないけど、一番威張ってたんや。(笑)だから私、憎まれんとこと思ってみんな、おべんちゃら使うんや。嫌われたらな、ゴツンていくかと思って。

何しろそういうグループで、麻雀やったり、ビデオを見たり。だから、結局麻雀なんかやったりしたらな、麻雀やってる時は喋らんけど、一杯今日やろうかって、そうやなって宴会しようと。宴会なんかしたらな、そういうところで、言っちゃあだめなことを言っちゃうわけや、帰国者はな。「ここの제도はなっとらん」とかさ。김일성終わって助かったと思ったら、今度もっとすごいやつが김정일いうやつが,김정일が出て来よったとかさ。あんなこと言ったことがあるねん。それはばれたらもう、殺されるわな。それがバレる前に、ビデオでひっかかったわけや。

F:ビデオ

C:ビデオテープ。だからな、そのビデオテープがな、どないなって引っかかったか。日本でも(日本の親戚に)あんまり送って送ってって。今度はな、北朝鮮やることないし、映画でも見たい。(日本の親戚が)そうか、そしたらドラム缶にな、ビデオテープなドラム缶の中にいっぱい入れて、(日本の家族が)送った。それがばれちゃったんや。

F:映画とか。

C:そうよ。ドラム缶取ってみたら、ビデオテープやろ。そしたらな、そういう黄色い思想、思想をばらまくためにそのテープが来たって言うレッテルを貼られたわけや。それで、その李さんっちゅう人わな、李さんが引っ掛かったのに、結局その周りの付き合った人間全員、

F:全員?

C:全員捕まったわけや。奥さんたちは連れてってない、子供も連れてってない。ただ、旦那さんだけ。そこで、おなごは私一人。これなんで私がおなごやのに連れて行かれたんかなって思ったら、そこの、あの、他の人がみたら私が親分タイプ、姉御タイプみたいな感じでやってるから、あれが너구리じゃないの、タヌキじゃないかって、こうなったわけや、私が。

私が、日本から義務を受け取ってね、ここに来て、なんか悪いことを指導しているんじゃないかって、結局私が親分になってるんやないか。はっはっは(笑)だから女は私一人捕まってったっつうの。な?だから、私もちょっとやりすぎたかなと思ったくらいや。あんまり出しゃばりすぎたなって。

F:でもそのでしゃばってるっていうのは、じゃあ友達が密告したっていうことですか?

C:そうそう。その中で何人か先に入った人間が、あいつはなんやこいつはなんや聞くわけ。聞いたら、私のこと、ちょっと特別な女性がいるって、こんな感じで私をチクリしたわけや。

F:実際には何も送ってもらっているわけでもないしね、何かあるわけでもないのに。

C:私ってもう、知れた金しかこないしやで。私が무슨,スパイだったらもう、すごい金持ちでな、あんた、上からお金がくるやろ?せやけど何しろ、保衛部では、誰でも名前が出たら捕まっていくねん。捕まえていくんよ、誰かが名前を出したら、良くても悪くても捕まえていくわけよ。だから私はそこでね、男が20・・・20人近くの男が捕まっていったのに、そこの中に私一人がまた入ったわけや、帰国者の中で。で、私はもう総連屋でもない、商工員でもない、

F:そうね、金もない、何もない、やのに、ね?金あったって知れた金や、ほんとちょっぴりしかないのにやで、私はその中のグループの一人として、一員として入ったわけや。

F:ただね、ただ面白くてそこにいただけですのにね、

C:そうそうそう。

F:ちょっとおこぼれでも、と思ったのでしょうか(笑)

C:おこぼれなんてもう、

F:バス乗ってたのしかったり、ねぇ

C:おこぼれなんてそんな、帰国者なんてお金あげるほどの金持ってないから、

F:お酒とか一緒に飲んでね、

C:わたしはお酒なんて一滴もせえへん。

F:あ、そうなんですか。

C:ただ、面白いって言って、どっか遊びに行くって言ったら呼ばれたり、もう麻雀するって言ったら付き合っていた。麻雀やったり、そういうふうにしてるんやけど、どういう風にみてるかって言ったら、男性たちが何かがあってちょっと、やっぱりグループが成るとあの人がどうだこの人がどうだとかこうだとか、まぁ

F:人間ですもんね、

C:うんうん。말이 생기지? そしたらな、私が、ぎゃーすかぎゃーすか言うわけや。男の癖に何をそんなことでやっとるんやーって。そしたら、大きな口叩くから、

F:ああ、それがいつもやったら面白くて、

C:義理があるし、

F:堂々としてて

C:あの、分け目のあるちゃんとした女性だって。

F:って、なっていたけど

C:そういう風になってたけど

F:事件が起こると

C:事件になったら今度はそこの、

F:でっち上げられた

C:うん。でっち上げられてな、そこに連れて行かれた。旅館みたいなところや。人があんまり多いから、まずは豚箱に入れないんや。旅館に入れるわけ。旅館に人が入ってこないじゃん。みんなもう食べるもんもないし、もう、あれやからもう、旅館がスットントンや。ちょうど高い旅館があるんよ。そこにみんな入れられた。一部屋一部屋全部。一人一部屋。一人ずつ。人と接触できないように。私そこ座っとったらな、そこの保衛部の偉い人が来てからな、「あんたは女性なのになんでここに来てるんや」って。(笑)

F:そうね。気になりますね。

C:だから、不思議や言うてな。私の顔見に来てた人もいてたよ。どんな顔しとるんや。ゼッショウ(絶世)の美人やと思ったみたいや。パッとみて、すっと「미인인 줄 알았는데 なんやえらい汚い顔しとる」って。(笑)ほいでさ、入ったら必ず玄関のところに立ってるねん、警察が。だから一部屋一部屋みんなそうやって、番兵が立ってるんよ、逃げないようにね。そこで私も、番兵も심심하니까。一日中私の顔見てあれしてたら。だから、番兵にお金あげて、ちょっとなんか買って来てくれやって言ったら、「うん、わかった」言うて。(笑)だって私面白いから。

F:なかなかできるもんじゃないですよ。

C:そうそう、その番兵が、キャッキャキャッキャ笑ったりするから、隣のあっちこっちの番兵がたまに遊びに来るわけや、たまに、いや、なんでおもろいんやこんなところでって。(笑)ここえらい面白そうやな、って言うて。だから、3ヶ月その中にいたわな。

F:3ヶ月も?

C:うん。8月に入って、

F:それはおいくつの時です?

C:そん時、50。(2000年台前半。)もう結婚した時、あの、再婚したあとやから、だから、その捕まって入る、そうそう、

F:ビデオが見つかった事件はおいくつの時?

C:ビデオが見つかった時は旅館じゃなくて、

F:その旅館の話じゃなかったんですか?

C:うんうん、旅館じゃなくて別なところで捕まったわけや。それは、一番始め、警察が始めたことや。ここで言うたら警察やな。だから、안전부ね。北朝鮮では안전부、警察やな。警察がカマン(加担)していたわけや。はじめは。ビデオテープ確保な。それで、私はその時は捕まってなかったんや。何人かが捕まって警察に入っていたわけや。その警察で、私の、名前が出たりするから、ある警察が私のとこ探してきて、あの、いろんなこと教えてくれって私も警察に捕まって行って、3日かな、そこでは3日間くらい部屋の中。そこにいてたわ。それで出て来たんや。3日で出て来たんや。ああそうや、この李さんいう人が捕まる前に、まず私から捕まえてったんよ!なんでかつったら、この人らのこと、あんまりよく知ってるから、この女から叩け、と。だから私から捕まえてったわけや。

その3日間いる間に私があんまりしゃべらないから、あんまり喋らないからもう適当に自分のことだけ喋って、人のことはあんまり喋らないから、結局出してくれたんや。出してくれた原因は、この人が、警察が、みたらこの女口が硬いわけや。そしたら出してあげて、賄賂食っても(食わせても)この女は喋らない。これを考えるわけや。警察が。そしてもっと助けてくれるわけよ。賄賂出しても絶対に言わないから、私。だから出て来たわけや、3日で。口硬いのも助かるで。出て来たわけ。出て来て、もう助かったと思ったらな、今度は、あんまりこう、だからさ、北朝鮮で、고난의 행군 で、警察も食べるものがない、幹部たちも食べるものがない、明日のおかゆも食べるの大変。配給くれないから、全員が配給くれないんだからね、みんな飢え死にや。それやったらもう、悪いことしてでも食わなあかん、子供ら食べさせなあかん。せやから、帰国者をもっと捕まえて行ったわけや。もっと帰国者を、いじめたわけや。

F:カモにされたわけですね

C:そうそう!あん時に고난의 행군入ってなかったら、こういうことなかった。

F:そっか。じゃあ고난의 행군入ってからその、なんでしょう、旅館で3ヶ月も?

C:そうそう。それは後や。今先に言った。

F:ビデオの李○씨の関係の時のは、それはいつくらいの話?

C:それはまた、これから李○が出てくるわけよ。私が、3日で出てきたやろ?私が。

F:私が想像するために、いくつくらいの頃のことか教えていただけますか?

C:ちょうど私が50・・・52、3の時やな。

F:それじゃあ고난의 행군入ってから、

C:そうそう。何しろ고난의 행군入ってからや。90年度の、入って、90…96年だ。それは覚えている。1996年が事件の起きたわけ。

F:ビデオは結構前に、

C:そう、ずっと前から入って来て最後に、ドラム缶が来たわけや。その前にも見つからんと見ていたわけや。

F:これまでも色々見ていたけど、

C:それが最後にドラム缶に来ちゃったから。そのドラム缶がど李さんが、自分が取りに行ってたらよかったんや。李さんの家は애국자の家やから、愛国心のある家やから荷物検査せえへんねん。そのまま素通りするわけや。ドラム缶を送る時に、ひとつのドラム缶は油で、一つのドラム缶はビデオテープを入れる。だから、油とかね、油のドラム缶が何十個も入って来たら、その一つはテープの色が違うわけや。一つのドラム缶はテープを違うやつをやって、電話でな、テープがこういうテープのドラム缶は、はよう家に持って帰れって教えたのに、麻雀のために、麻雀やってる最中で、行けなかった。自分の会社で仕事している人間を行かせたんや。お前が取ってこいと。

それで、このアホが、黄色いテープか青いテープか、知らんやんか。せやから、全部油だと思って、全部食堂にあっちこっちばらまいたわけや。ある人がある食堂で、そのドラム缶を油やと思って、テープ取ってだらってやったら、なんや、油が出てこんとテープがガラガラガラって出たんや。それからもし一人やったらな、李さんとこ持って来て、こんなんでてきたんやったら「そっか悪かったな」ってこれ(お金)もらえたんや。でも二人や。それはダメや。二人だったらどっちかがなバラしたら、こっちが死ぬやろ?

F:そうか。

C:二人やからどうにもならんで。それが警察に入っていったわけや。

F:なるほど。すごい事件。

C:それで、今度はな、愛国心がある원산시でこんなしてされてる

F: 李○さん

C:うん。その人が警察で捕まって行ったわけや。それが出て来たから。ほんで、今度はもう、それで入ったっきり出てこられへん。それはもう大きな問題やからな。ビデオ一つ二つじゃなくてドラム缶で入ってるんだもんね。どうにもならんやろ? それでね、その人が入ったら今度は麻雀友達がー人ずつ捕まって入っていったわけや。その麻雀友達で、私が憎たらしいと思っとった男がおったんやろう、そいつが私の名前を出したわけ。(笑)

F:女性で唯一、

C:唯一おかしな女がおると。

F:なるほど。そういうことか。

C:普通じゃない女がいると。こうなっちゃったわけや。ほいで、特別にその家と仲良いと。そこで、独身やったやろ?

F:その時は独身だった C:その前に独身だったやろ?その前が。だから3日入って出て来てから、やばいと思ったんや。3日入って出て来たとき、これヤバイなと思った。勘でな。これはちょっと下手したら私、同じグループにされるかわからないと思って、それである人と再婚したんや。ある人っつうのがね、最高に成分のいい人なのよ。そこではね、愛されている人やね。

F:現地の人?

C:げんちゃん。現地。げんちゃんげんちゃん言ってたけど。現地の人なんやけど、日本からバンバン送ってくるねん、この人が。

F:なんでですか?げんちゃんに?

C:最後まで聞けや。

F:あ、はい。

C:日本からバンバン送ってくるげんちゃんで、奥さんが死んで、いないのよ。なのに、その人の子供が、奥さんが死んだのに、お母さんが産んだ子供が二人や。男の子と女の子とね、二人いるんやけど、その女の子がものすごく贅沢なんよ。もう衣装ももう、金があるんやからな、300万ずつ送って来てた家やからな、もう、こっち(李○)は100万や、あっちは300万やで。せやから有名や、それも現地やで。有名やその人は원산で。車も何台も持ってるし。その娘が、うちの家に遊びにきたわ、遊びにきたんじゃなくて服を買いに来たわけ。

F:服?

C:そう。あのね、あっちはね、着てた服、こんなんでもな、個人が売ったりするのよ。

F:なるほど。

C:売ってないから。だからタンスとか何か、貧乏になった家行ってから買うって言うやんか。だから、衣類とかあんなのも売ったりするのよ。それで、衣類たくさん送って来たらやっぱり必要ないやろ、そんなたくさん。そやから、それを売ったりするやんか。私がなんの仕事をしてたかと言うたらな、私は送ってくるやつはどけて、また金儲けしてたわけよ。その中でも。みんな金儲けできないんやで、あそこは。するとこがないんやから。

私は頭使って。私は美容師、頭な。パーマとかあんなの、日本から送ってもらって。ロットとかウエディングドレスとか送ってもらって、それでお花作る機械とか送ってもらって、それでね、ブーケとか全部作って。それがなんでおくって来たか言うたら、私がブーケ作ったやつの写真を写したやつ送ってあげたんよ。そしたら妹たちがあの姉さん上手いなぁって言うて、機械もなしでようやったなって、言うて。機械と自分ら来てたドレスも送ってきたり。そやから、やっぱり金のある人たちはドレス着せたいわな。うちの家にはドレスがあると。それにまた、美容師ときてる(美容師もできる)

F:可愛いことしてくれる。

C:美容師もできる、だから私にも、結婚式するって言ったらもう、大きな所でする人たちな、金のある人たちは、その、ドレスを着せようと思って私に頼んだりするわけや。せやから、衣類を、私はどうしてたかと言ったら、そうやって人の付き合いがあるから、もう、원산でも私知らん人間おらへんくらい私人付き合いがあるわけや。だから結局、そのお金のある帰国者たちは、私の名前ほとんど知ってるわけよ。みんながね。

だから、その女の子も金のある家やろ?300万ずつ送って来てたんやから。なのに、この女の子が私の噂を聞いて、あのおばちゃん家行ったら垢抜けた服があると。私のところに行ったら。なんで垢抜けた服があるか、それは私が美容師で、パーマしてよって言ったら家に行ってやってあげるわけよ。お店なんか持ってないんだから、道具持ってるんだから。そしたらもう、ご飯も食べさせてくれるわ、コーヒー飲ましてくれるわ、もう、そんなんね、普通や。金のある人たちは。

そやから、あんたはいつも着てるの見てると格好ええなぁ、ええカバン持ってるなぁとか、格好ええ服着てるなとかよう言うんよ。それはセンスやな。なんで?私はな、最近の服送って来たけど着こなせないわ、言ったら、じゃあ出してみいや。私は、あんたの欲しいやつあげるからって。最近の服とパーンと取り替えちゃうの。 だから今は着れないけど、3年後にはこれは高く売れるやつやねん。

F:なるほど

C:おう?だから私のお仕事がそうやから、上手いことまた人との付き合いがうまいしな。うまいことうまいことやって、じゃあ、何こんなに欲しいねん?あんたこの前着てた服欲しいわ、あんなのもう、流行遅れやのにって。もう、今年着たら来年着られへんのにと思ったらすぐ終わる。ほで、うわ悪いわ、ほなら一枚と二枚と取り替えてあげるわ、って、換えて二枚くれる。(笑)一枚あげて二枚くれたりするんよ。そういう風な感じで、服が多いわけや私の家には。若い子の服であろうが、年寄りの服であろうが、なんでもなんでも、金になるなと思うやつは、なんでも仕入れていたわけ。だからその子が、噂を聞いてうちの家に来たわけ。そしたらちょうど、その時ね、私がね、불고기판出してから焼肉食べてたわけ。牛の焼肉。

F:牛。

C:あの時ね、牛肉。牛の肉ばんばん売ってたんよ。なんでか知ってる?みんな牧場行って牛殺して、その牛を、その殺した牛の肉を売りにくるわけよ。

F:아이고

C:みんなもう飢え死にやから、みんな殺して、肉売りに歩いて米と取り替えて食べたりな。そやから、牛肉がばんばん入ってくるわけよ。帰国者はちょっと生活が余裕があるから、牛肉買って食べたりする。ちょうど私牛肉を食べてたわけ。ちょうどそのフライパンの、ガスのフライパンでね。

ガスもこれ(お金)がなかったらガスコンロ使えないから。で、私は送ってくるお金もそうやけど、そこでまた上がってくるお金があるから、普通の人間より良い生活できたのよ。で、私が、セトモノあるでしょ、日本のセトモノ。金のある人間は、今度は日本の器が欲しいわけや。贅沢になってくるとだんだん、お皿とか買うて、やっぱりテーブル置いたらな、やっぱりそういうの置きたいわ。私が日本のセトモノを持って、セトモノ作るところに行ったわけや。行って、

F:え?送ってきたものを持って?

C:そう。そのセトモノを持って行って、これとおんなじもんを同じように作ってくれって。それで持って行ってから、うちのお兄さんいるでしょう、2番目のお兄さん、お兄さんにお金あげて、そのセトモノ作るところに家建てて、お兄ちゃんもそこでな、金儲けしいや言うて、ほんで、その、お金をあげたわけや。(しかし兄は)家買うお金とセトモノ作るロウを作る金とあげたのに、それみんなお酒飲んで、死んじゃった。のんべえやねん、二番目のお兄さんが、のんべえ。酒ばっかり飲むから奥さんとも離婚して。

F:弱かったのに、無理して飲んだんですね。

C:だから、それも、その近所でも、えらい金持ちが引っ越してきた、なんて噂になったらしいわ。その、あの、セトモノ作るところで。なんか金使いが荒いから。 だれがそんなばんばん使う?あっちこっちで酒買って飲んで、ええ格好やってから。それで私がな、私もな、ないところでちびって。お兄さんも働きなさい言うて。仕事がないから働くとこないやん。私が仕事まで作ってあげたのに。

F:全部お酒に、

C:はぁ。それまたお酒の。ぱぁや。それでまた私がセトモノをな、作ってるところと直接に行って、こうやって作ってくださいって。そこの、現地の人間に、あんたはこれを運びなさい言うて。運んでくれたら私がいくらかあげるからって。これを持って逃げたって金にならない、この人たちには。それは私に手に入って金になるものであって、この人らには金にならないやん。地元の人には。誰が買うのん、こんなもの。だから真面目に運んできた。あの、なんや、電車乗って遠いところから、길주とかあるのよ。길주というところがある、そこでセトモノ作ってるから。

F:사업자ですね

C:だから、それをその子が運んでくるんよ。だから私日本におったら金持ちになっとるで。

F:そうですね。

C:できないところでやったんやから。何もできないところで。あそこは絶対商売できないんやから。今でさえやってるけど、私らいる時までも商売できなかったんやから。だから私もみんながやってないところをやったんやから。ほんで、その子が運んでくれて、それをまたな、外貨で売ったんや。日本のお金で。日本の入れもんに。ほいでな、作ったやつと本物の日本製と持って行って試験してみたら、これな、作ったやつを日本製や言うてな、「やっぱりちがうな、日本からきたやつは」って。アホかお前、それ違うわ、言うて。(笑)

F:それくらいすごくまともに作ったんですね

C:だからまともに作ったって言っとってん。わからんくらいに。それでだいぶまた金儲けたよ。あの入れもんで。その器で。

F:その90年のしんどい時に、

C:そうそう。せやからもう、家も立派に立ててな、家二階建てで、女が家建てるって言ったらすごい、원산에서 噂がすごいよ、女がな、二階建ての、4階の上に二階を建てたんやな。それも、ニサ、두세대.2ショタイ(世帯)。ひとつだけできないから、こっちも一緒にこう、あがらなあかんから。こうやって上がってるからな。二ショタイずつ上がってるアパートや。

そこを作ってから、私が。山に行って木を、こんな大きな木、な。軍隊たちに酒ばらまいて、お前ら、木ちょっとかっぱらって来いやって。はっはっは(笑)なんでかもう、泥棒の世の中やからな。お酒あげて、タバコ持って行ったらもう、軍隊たちが集まってから、「おばさん、運んであげるで!」って。(笑)軍隊がみんな一緒に運んでくれるんよ。ほんで私は、上でな、私が見張っとるからな、早く車に乗せやってトラックに言って、ポケットに手を入れて、こう(賄賂を)やったら「や〜おばさんレーニン동지みたいやな」って言ってな。ロシアの。(笑)ソ連のレーニンみたいやって。そうやって運びながらもう私が一生懸命セメント運んで、何やってって頭からシラミが出てきとった。そうやって家建てた。中を日本式に。全部今のな、90年度の日本の家の中の。カタログあるやんか。本。

F:見て?

C:見て、その家のカタログを見ながら、その家に合うように作ったんや。

F:作ったの?!

C:そう、家を作ったわけ。

F:建てたって本当に말 그대로

C:そう、建てた。私が建てた。

F:わぁ

C:これも2回目や。前にも一回ね、딴 집이この、住宅を建てたことある。それは建てたんじゃなくて修理したけどな。中を全部改造したわけや。これ、2回目なんよ。2回目は完全に家を建てたわけよ。だからね、噂では普通男もできないことやって、それは。普通頭回らへんかったら、鉄筋もってこなあかんやろ、こんな材木もってこなあかんやろ、セメント持って来なあかんやろ。それ全部私が工事してから、개인でやってる人たち捕まえて来て、給料あげながら建てたわけや、家を。

F:そないして、そこでお洋服の事業をして、

C:そう。そういう家の中で돈벌기をしたわけや。

F:なるほど。ようやくそこに戻ってくるんですね。

C:そうそう。そういう家の中で、牛肉を焼いていたわけや。その時にその、女の子がHっていうの、名前が。Hちゃんが来たわけ。誰かも知らなかったけど、おばさんとこに服があるっていうから来たんやって言うから、あそう、って。私は誰でも知らんけど、服買いに来たから、ちょうど肉食べてたから、あんたも肉食べなさいって一緒に肉食べたわけよ。私はその時ちょうど3日入って出て来た後やから、結婚せなあかんのになって思ってるところに、この子が私を見て、家に帰って、お父さんに言ったわけや。家の中、自分の家より格好ええ、金は自分らの方が持ってるけど、私は金がなくても家の中は金持ちに見えるわけよ。こう、現代版でやってるから。自分ところは金はあるけど家が昔のそのまんまやろ。せやから、あのおばさんところすごいお金があるんかなって。(笑)反対に、あっちが私を金あるかと思って、子どもはな。お母さん死んでいないけど、いないからお父さんに、「お父さん장가 가라고 嫁さんもらい」って。それで私を紹介したわけや。

それで私は何を考えたか。成分がいい、この家は。金も金やけど、成分がいい。成分がいいからこの人とは結婚せな。結婚せなあかんって思ったわけや。それで見合いしたわけ。それで見合いしたらこのおじさんが、うちの屋上の部屋、屋上はまたそれなりに部屋を、その屋上に部屋ってあるじゃん、屋上の。それで、屋上に屋根を天井に作って。そこからもう、햇 빚 들어오니까明るい明るい。そこにカウンターを作って、サウナを作って。

F:なんておしゃれな。

C:回る椅子を置いて、サウナから出て来たらそこで(笑)飲んで、そんな感じなところを上に作ってあるわけや。そのおじさんが、なかなか洒落た女やなっていう具合で、結婚しようって、こうなったわけや。

F:なるほど。

C:そやけど、私は腹の中で、私は、今ヤバイ女なのにって。

F:(笑)

C:だけど、ヤバイからこそ、このおじさんと結婚せなあかんって思った。

F:結婚しておかないとって。

C:本当はげんちゃんやから気が合わないと思ってるわけ、私は。だけど、命が問題やからな。捕まってたら死ぬから、このおじさんと結婚しようと思って再婚したわけや。それで2度目に、旦那さんが、そのHちゃんのお父さんとオモニになって。向こうの家も大きな家やけど、うちの家の方がええから、子供らも連れて、全部うちの家に来たわけ。

ピアノも2台上がっていくの大変や。この복도が昔のアパートだったから、上がっていく階段がちょっと狭いねん。ピアノ二台上がるのに大変や。あの子ら一人ずつピアノ持ってたから。先生たちもついてたし。

F:自分用のピアノがある、

C:そうよ。北朝鮮100万あったら大金持ちやいうのに、1年に100万使ったら大金持ちよ。せやのに300万くるんよ。せやから、また、人たちがもう、こうやって(持ち上げて)するしな。何しろうちに来たわけや。私は、はぁ、また私を連れに来るかもわからんのになと思いながらいるのに、ちょうどうちの娘の誕生日やったんや。嫁に行っていないけどな。私はこの子らと暮らしていたし、娘さんたちは皆嫁に行ってるから。それでもう、みんな集まって、海ね。성동.원산も성동という海があるから、浜辺があるから。そこに遊びに、お弁当積んで行ったわけや。そしたらね、ある男二人がね、来たわけや、私のところに。「あなたがC 동무입니까? C동무 입니까?」って。

はい、つったらさ、誰かがね、その時まで私はわからなかった。誰かが会いたい人がいるっていうから。帰国者というのはよく日本から訪問に来る人たちがいるから、こうやって誰かに頼まれてお金持って来て、会いに、全然知らない人も会う時あるんよ。だから私はもうそんな感じで、あらうちのお母さんも送ってくれたんかなって思ってさ、その人らのところに来たら車に乗れって言うわけよ。車に乗ったわけや、乗ったらな、短いな、舌のために長い首ちょんぎられるでって言うわけや。これでわかったわけ。危ないな、これは。今さ、李○さんいう人(取り調べに)入っているやろ?ああ、私の番が来たんやなって。でもまさかみんな男ばっかり入ってるのに、女の私を連れにくるとは思わなかった。 それが、誰かがチクリしたから、私を連れに来たわけ。

F:それから3ヶ月も

C:3ヶ月もその中にいたのに、毎日同じこと書かせるわけよ。ほな、間違ったらだめやね。だから、もう本当にここはちゃんとしとかなかったら大変よ。そやのに、ずっと私は(北朝鮮に)帰ってからなんかしてる時には、絶対人のことを書かない、言わない。言ったら、ビデオを一緒に見た、それで歌った踊った、ね。それだけ。誰かと浮気したか、浮気。そんなん言わんでもええことをな、誰かさんと浮気しました、とか。わざと(書いた)。浮気することも書かせるのよ。で、私がひとりでいる時、なにもなかったらあかんから、政治的なこと言えないから、わざと言わんでもええことな、男女関係まであったっていうことまで私は言ったわけよ、わざと。

F:わざと。

C:わざと言ってるわけよ。なんでか。何かいわなきゃダメだから、うん?政治問題言えないじゃん。これで、そんなことずっと言ってたんや。なのに、あの時ね、保衛部で、軍部、軍隊の保衛部と党の保衛部と、もうあっちこっちでくっついたわけ。みんな金入れようと思ってさ。なんでか。捕まった人間が大物や、金があるから、ね?せやからあっちこっちで保衛部で来て、来いっていうから一日捕まえては書かせて、またあっちで来いって、こっちに。だから3ヶ月かかった。一つの保衛部でやってたら、大阪だったら大阪でやっててええのに、中央からまた来てな。だからみんな金がないし食べられへんからどうにかここに何かくっついたら食えると。食べられるっつうことでわいわい来るわけよ。

それでね、私が、2年くらったわけ。2年。だからみんな捕まっていくわけよ。なのに、軽い人間は2年や。2年。わたしが軽いわ。2年になったんやけど、だから私をあれしていた人間たちが口が硬いから、これはな、助けて出しておいたら、後でお礼する女だっていうことを考えるわけよ。

F:なるほど。

C:だって食べていかなあかんから。んで、口が軽い人間のはぜったい受け取らないのよ。金持ってても受け取らへん。こいつはいずれまた俺のこと言うっていうことで。そこんとこよう考えて喋らなあかん。私はそれを絶対、そうじゃないお前知ってるやろ、いや、わしは知らんことどないして言うんですかって。じゃあこれしてください知らんもの吐け吐け言うんやけど、知らんやんどないするんや、もう、押しの一手でやるわけよ。

で、自分のこと浮気した、男関係まで言わなあかん立場なのよ、私が。そんなことまでな。そういうスパイ関係のこと、怪しいことあったとかあんなことな、수령님のこと言ってたとかな、김정일のこと言ってたとかな、言うたらな、こっち(男女関係)のこと言わんでもええわ。あの人らが言うてることを喋ったらな。

F:そうじゃなくて、自分を削って

C:それは言えないから、そう、自分を削って、そんな浮気でな、恥かいてもええわ。人を助けなあかんからな。そやろ?そやからそうやってやったのが、かえって、この人たちにもよかった。ん?この女には義理人情があるっていうこと。いくら絞めても、3ヶ月捕まえて絞めても絞めてもしゃべらへん。私ガリガリになったで、その中で。あんたみんな飢え死にしていってるところで、豚箱に入れる人間に何食わせてくれるねん、そやろ?もうガリガリになって、痩せてから、外にいる人間も食べられへんのに豚箱にいるやつを食べさせるか?ちょーっとしか食べさせへん。

F:どんなものが出たんですか?

C:보리밥이야

F:보리밥 조금

C:보리밥 こんくらいずつくれるわけよ

F:1日ちょっとずつ

C:そうそう。死なない程度で。私は出て来てからあんた、ガリガリやったで。せやのに、今たまに考えるんよ。や、あの時보리밥食べる半分くらいで食べようかな、太ったからって。(笑)あの時、スマートやったからね。ほんでそこで懲役2年だった。懲役ったってね、ただの豚箱入ってたら楽やで、その二年っつうのがな、山を上がって行って、木を引きずって降りたり、また上がって行って木をな引きずって降りるわけや、山を上がって。私のその歳で、上がって行ったら、もう死ぬわ。そうなったらな。そこに行ってすぐ死ぬ。せやのに、2人だけそこに行くようになってん。男の人一人がな、こっち、私の方に来てたわ。そっちにいく人ね。その人死んで出てこられなかった。男やのに。私より若いんやで。それでも死んで出てこなかった。それで、保衛部の人がな、来てから、ドア開けながら、「C 동무.あんたは本当に運のいい女や」って。

なんですか?って言ったら、旦那さんが離婚せえへん言うとる。だからその旦那さんというのはね、本当に優しい人なの。ものすごく마음이 고와.その男の人が。いい生活もしてたけど、마음이 정말 고와.で、この人が、苦かったら捨てて、甘かったら飲むかって。속담이야, 조선 속담에 단 물 마시고,쓴 물 뱉을겠냐,だから自分は一旦結婚証明書をあげたんだから、私はこの人と離婚しませんってこうなったわけ。この人が離婚せえへんかったら、この人追放されるのよ、山奥に私と一緒に。でも、追放だったら助かるよ。山に行かなくてもいいから、木堀に行かなくてもいいんやからな。2年いかなくてもいいから、ただの追放になったのはこのおじさんのおかげなのよ。このおじさん本当にありがたいおじさんや。神様や、私にとって神様。この人は。

それでこの、保衛部の人言ってた。「あんたは本当に運がいい女や。」そのおじさんがあんたとは離婚せえへんって言ってるって。だから今日家に帰りなさいって(監禁されていた旅館を)出て来た。そん中いる時もタバコ、セブンスター、あれを隠してな、警察にうまいこと丸めて入れてくれたり、やっとったんや。タバコ、いっつもさ、私タバコ좋아한다言ってな。セブンを送ってくれたりしてたんや。セブン、みんなこの、外貨があったら日本の品物もいっぱいあるから、それでちょうど私が家に帰ったらちょうどその頃荷造りしてた。みんなで。あっちこっちで人がきてから。荷造りもトラック1台にダンプカーに、載せられへんやん。荷物が多いから。私のとこのおじさんのと。このおじさんのはピアノまででかいのがあるし鬱陶しい。せやからピアノとかタンスとか大きいものは全部私の友達の家に預けて、家の大きいところね。その地元の人や、その人帰国者じゃないんやけど、とりあえず大きいねん。そこに預けて、ダンプカーに乗るだけ乗せて、山に追放されて行ったわけや。

そこがな、追放されたとこ、どこやと思う?38度線の真横やで?(笑)傑作やろ?38線の近くの山やねん。강원도よ。私は강원도やから강원도の山奥にいかされたのが、その山奥に行ったところが、ちょうど38度線の近くだった。わかる?そこに行った。普通、追放された人なんかは家なんかないのに、このおじさんの成分がいいから、家をくれたわけ。このおじさんのおかげで。このおじさんのおかげで家をもらって、テレビをつけたわけよ、その家で。

そしたらあんた、韓国の映画がバンバンでてくるから、わたしさ、3ヶ月入ってる間になんか、北朝鮮も変わったんかなと思ってな、テレビとかかなり。韓国の映画もバンバン出て来る、へぇ、北朝鮮もこんな垢抜けてきたのかなと思ったら、南のや。韓国のや!だから電波がすぐ入ってしまうのや。そこのところ、綺麗に出てくるの。

F:北朝鮮でそこでテレビをつける人なんて今までいなかったんでしょうね。

C:いやいや、テレビある人はいたよ。でもどうするか言うたら、テレビのある家はこんなね、紙にハンコをパーンと打ってから、保衛部ではっつけていくわけ。チャンネルを固定させていくわけ。チャンネル動かんように。

F&C: 笑

C:それでね、そのチャンネルを動かそうと思ったら、その、貼ってるやつを取らなあかんのに、やぶれたらあかんわけや。だから、ある保衛部、その、はんこ持ってる男が、今度私が金があるかと思ってうち来てから、このハンコを打った紙いっぱいあげるから、金くれ言うとったわ。(笑)この人がぱっと来て、「検査に来た」って。若い男や。それでバッていったら(テレビを隠したら)「あ映画見たなオバハン」っていうわけよ。薄ーくこう、浮かしたやつ、(紙を)浮かして見たから、

F:ちょっとわかっちゃったんですね。

C:ばれた。わかっちゃった。「おばさん、映画見たな?!」って。「大変だぞ!」ってやるから、「お前アホか」言うてやった。「わしゃ映画が出るか出んかも知らんかったけど、お前が見せてくれたやんか、今。今現実にお前はおばさんこれ映画出るでって言うてお前が押して見せたじゃないか、お前の方が悪いやっちゃ」反対にかぶせた。お前の方が悪い、よし、お前のことをチクリするからなって言ったら、「おばさんそんなことせんといてくれ」って、この紙いっぱいあげるからって。(笑)紙いっぱいあげるから、小遣いだけちょっとずつちょうだいやって。あ、そうかいって、小遣い(渡した)。紙いっぱいもろた。毎晩私(韓国の放送を)見た。ビデオ見て引っかかって山奥に行ったのに、なんや、山奥行っても、もっとすごいやつあった。韓国のやつも매일 나오는 것 、もう、금방 나오는 ホットケーキと同じや。出来立てのやつがばんばん入ってきて、ビデオテープどころじゃないで。「6時の내 고향」とか

F:ああ!ニュースとかも見れて?

C:ニュースとかもばんばん見てた。いやぁ、ここええな、言うて。ええとこ来たわって。(笑)笑ったり泣いたりやで、ほんまに。笑ったり泣いたり、そうやっているのに、うちのおっさんが、傑作やで。うちののんべえの오빠が、荷物を一緒に運んでくれたりちょっと面倒を見てくれたわけよ。ほんならな、外貨だけ持って行ったら山奥では使えないやんか、外貨な。使うところないから。

F:山奥は、山奥にも、何人かやっぱり暮らしている、そういう마을が、

C:そうそうそう、そういう마을になっている

F:追放村という感じですね

C:そういう、追放されてる、ほとんど追放されている人やな、集まって。하여튼そのお兄ちゃんに、のんべえのお兄ちゃんに、悪いけどこの外貨持って원산行ってから、朝鮮金と変えて来てやって頼んだわけよ。私頭痛いから行かれへんし、そしたらうちの오빠がその金を持って朝鮮金と取り替えてきてあげるって行ったきりで、帰ってこうへん。あいつに金、あげるって(判断した自分が)馬鹿だよ。あの時(セトモノ事件)一回やられたのに、な。まさかこの立場にいる人間に、そんなことせえへんやろと思ったけど、またやりよったわ。そのお金で全部飲んで。どっかの洞窟に入って死んだ。

F:最後はそういう風に、

C:そうやってね、洞窟の中で酒飲んで、死んで行った。

F:そして見つかったんですか。

C:そうそう、誰かが見つけてあれしたのに、うちの오빠やったんや。

F:아이고야

C:(お金を)使うだけ使って、私のところ帰られへんやんか。だから最後、반통にお酒いっぱい入れたやつを持って、自分も生きていくの嫌になったんやろ。嫁はんと離婚したしな。

F:そうだったんですね。

C:だからもう、最後にこの酒でも飲んでな、死のうやって言って。その時はもう、頭もおかしくなってるんや。それで私は腹が立つけど、まあいいや、死んだ人間に何万かあげたと思ったらな、それでええわと、そう思って諦めた。それで残ったお金だけ、そろそろな、このおじさんもお金がそろそろ切れそうやし、私はもう元来切れてたしな。このおっさんが残ってた金、少しずつ使ってたらな。なんやかんや、このおっさんの신세 졌어. 고마운 사람이야.ほんで、私がこのおじさんと自転車乗って仕事のためにどっかいったわけよ。自転車乗って。

F:そこの村でも仕事をしていたんですか。

C:そうそう、そこで、そういう一応のやつは全部あるわけよ。一つの村やから、

F:仕事をしなければいけないんですね。

C:そうそう、田舎に行って働いてる人、なんかもう、なんか電気の仕事をしている人、

F:配置されるんですか?

C:そうそう、仕事配置されるんで、このおじさんはちょっと金持ちや。成分もええいうことで、외화벌이の職場に入ったんや。외화벌이いうのは、外貨儲けなあかんとこや。このおじさん入れといたら、お金が入ってくると思って入れてくれたんや。このおじさん、自転車乗って、一つ向こうの村に行って。私がその時원산降りて来てたわけよ。원산になんか(用事)のために、

F:追放されても、

C:行ったりきたりする。ただ田舎に行かされたいうだけや。

F: 自由に動くことは?

C:できるわけ。うん。それで、

F:通行証とかそういった物はなかった?

C:そんなんない。そういうところ行かないと、このおっさんのおかげで立派な村へ行ったんや。山の村。そやけど、원산からは追放だ。

F:なるほど。都市からは追放。

C:私とあの時入ってた人間は、男の人たちは全部、銃殺。家族は、それ、この人の家族たちは二度と出られない여독というところに入った。

F:여독수용소

C:うん。だから、その人の家族な。子供、奥さん、全部。結婚してる全部みんな連れ出して。連れていくから。その여독いうところはな、自分が畑で働いた分だけ食べれるわけや。何%は国に入れてな。そういうひどいところに行ったわけよ。私はこのおじさんのおかげで、そこには行かずに済んだ。

C:銃殺されると思ったけど、今度2年になったやろ?2年も免れたやんか。だけど銃殺された人たちの子供らは全部여독ちゅうところに。二度と出られないところ。

F:여독に入ったというのは、何かの소식で聞いたんですか?家族がみんな여독に行ったということは、

C:それもみんな噂は、噂。警察とか보위부もね、ぴーちくぱーちく喋るの、自分の親戚たちに。だからもう、秘密ない。

F:あの家の家族はみんな여독に入ったっていう噂ですか。

C:うん。원산で大事件やったからな。もう。何しろすごかったんや。

F:たくさんのね、だって20人もでしょう?

C:20人。そうそう。その家族がみんな行かされたんや。여독にな。ほんで私だけが助かってるわけや。このおじさんのおかげでお金も使ってるし。やることないからピアノ一台持って来てピアノ弾いて。ピアノを覚えたで、そこで。(笑)弾けないピアノを覚えたりした。

F:Hちゃんはどうなったんですか?

C:Hちゃんは원산に。

F:원산に残ることができたんですね。

C:うん、一緒に上がっていったんやけど、子供らは学校に行ってるから、そのままおいときなさいって。

F:よかった。そうですか。

C:子供らのために降りて行ったり、上がったりやってたんよ、わたしは。 本当にうちのおっさんが、隣の村にな、仕事があって行ったわけや。自転車乗っていったんや。それで、自転車を盗もうと思って、若い子どもらが、そのおじさんを叩いて、気絶させといて自転車持って行ってしもうたんや。盗まれたんや、自転車。自転車なんかどうでもいいけどな、殴られて(おじさんの)骨が折れちゃって。それで、また、원산にな。都会に降りて行って。大きな病院にいかなあかんから、またそのおっさんと一緒に病院に行って、私が横にすわって,看病したりやってたんよ。わたしはもう、このおじさんに悪くて悪くて、面目なくて。もう、本当にわたしも死にたいと思ったな。それで私も思ったの。「アボジ(おじさん)、私と離婚しましょう」言うて。「なんでや」って言うわけね。私といるからあの山奥にいるんや、言うて。私と離婚したら、お父さんは成分もいいし、な?また원산に戻ってこれるから、離婚しましょうって。

そしたらおじさんが「いい」って。「大丈夫や」って。いやあ、子供らもな、親なしで人の家に預けているのに、私本当に面目ないけどな、もうどうにもならないから、ここで私ができること言ったら離婚することや、って言うて。それでこのおじさんと離婚したわけや。お父さんが、원산に降りて来て、子供らと暮らさなあかんから、な?またいい時代が来たらな、また一緒に暮らそう言うて。そうやって言って、別れて、このおじさんが、降りて行ったわけや。荷物全部실고、な。で、私は頭を使って、私の荷物もうまいこと、このおじさんのところにくっつけて送ったわけや。私の荷物はうちの子供に家に送ってくれって頼んで。私は簡単なやつだけ置いて、いつでも逃げられるようにな。簡単なやつだけ置いて。それでいてたわけ。

F:それで山の中で、

C:それでもちゃんとしたアパートやで。(笑)二階建てのアパート。アパートもあるし、住宅もあるし、アパートにいる人は、追放された人たちはアパートにいないよ。このおじさんの、何もかもこのおじさんの成分関係でな、それであそこにいられたわけや。それで、私は一人で残ったから。別に配給なんかくれないんだからさ。仕事することもないし、そやろ?もともと仕事、職場行ってないし、おじさんが行ってたんやから。私は仕事もないし、食べるもんもないし、何にもない、という具合で、その時もう고난의행군でもう、みんなばたばた倒れて行ってるから、どこ住んでもいいから、自分の娘であろうが息子であろうが、他で住んでも地方で住んでも、飯食わしてくれたら、そこに自由に行きなさいって、こうなった。ちょうど。だから、私は一人だし。食べていかなあかんから、娘の家に行きますって言うてまた원산に降りて来た。

F:なるほど。

C:うまいこと降りて来たやろ。これは離婚できたからできたんや。だからそれを考えて離婚したわけや。それで私は降りて来て、私は人の目があるからな、うちの娘の家に行って。うちのおっさんと街で会ってお話したりなしてたんや。そやけどな、こんな関係だったらおじさんも一人であれやんか。だから、アボジな、他の人いい人いたらな、再婚してな?頼むわ、私は気が重たいから言うて。そしたら、そのおじさんが、また、金があるおじさんやから、噂がすごいじゃん。今はその時만큼ないけどな。今はその時くらいないけど、何しろ女の人がすぐに着いたわ。そうして、また再婚したわけ。

それで、この人が再婚したんや。それで、私は원산で食堂して。みんなその時に食堂であろうがなんであろうが商売自由にしなさいって、こうなったんや。それが고난의 행군の時や。96年からね、なんせ96年すぎてから、ズラーって。もう、自由に商売しろってつったの。なんでか、食べていけないから。うん。私がビデオで引っかかってるとき、みんな倒れてたから。食べるものがなくて。

その96年度は、私は絶対忘れないよ、年度数を。だから、その時にそういう具合だったから、私も降りていけたわけ。子供の家でお世話になっていて、私はその時にちょうどお母さんから(日本から荷物が)送ってもこなかったから、ああ、やっぱり仕事せなあかんなと思ったけど、名前があったから。원산ではな、カシラしてくれっていう人もいるし、よく(日本からの在日訪問団が)訪問くると料理とかもしてあげて。何でかっていったら、料理な、器盛ってあげるやん。それで器をやり出したんやからな。料理というのは器でまた決めるということも多いから、私は料理なんかしてもセンスある。お寿司やさんやったら寿司らしく、ちゃんと、刺身も刺身らしく、日本の全く同じやり方で出したりするんよ。だから、みんな料理できてもな、そのセンスがないから、日本から来た人は大食いで食べるわけじゃないしな、何個か出しても綺麗でな、飾りがなきゃな。だから私を呼んで、頼むわ、料理してくれって。私、刺身なんか手早くできるからな。

F:話が進んでいく前にちょっとだけ少し質問してもいいですか?成分のよかったおじさんね、その、げんちゃんやけど何で仕送りがあったんでしょう?

C:だからそれは出てくるから、聞いとって。

F:出てくるの、この後?

C:そうそう、順序があるからな。

F:わかりました。ちょっと気になっていて。

C:私が料理をしていたから、それであの、言わば食堂に仕事ができたっつうこと。だからみんなが食堂をしろって。勝手に。資金のある人が食堂を開いたわけよ、帰国者たち金あるから。帰国者たちがバンバンあちこちでやり出したら、みんなが私に、食堂来てやってくれ(働いてくれ)って頼みに来たわけ。私がある食堂を、建てる時からな、ずっと見てあげて。食堂で仕事をしている時、このおじさんが、探してきたわけや。私のところに。自慢しに来たわけや。そのおじさんがね、自分は今から平壌にいくんだよって。평양。なんで?って。実はね、平壌から自分を探してきたと。お偉いさんが。偉い人が。それも保衛部の人や。국가보위부やな。一番あの、だから中央の保衛部やな。それで行くんやって言うてた。だから結局このおじさんも言ってた。自分はなんでその人らに、言うたって。その人らに。아직도自分の弟がな、アメリカのどこやったかな、銀行のなんか、幹部やってる。弟が、銀行の幹部やってるんよ。それで、自分のお父さんが亡くなった時、ちょうど私と再婚した時は、日本にいるお父さんが亡くなった時や。

F:日本にいるお父さん?!

C:日本にいるお父さん。日本に、お父さんがいたわけや。このお父さんの一生が、また本に出てくるくらいの一生や。これはもう、長いけどな。何しろお父さんが、何しろ日本にいるわけ。それであの、総連、じゃない、民団の委員長までやったよ。金○○って写真もあったよ。メガネかけてるの。メガネかけてるから、それで、四角っぽい顔して、利口な顔してるよ。このおじさんがお父さんなわけや、このおじさん(前夫)の。この人は、お父さんがその時何やってたかと言ったら、銀行の理事長してたんや。韓国、朝鮮の、民団銀行や。

F:民団系の銀行ですか。

C:このおじさん、骨董品とか絵とか置くとこなんていうたっけ。度忘れした。

F:質屋とかですか?

C:質屋じゃない。展覧会するところあるじゃない。

F:博物館?ギャラリー?

C:ギャラリー!そんな、大きいギャラリー持ってたんや。このおじさん。

F:そうですか。

C:そういうのも持ってた。朝鮮の、博物館みたいなやつな。리승신 장군だとか、

F:どこに?

C:大阪に持ってたんよ。写真でみたけどな。その人調べたらわかるよ。銀行に、銀行の리사장やってたし、そういう、ギャラリーももってたし、そういうおじさんや。だからお金もバンバン送られたんや。何しろそうやって、そのおじさんが病気で、テニスのやりすぎで過労で亡くなったわけや。亡くなる前に、このおじさんが亡くなる前に、北朝鮮から、二人が、一人は男で、一人はなんか女の人な、なんか二人や。行ったみたいや、遺言を聞きに。なぜこの二人が遺言を聞きに行ったか。このおじさんは、北朝鮮のスパイになっちゃったわけや。このおじさんが、そうやって民団の仕事までやったのに、最後には北朝鮮のスパイになった。なぜ?スパイになったか。言おうか、なぜスパイになったか。言おうか?

息子を北朝鮮に置いてきていたんや。息子だけじゃなくて娘も二人。このおじさんの歴史を言うたらな、若い時、日帝時代、女の子と男の子を産んで、その時に朝日新聞社の仕事をしていたわけや。日帝時代、頭がいいねん。このおじさんは、見栄えもいいし、だから、日本人が、お前は頭もええし使い物になる、だから日本に行って自分の勉強をさせてあげるから、一緒に行こう言うて、船に乗って。日本に渡ったわけや。ほいで、奥さんはこのおっさんと娘と、その妹を。

F:원산に残して?

C:そうそう。원산に置いて、それで통일(해방)이 됐으니까는 来れなくなっちゃった。외놈들みんな日本に帰っちゃったじゃない。戦争で負けたじゃない。そやからそのおじさんも帰れなくなったわけや、船がないから。밀선 타면できるけどな。闇船乗ったら大丈夫やけど、ストップされたわけや。そこでしょうがないから日本の奥さんもらったわけや。日本人の奥さんと再婚して、男の子を一人産んだのが、アメリカのなんかの銀行、それが息子一人。あとで産んだ息子や。なのに、北朝鮮で、幹部一人と、韓徳銖いるやろ、韓徳銖。あの時万景峰号の船が通っている時や。その二人がお父さんに行ったわけや。あんたの息子を、娘を北朝鮮に置いて来たんやろ?って。あんたな、その子供たちに何してあげたかって。幼い時に捨ててきてね。そやけど、うちの国では、な、北朝鮮ではみんな学校に行かせてな、김일성 종합대학 보내고な、したって。

(本当は)嘘やねん、何もしてへんねん。ものすごい취급 받았어〜意地悪されてな、成分悪い言うて、お父さんは日本に渡ってしまっていない(不在)言うてな、もう本当に、ちゃんとした党員になりたくても党員にもなれなかった。一生懸命働いてもあかんかった。そんな、おじさんが、それがそれの私の旦那や。名前はw.wちゃんや。これが。wさんが、いくら働けど働けどね、あれ(成果)がなかったのに、お父さんを、韓徳銖부장がうまいことちょろまかせて、このおじさん船に乗ってくるから、息子さん連れてくるから、会いなさい、会わせてあげるからって言って。このおじさん、なんか旋盤の仕事してたんや。仕事してたら急に、中央の党で来いって言ってな、電車乗って行って平壌でぱっと降りたらな、真っ黒なベンツかなんかしらないけど、車が、カーテンまであるやつでな。待ってったって。ほんで、自分みて「乗れ」言うてな、乗ったんたて。乗ったらな、ぐるぐる、どこ行ったか自分はわからんって。そやけどお風呂させて服着替えさせて、物凄い、一ヶ月くらい磨いたらしいよ。

F:磨いた。(笑)

C:ほいであっちこっち万景峰とかなんか見学に行ったりおだてて。最後に、あんたのお父さん日本に渡ったやろってな。自分もびっくりしたって。怖くて。ところが、自分を磨くの見たら、お父さんは悪くないんじゃないか、と思ったって。万景峰乗りなさいって。ほいで船に乗って、朝鮮の幹部。二人と自分と、その船にのって、日本にまで来たわけ。

F:日本にまで?

C:そう。この人が。おもろいやろ。

F:元山まで?

C:ほらもう国家でやってることだから、そんなんもう、普通のあれじゃないよ。これは90年代の話。ほんで、このお父さんが、一緒にな、万景、降りることはできない。その船の中で、韓徳銖が、総連で제일 높았잖아.船に乗って来て、それで再会したわけや。もう泣いて泣いて、お父さんな。もう、泣いてな。いろいろお話したけど、帰りになったら万年筆くれて、その次に、靴を取り替えよう言うてな、自分の靴とお父さんの靴を取り替えたらしいわ。トランク하나お父さん持って来てたて。その中には録音機だとかな、お父さんしらんから、録音機ここ(北朝鮮)で使えないって。(笑)

小さな録音機ひとつ入れて、背広とか、(大きさが)わからんから生地で入れてくれて、なんやかんやして入れてくれて。それをトランク一つ入れて帰って来たんやって。このおじさんは働けど働けどあかんかったのに、その日から、もともとある女性がこのおじさんに惚れてたのに、成分が悪いから、その女性の家で反対してたのよ。それで帰って来たら急に成分がよくなって、みんながうわーってなったら、すぐ結婚せえって言うから、その家でその女性と結婚したわけよ。

F:それでHちゃんが生まれるわけですね。

C:そこはHちゃん関係ない。このおじさんの始めの嫁さんやねん。Hちゃんは2度目の。

F:2度目の。そうですか。

C:私が3度目や。

F:そうですか。

C:だから、その人が死んでからそのおじさんがHちゃんの(母になる人と再婚)。だからその女性と結婚したわけ。はじめての結婚。なのに、次の日になったらな、また車が来て「乗りなさい」言うて。どこ行くんか、言うたらな、平壌に、평양。びゃーって。김일성종합대학言うたら一番ええところや。エリートの大学にばーんって入れてもろたんや。一日で展開や!乞食から一気に、

F:韓徳銖が言ってたんでしょ?北朝鮮の、うちがこれだけやってやってった。

C:それを(後になって)やってあげたの。

F:後で現実にしたのですね。

C:そうそう!後で現実にしている。

F:なるほど。

C:先に行ったことを、後で現実化させたわけよ。

F:なるほど。

C:なぜか。お父さんがまた来るからな。それを、何を約束して、息子を金大に入れたか。スパイを、義務を受けさせて、あなたはこれからは北朝鮮のために、あなたの子供達、幼い時捨てていったその罪があるじゃないか。今からでも罪滅ぼしをしろということで、このおじさん(Wの父)がスパイになったわけや。子供のために。

F:なるほど。

C:この二人の子供のために

F:日本でスパイを続けるということですね。

C:そう、日本で。この人は日本にいたら韓国もいったり来たりできるじゃない。

F:そうですね、お金もあるし。

C:民団やし。総連じゃないから。その日からスパイになったわけや。このおじさんやりたくてやったわけちゃうねん。

F:人質がね。

C:そう、2人の。

F:北朝鮮に、おるからね。

C:本当に本当に、本に出てくるような内容やろ、な?

F:そうですね。

C:人間の一生としてね、本当にもう、なかなかありえないことやでこういうことは。なのにこのおじさん、それから、もう韓国行ったりきたりしながら、何を持って北朝鮮行ったかしらんけどな。だからこのおじさん(前夫W)は、2度目の奥さんと、奥さんが死ぬ前に家族全員で、お父さんがWのおっさんの家にはいけないのよ。平壌にそのままいて、家族だけ呼ぶわけ。연락소いうところがあるねん。そういうスパイたちが出歩く、出入りするとこがあるんよ。そういうところに呼んで、お父さんと会って。食事なんかを豪勢にしたりな。会うてからするのは、お父さんが何かを持って来たいうことやろ。何をどうなってるか、その内容はしらん。経済スパイなのか、他のスパイなのか。それは知らん私は。政治的なスパイなのか、経済的なスパイもあるやん。何をしたか私はわからん。

F:銀行だったらね、経済的な?

C:そうそう、経済的なあれかもわからんな。うん。それで、このおじさんが、テニスのやりすぎで亡くなったわけや。このお父さんがな。行ったりきたりやってたから。ほやのに、テニスでそうやって死んだんやけど、幹部が来て、遺言でテープ持って来て、「자,遺言を言ってください」と、お父さん死ぬ前に。

F:ほんまにテニスのやりすぎだったんやろうか、

C:過労やって過労。だからやりすぎもあるわけよ。歳取ってるのにあんまりしすぎてもよくないらしいよ。なんか病気もあったやろ。何しろ過労やって、そのおっさんは言うてた。ほんで、その録音機持って来て、お父さんに喋らせるわけ。なんで録音機持ってくるか言うたら、この人たちはそれを持って行って、自分の言葉で伝えたらあかんから。ちゃんとした録音機でこのおじさんの遺言を持っていかなあかんやん、中央に。国家的な問題やから、録音機に入れるわけ。お父さんの最後の言葉。息子にはどういう言葉、お国にはどういう言葉、入れて、この幹部が持ってきたわけ。

帰って来て、この録音機を息子のところに持って来て。あんたのお父さんの遺言だよって言うて録音機を置いて行ったわけよ、テープを。このおじさんが聞いてみたら、いろんなお話が入ってるわけ。お前らに苦労させたとか何とか何とかいっぱい入ってるんやけど、途中で切れてるらしいわ。途中で切れて、また、言葉が出る。その間の言葉はお金の問題や。財産。最後の、

F:お前にこれこれを、

C:このお金をな、この幹部たちが食っちゃったってことや。そやろ?なんでこのテープにな、真ん中だけないの?だからこのおじさんは、お金がそろそろ切れてくるやん?お父さんは死んでいないし。せやからお金もほしい。(食堂でのCとWの話では)それで中央に、行ってくるっちゅうことや。このテープを持って。その時に行った人間の名前が出てくるから。全部自分のお父さんのこと言うたら.증고가 있잖아.このテープ持って行ったら、なんでこの真ん中がないし、お父さんが死ぬんやったらな、例え少しでもお金、その人に渡すことができるじゃない。

F:財産相続の話が絶対あるべきですもんね。

C:うんうん、そうそう。国は国であげて、その残りの몇 프로(%)をうちの息子にあげてくれっていう言葉が있겠지?

F:うん。必ずあるでしょうね。

C:全部国に入れへんよ、このおじさんだって。そやのに、こいつらはこの息子にあげるお金を食って、国に出すやつだけ出したんちゃうか。私の생각이な

F:でしょうね。

C:うん。だから、そのところだけ全部消して、この人に持って来たんやろ。

F:なんということを。

C:そうだってこのおじさんは(言った)。私もそれはあり得ることだと思う。で、このおじさんが中央に行ったわけよ。行かんかったらよかったんや。行ったわけや。行ってな、このおじさん、行く前に私に自慢しに来たわけや、食堂に。自分、(平壌に)行くんやって。お金探しにいくんや、言うてな。お金探したらな、たとえ少しでも探したらな、私にあげるわって言うて、それで自慢しに来てたんや。自分も嫁さんいるんやで。また3度目か4度目のおじさん。そやのに、このおじさんは(平壌に)上がって行ったっきりで、

F:帰ってこなかったの?

C:未だに帰ってこない。で、この子供らだけ残ってるわけや、な?このおじさんが、私は、このテープを持っていくのは知らなかったんや。ただ中央で呼んでるから行くっていうのを聞いただけで、テープ持っていくっていうことは知らんかったんや。帰ってこないから、これはおかしいなと思って。私がこのおじさんのお父さんの遺産をな、パクったとしよう。そしたら、その人も持っとく、金があるから、高いとこ高いとこ、上がってるやろ?高い幹部の자리へ、上がってるやろ?金があったから、バンバン上の方に上がる。そしたら、お金を찾았다 하자.探したんやな。そして、このWのな、問題で会いに来ました、言うたら、おお心配するな、お前の앞으로のな、出世は全部俺が見たるからなんとかなんとかって丸めたら、いくらでもその人のこと聞くやろ?そうやろ?

F:そうでしょうね。

C:な?私だって聞く。こっち(おじさん)の味方取るよりこっちが取った方が、私の出世にええんやから。そんな具合になったん違うか?そうやなかったらこのおじさん何故帰ってけえへんねん。結局そこで、アウトや。反対に豚箱突っ込まれた。死んでるやろ?生きてるはずがないわ。そんな国や、あの国は、そういう国や。ほんまに恐ろしい。

F:利用するだけ利用して、

C:利用するし、親も全部スパイに使って、利用して、人間を、全く、道具にしか思ってないよ。本当。社会主義なんてまったく嘘や。泥棒の国やで。本当にこのおじさんの話聞いたらね、若い時子供の小さな幼かった時の話聞いたらな、本当に。何かをしゃぶって食べたって言ってたな。本当にもう못 살아서 못살아서。ものすごい고생했더라.

F:마음식이 基本的に고아서

C:そう。それで心も優しいしな。あれやのに、結局お父さんも利用された、自分も利用された。結局は死んでいったわ。本当、私はこのおじさんに미안해.本当に미안한거 고마운거는。ありがたくてありがたくていつも、考えたら今ここで生きてるのも皆あのおじさんのおかげやと思ってる。そやのにこのおじさんはそうやって、結局はずっと帰って来なかった。私は食堂で働いてる間ずーっと帰って来なかった。あのテープ、途中でないのはあの幹部たちが結局は자기,自分らでちっぷちゃっぷやったからな。結局はおっさんだって殺されたんやなって思って。

それでもう、私はどうしようもなく、そうやって원산で食堂で働いてた時に、急にこの何人か殺された、銃殺された人の家族が、何人か出て来たわけや。여독から。絶対出てこれないのに帰って来たわけや。みんなびっくりしてた。日本にいる親たちが3000万ずつ寄付して(여독から)出してもろたんや。お金やお金、な。金せびるための仕事や、こいつらの。3000万ずつ出してな、自分ら出て来た言うてた。うちのお父さんが3000万出したんやて、とかさ。うちは2000万出したんやて、とかさ。

F:もともとそういう寄付の多かった家族の?

C:いや、前はそんな寄付もなかったし、

F:仕送りが?

C:仕送りだけあったけど、総連の仕事してる人がなんの金があるん。そやけど후에,商売もしたりしたんやろ?せやけど命が危ないと思ったら、借りてでも送ってあげて出したんやろ?それでお金の力で出て来た人間が、4件。4件が出て来た、お金の力で出て来た。

F:そうですか。何か聞きました?여독の中のこと、

C:聞いたよ。여독이の中でな、苦労したって言っていた。

F:本当は出る時に何も言わないって約束して、

C:そうそうそう。だからあんまり具体的には言わない

F:苦労した、とか

C:そう苦労したとか。

F:見た目は変わっていましたか?

C:いや、もうその時は来てからええもん食べてる時やから私が見た時はもう、別にわからなかった。だけどこれだけは言っていた。友達らが一緒に入ったやんか。その人はちょっと里が離れているけど、自分が이젠出てくるって思ったから、관리소の人に、誰々にちょっと会いにいって来ます、言うたら行かせてくれたって。その、Bっていう名前なんやけど、ものすごい仲良いねん。みんな仲良かってん。そのBのところいって、あんた元気でな、私나간다고。お兄さんのおかげで나간다고.お兄さんというのは旦那の兄さんや。その旦那の兄さんつうのは、その旦那も(여독 に)入って銃殺されたからいないし、旦那の兄さんのおかげで自分は出ていくって言ったらな、そのBいう子が言ってたって。「ほんまに矛盾やな!」言うてからな、泣きながら。

「私の、お父さんも総連の仕事したし、うちの旦那、今入って行った旦那のお父さんも銀行やってたんよ。朝鮮銀行やってた人の息子。それもお父さんが死んだからって。結局(身内が)生きてて金払ったら生き残れる。昔一生懸命やった人間はな、(今は)金が出ないからな、そうするんかい、矛盾だらけのこの国は!」 って、言いたいことみんな言うねん。もう行くところまで行ったんやからな。言いたいことみんな言う。そんなんしてな、可哀想やで。それ聞いてもう涙が出て来た、本当に。私はもう本当に運がいい女でな、こうやって生き残ったけど、みんな可哀想に、あんなんになってな。出てくるためには何千万も金出してな。わしはもう一銭も出さんと、おっさんに、反対におっさんの金を使こうとったからな。本当に私は運がよかった。本当に。それで、そこに、ここにWっていうおっさんはもう帰ってこないから死んだ思って過ごしていた。そしたらあっちこっちから、南に逃げてる話が入ってくるわけよ。脱北してるって。どう思う、道がないからどないしていくの。そやろ?どないしていく?

F:どんな風にその噂って聞くんですか?

C:だからみんな喋るのよ。あっちこっちで喋ってるわけ。

F:あっちこっちで。喋っても大丈夫?

C:だから自分の仲いい人に喋ってるつもりだけど、こっちの人だって仲いい人がいるんだからあっちこっち。一般的じゃないけど、コソコソコソコソ周って、闇言葉や、闇言葉。闇商売じゃなくて闇言葉。(笑)

F:闇言葉。なんや、脱出しているみたいやでって。

C:そう、誰かが脱出して韓国行って、韓国のお金な、こうやってこうやって送ってくるんやって!その韓国のお金な、中国で取り替えて、中国のお金をまたな、助成金に取り替えて、ばんばん来るっていうわけや。

F:なるほど。

C:それが噂になったわけ。それで今ここにいる(Cの)娘が、私を見て、お母さんお母さん、こないして逃げてるやつがいるんやて。どないしていくんや、言うたらな、この子が運良くその道を教えてくれる人間を会うたわけや。ばったり。

F:ばったり?

C:それがな、それも保衛部にいる人間の親戚やで。

F:なんと!

C:幹部の親戚のお姉さんや。その保衛部の人のお姉さんが商売やってて豚箱入ったわけや。(笑)商売やってて。その豚箱に入ったのに、ちょうどブローク(ブローカー)やってる女が豚箱に入ったわけ。その人保衛部の人の親戚とこのおじさんと주고 받고やってたわけよ。そしたらこのおばはんは、ブロークやってたから、원산から、向こうに逃げたい人いたら紹介してくれと、こうなったわけや。このおばさんは、このおばさんも商売で入ったからな、もう通じるわけや。北に行こうが南に行こうが関係ないのよ。金だけ儲けたらいいわけや、みんな。

F:먹고 살기 위해서

C:먹고 살기 위해서.ほいでこの保衛部にいる人のお姉ちゃんがうちの娘に、自分の弟がどっか行っていない時、こんなんしてからな、渡るところにブロークがいるで、行くか?って。それを聞いて私に言ったわけや。

F:娘さんはその時旦那さんも、いて、

C:旦那さんいる

F:お子さんは?まだ?

C:子供も二人大きい子が、

F:大きくなって。

C:そうそう。そうよもう、結婚している時だからみんな。その時は、みんな私はもう豚箱行ってくるとこ行って来て、추방も行って来て、全部して、もう最後のモーメントやこれが。ほやのに、そんなして言うから、ちょっと섭섭했다.寂しかった。お母さん가다가 死ぬかもわからんのに、ようそんなとこいくなと思って。うちの娘の顔を私、じーっと見たで。

F:(笑)

C:ほんまに。びっくりしてから。(娘が)「もう死ぬ覚悟でいかなあかん。」って。いやぁ、私は가다가死んでもええ言うんか、思ってな。섭섭했다.一番遠いところやで。

F:원산にいたら、今のところ食堂もあって、(生きていけるのに。)

C:一番遠いところやで、国境から。渡ってもね、みんな近所。恵山とかね、その(国境)近所で、원산言うたら38度線、こっち渡った方が早いねん。せやろ?だからね、韓国来たらさ、何もぐるっと回らんとこう、38度線渡ってきたらよかったと。そこはみんな見張ってる、どないしていくんや。でも私が、まあ、よく考えたら、生きていくのも面倒臭くなったし、もう死んでもええ立場やからなー

F:色んなことを、別れと出会いがあったから。

C:それで、なにしろもう、私はうまいことね川渡ったやんか。川渡る前に、恵山で1ヶ月、山奥で隠れてたんや。강원도から해산まで、원산言ったら一番こっち(南)やろ。ここから電車乗って行こうと思ったら、長いこと時間がかかるんや。

F:子供達も一緒に?

C:いや私一人。(娘が)お母さん先に行ってな、調べてくれ言うわけや。

F:なんと!

C:だから私が섭섭하다言うとるんやんか。

F:섭섭하다 정말.

C:だから私は泣いたいうのに。お母さんが가다가死んでもええねんな、と思って。 だけど、この娘がな、어쨌든 ブローカーがおるから一緒に行けって言うてな。お母さんが行って、うまいこと言ったら自分らも行くから言うから。自分らは子どもがいるからいっぺんにいけないじゃん。だから私が突撃隊や。

F:でもね、私ももし선생님みたいな어머니、自分の母だったら、先行って見て来て。多分엄마は死なへんと思うわって言うかも。

C:そうやろ。(笑)

F:今までだって、いろんなね、강원도 追放されたり、もう

C:だからさ、電車乗ってね、恵山まで行ってね、何度か調べるのよ、汽車の中で。電車の中で調べるんよ。검민증見よ、言うわけ、証明書。私のは日本生まれや、あかんわ。日本生まれが何で行くんや言うたらこりゃ逃げると思うやろ。

F:ああ、そうか。

C:うん。だから、私が、うちの娘利口やで。ゲンチャンとこ行って、米何俵か持って行ってから、みんな食えないから、米あげて、おばさんの증면서売れいうてから。それでおばさんはどっかで落としてなくした言うたらまたくれるやろ?ばあちゃん米もらった方がいいわって米と取り替えたの。うちの娘頭利口よ。

F:さすが、어머니の娘!

C:(笑)ほんでそれを持って来て、「お母さん、電車の中でもしあれ(検査)したらな、このおばさんの写真見せろ」っていうわけよ。ちょっと違うわな、そりゃ顔が。そやろ?ゲンチャンの写真やし、地味やし。私も派手にこうしたからおるって、地味に作ってあれしたらな、またババアみたいになるわ。変装せなあかん。私変装うまいやんか。ほなまた、変装してから、入れ歯やろ私。みんな抜いて、ふんあふんあふんあって。(笑)

ほいで普通の時ははめとってもな、途中で検査や言うたらな、寝台乗って行ったわけよ。寝ながら行くやつな。それ乗って行ったのに、길주言うところでな、だから恵山言うところと、曲がるとこ。そこで検査するいうわけや。ヒィってびっくりしてから、入れ歯を取ってからさ、それで電気なんかみんな薄暗いじゃん。だから증면서見て私の顔見てもはっきりせえへんよ。寝て起きたみたいに、「왜규례냐여? 왜규례냐여?(왜 그래나요?)」(笑)みたいな、ちょっと抜けたババアみたいな喋り方やったら、됐다 됐다!って、相手にならんと。格好も乞食みたいな格好してからな。(笑)

あんまり乞食みたいじゃないよ。適当なな、貧しい。寝台乗っとるからあんまり貧しい格好もできへん。だから、それでそこは通過したわけや。それで恵山まで入ったわけや。それで恵山に入ったらな、今度また恵山市に검열 들어왔어.検査。恵山は中国渡って行ったりきたりしながら金もうけしてる人間が多いわけよ。 幹部たちはな、보위부とかああいう奴らはな、もう何しろ金儲けをしているやつらを捕まえるわけ。今恵山市に検査に入ってる、보위부が見張ってるっていうから、渡られへん。中国から、このね、連絡がある人は出てけえへんよ、川に。怖いから。だからこっちから渡るに渡られへん。向こうの人が受けとってくれへんかったらな。

ほいでもう、市内に、恵山にいたらやばいから、山奥の地元の人が住んでるとこ、ものすごく奥に入って行ったわ。そこで一ヶ月隠れてて、のそのそまた降りて来たわけや。降りて来たらこのブローカーのおばさんが、どっかなんか変な家でさ、空き家や、おばさんな、この家でずっと待っとけって、自分がくるまで。それで私が、夜怖いやんか。私は幽霊が怖いのよ、人が怖いんじゃなくて。

F:おばけ。

C:誰かがドスン乗ってきても怖がらないけど、気持ち悪いよ、幽霊は。夜になったら布団被って、もう中に入っとったわ。3日間そこの中におった。そのおばはんが来た。これは我慢できへん。もとに帰ろうと思ってた時に。

F:元に?원산に?

C:원산に帰るしかないやん。一ヶ月山奥におってここになってまた山、布団の中に3日間おっても連れに来へんしもう、これは詐欺に引っかかって金取られるんやなと思ってな、金だけ取られるんやと。

F:指示されてそこで隠れてたんですね。ブローカーに。

C:そうそう、そのブローカーが、私にここに隠れておけって。自分は、自分でまたあっちこっちで人を渡さなあかんから。だからそれ、その渡す電話も全部보위부やで。一回ついて行ったんやな。보위부の人電話があるわけ、電話機。誰の家、言うたら보위부の人の家、言うわけよ。そこで日本と電話したんよ。傑作やろ、あんた。

F:いやあ

C:そりゃ一般の人間の家で電話したんちゃうで、보위부の人間。보위부の人間はそれなりに金儲けしてるわけや

F:보위부の中で보위부の力を使って

C:この人は何の보위부の仕事をしてるか聞いたら、その土手あるやろ?渡るところ。土手。あそこの경비立ってるやろ?そういう人たちを管理している보위부の人やねん。だからちょっと力があるわ。ほんで、私に電話、日本に電話かけて。日本からお金がこなかったら、渡らしてくれへんねん、な?そこで、電話したわけ、私が妹に。

F:ええ

C:さっちゃんちょっと助けてって言ったらな、ちょうどお母さん死んだあとや。私がこうやって떠날라 할때、うちの친정 어머니が돌아가신 다음이 말이네私が。死んだ後に手紙も書いてないでそのまま渡ってきたわけよ。恵山まで。だからお母さんにそういう手紙一本も出してないのよ。

F:お母さんはいつ亡くなったんだろう。

C:忘れてしもうたわ。ちょうど私がくる頃やから、そんな時に亡くなったわけよ。 なのに、そういう事に対して、あんたらが수고했다とかさ、お母さん面倒見てくれてありがとうとか、なんか一言もなしにな、急に電話かかってきてな、「今私は中国の横にいます」ってな。お金があったらちょっと送ってください、渡らなあかん、お金がないとあかんやん。そしたら、うちのサチコちゃんの旦那さんがカンカンになって怒っちゃって、電話機をばっと取ったと思ったら「あんたには良心があるんか!」て、ばーんって切られた。

아이고私は죽었다よ、もう本当に死んだで。もう行かれへんわいうて、金もないのにな。誰がブローカーがついて来てくれる?向こうでも受け取ってくれへんわ。お金がなかったら誰もしてくれへん。それで、何もなしで渡る人は、中国に渡って、体売ってもう女中やって仕事して金集めて韓国に온다고。아이고。それでもな、死ぬ時に飲もうと思ってここにアヘンを入れて行ったけどな。頭のところにしばって。いざ、捕まったらそうしようと思って。私が、しゃあないな、これはハッタリこかなあかんなと思ってな、こういう時ははったりしかないわと思って。生きていかなあかんもん。ここまでして死ぬか?あそこ行ったら中国行ったら中国の映画バンバン見てたわ、横だから。

F: 恵山からですか?

C:どこに言っても中国の映画バンバン見ていたわ。渡らしてくれる人間な、말하자면こっちの、北朝鮮にいる人間と、中国にいる人間、ここのブローカーとこっちのブローカーが、連絡が되야만이いつ何時ごろにどこどこに立っとけ言うたらこの人たちがゴムボートを持ってくるわけや。せやけど、これは金があっての話。結局私は一銭もないねん。もう出てくる時の日本の外貨とか、なんだかんだくれたやつもみんな使てしもたし、何もない。何にもすっからかんになってからもう、日本でお金送ってくれなかったら、これはもう、死ぬしかないなと。

よし、死ぬ覚悟があったらできんことはないやろうと、思ってから。今度はな、私ハッタリこいたわけよ。そのブローカーに。何しろ私を中国に渡してくれって。中国行って、お金は持って来たらええんやろって。だけどうちの妹はもう送ってくれへんことはわかっとるんやで?当たり前やな、それは怒るわな、そら。お姉さんそんなもん죽으라と思うわ。でも妹は미안해서な、また電話、向こうからかかって来てたって。日本からな。それは妹の気持ちや。旦那さんとしてはそりゃ怒るわな。

F:親も見て、これまでずっとお金も送っとったのに、ねぇ。

C:やのにな、私はここを渡らなあかんから、そのブローカーに言ったわけ。「あんな、私が日本に、韓国にだけ行ったらな、日本と외화벌이できるで」って。私の知り合いの友達が、日本でこれ(お金)持ってるから、ほんまやねん、持ってる人間がいるから、外貨벌이できるから、私をどうにか中国に渡してくれって。そしたら、商売せなあかんから、ツテが생겼잖아.この私。そしたらこのおばはん、送らなあかんいうわけで、ボートは出てこうへんよ、金出してへんから。(笑)川な、

F:渡った‥?

C:川な、冬やで。寒いのに、2月言うたらまだ、ばんばん凍ってる時や。恵山の2月は冬や。ほやけど、氷が全部凍っているんやけど、上から、山から湧き出るやつあるやん

F:ちょっと緩いやつ?

C:そうそうそう、そういうのが流れて降りるところの真ん中に、水があるわけや。そういうところは警備が立たないねん。ちょっと離れてるわけ。そこは深いし、泳いでまでそこ行くのは大変やから。泳げる人は泳げても、普通泳げない人が多いからな。あんまりそこは警備が薄いわけ。ほいで、私がその道を、そのブローカーと一緒に来たわけ。その道、氷がぶわっと凍ってるところをバリバリバリって言いながら、結局は、

F:ずぼっと入って

C:ずぼっと入って、そこからは

F:泳いで?!

C:泳いで、一番広い川や、そこがな、警備がうすいわけや。広いし深いし。

F:泳げたんですか?

C:そりゃそうやん、원산であんた、そこはもう海やんか。海辺で暮らしとったから수영できるじゃん。

F:よかった。ここで活かせるなんて。スポーツマンですもんね。

C:ほんまやで。(笑)山奥の人は泳げないから、渡れへん言うの。だからそこは薄いのよ。원산の方は遠いからあんまり원산からくる人は少ないし。それで、結局私が渡ったわけ。それで渡って、ある男の子、ブローカーの息子や。その息子がついてくるの、私は一人で行くって言うのに「おばさん、私を連れていかなあかん」言うてな。危ないから、ついて来たわけ。それで、このブロークと、こっちのブロークと約束になっとるわけよ、どこどこに、何時頃来たら石を叩けって。合図が石やねん、声出せへんから。石をカンカンカンって3つ叩いたら、私らだとわかるから。

そうやってこの子ら約束出来てるらしいの、わたしは知らんけど。だけど、こいつちょっととろい。こいつと一緒に行ったのに、それでも来るなって行ったけど、最後の氷の上上がろうとしたら氷がここらへんや。一人やったらあがれないわ。この子が後ろであげてくれたから、あがったんや。아이고連れてきてよかったわ、と思ってさ。それで、ずぶ濡れやろ?何しろすぐ凍るわ、手袋なんかすぐ凍ってな。出て来たと思って、こうやって這いずりながら、崖のところな、石だらけや。砂利の石。そこをばーって行ったらな、細かい砂利の石がいっぱいついて凍ってついてな。

F:痛い、痛い。

C:そのおかげで、ついたから助かったよ。うわーこれどないするんやと思って、そこに座ってからこれを叩いて、取ったわけよ石を。本当はそこでそういう約束ができてたのにこのアホが忘れて石を叩かんと座っとったわけや。私がここに石がいっぱいついとったから、それで叩いたわけや。だから、私はね、살 팔자인 것 같애。なんか運命がね、なんかそんなうまいこと、身逃れてるわけ。それで、合図があって네, 형님 나요!と。ほんで会うてから、その次車が来て、車に乗って、ぶーんってそのブロークの家に行くのに、ネオンサインが、中国だってしれてるネオンサインやで、それでもあんた北朝鮮はひとつも電気がないやん、真っ暗やろ?ほんでもその電気みたら、いやあ、もう살것 같아(笑)ポツン、ポツンとあるネオンサインがなんであんな멋있나, 이야〜살 것 같아。死んでもええわという気持ちやったな。もうずぶぬれやで。それでアパート入って行ったわけや。そしたらみんなジュブジュブやから階段に水が残るやんか。「早いことあがれ!」って「靴脱げ」って、靴脱いで、靴履いてたら濡れた足跡ができるから、そのまま入れって言ったら、2階行ったんよ。집좋더라고.だからブロークしながら金儲けてるわけよ。専門でそれやってるわけよ。

その家で、そうやな、10日くらいおったな。結局お金ないやんか私。お金もないのに人の家に乗り込んで入ったわ。こらこらどうするか、言うてこれからしょうがないから、私はもう一回電話を、友達んとこでもかけてみて、お金がなかったら、もう私はこの薬を、この家で飲んだら迷惑やからな、ちょっと誰もいない時にそっと出て行ってな、どっかで薬飲んで死のうって。死ぬ覚悟あるから、もうどうってことないのよね。別に怖くもなかった。私が電話をね、友達、知り合いのところ、日本にかけたわけ。私、今なって。妹のところでは少ないお金言うといて、友達のところは100万。(笑)100万言うたわけよ。ある家やから。100万は必要はないんやけど、訪問に来ている人やから。ほんで、何しろその人が「わかった」って言うて、お金送りますって。100万送って来たんや。

F:訪問にくる人ってどういうことですか?

C:訪問言うのは원산にいた時に、日本から万景峰が通って、

F:ああ。방문단

C:そう、방문단

F:その時に親しく?

C:その時に親しく、行ったり来たりしてたんよ。

F:特に日本で知り合いやったとか、親戚やったとかじゃなくて?

C:訪問にくるやろ。방문。そしたら20万ずつぽんぽんっとくれるもん。私がおもろい言うて。自分らが来てる間、自分の家族やで、そこにいるのは弟とか弟の嫁さんとかな。ほんで、弟の嫁さんには5万円しかあげへんのに、私に20万くれて、悪いからそれ、私絶対隠さへんねん。もろたらな、あげるねん。これは私のじゃないね、おばさんのやって、その언니に返すわけ。心の中では腹痛いやろうな、あんた。自分の親戚が、自分の弟とか妹には5万ずつしかあげなかったのに、アカの他人に20万もあげやがってって思うわな。

F:それでそのお友達から、방문来ていた人たちから支援を受けて?で?それで韓国へ?

C:そう、それで韓国にきた。

F:中国人のふりして入った?そうではなくて?

C:いやいや、もうそのまんま秘密で、そっから、あのなんや、地図があるやろ?보지?あのね、中国こうあるやろ?朝鮮やな(地図のイラストを書きながら)あのなんや、ここが、ミャンマー。ラオス。ミャンマーね。その次、こうやって、こうやって、タイ(経由)이렇게 되어 있어.(絵の上では)あんまり近いけどな、これ。だからこっから원산、一番、원산が一番38度線で一番끝이지?ここから中国に渡って、バスに乗って乗り換えて、またバスに乗って乗り換えて、乗り換えて、乗り換えて。バス乗って、二日間くらい行ったな。夜も昼もずっとバス乗って。中国広いやんか。ほいでここまでバスのって、途中で検査受けなあかん言うたらみんな降りてから、また逃亡や。歩いてからあそこまで来い、言うたらどこどこまで行くわけよ。 そこからまた乗って、またずっと行ったらまたどこどこで検査する言うてまた降りて。見つかったら殺されへんけど豚箱やな。それで今度はミャンマーに渡って、ここからは逃亡や、歩いてな。ミャンマーからラオスに渡って、この川があるのよね、小ちゃな川。ラオスに渡って。ラオスから、タイの横にこうやってね、こう大きな川があるねん。タイの大きな川があるねん。ワニも出てくる言うて。ワニが出てくる。

F:いやー

C:女の子がワニに喰われた言うとったもんね。ほんで、この川を渡って、タイに来たら、韓国の、豚箱があるわけや。韓国で見てくれてるやつね。ここまで来たら安全や。ここから、こうやって韓国に飛行機乗って韓国に。一周回ってるよね。そやろ?こっから、こうやって。中国、ミャンマー、ラオス、タイ、ひとつふたつみっつよっつ、4つの国を渡ってきたんや。38선言うたらここやろ?ひゅっと渡れるところをな、ぐるーっと周って周って周って来たわ。

それでもな、あんた助かってから私がここで生きてるいうことが不思議よ。そうでしょ?私の運命も小さい時からろくなことなかったで。お母さんついてから、2度目のお父さんとこ行ったらもう、お小遣いくれたら叩かれたしな。思い出いうのも叩かれたことしか、思い出ないわ。ろくなことない。ほいで帰国したらこんなこんなやろ?旦那さんいうのはまた叩くんや。私は叩かれる運命みたいや。結婚したらまたその男が叩く癖가 있어.今度はあんた보위부が叩きよる、手で叩くんじゃなくて政治的に叩かれてね。今ここ来てやっと叩かれてない。

F:やっと。

C:もう、こんな小さい時からろくなことなかったな。ほんまに、ろくなことなかった。せやけどな、私のために色々してくれた人たち、有難いその(恩)。小さい頃から苦労してるから、こう、하늘에서

F:지켜봐주시는

C:うん。もうなんか、하늘言うたらおかしいな。私も川渡りながら、じゃなくてうちの娘たちが거의1年後で出て来たからな、この時この子らのためにお金をなんとか工面してから送らなあかんのに、また他人に、できないじゃない。だから私が働いたお金であれせなあかんのにな。それを借りようと思ってもなかなか借りられへん。だからキリストとかなんとか来い言うてから、そのキリストに連れてったおばはんにお金借りるとこないか言うたらなかなかないな言うてた。

F:조상님이 지켜보시는거 아닌가?

C:まぁな、運がよかったんや。

F:팔자で、そうなのかも

C:昔の人が言うやんな。あると思うな親と金。ないと思うな、災難と運。だから、災難もあれば運もある。金はあったりなかったり。一生暮らすにはこの4つがちゃんと、当てはまってるから、あなたもね、苦労しても、人間生きていくのよ、これが当たり前やと思ってね。涙をこぼさず一生懸命、仕事して、子供を育てなさい。

F:はい。ちなみにワニの出る川はね、どうやって渡ったんですか?

C:ボート。速いボート。ぶいーって。赤いチョッキ着せてくれたわね。浮き袋みたいなね。だから、관광にきた人間みたいに化けて、長いボートだけどモーターボートだから、速いから。それがスーッといって、ある時はなんか怪しい船が来たら横っちょに隠れる時もある。止めとくとき、そういう時なんか、ワニに食われた人がいたって言ってたな。

F:そうですか。

C: 私なんかもう、はよう嫁に行ったからな。19で嫁にいって。ほれで1人子ども産んで 2人目の子どものとき、うちのおっさんギター弾いた言うてな。 それではたまた田舎に追放されて、20歳のときに。子どもおんぶして田舎にテコテコテクテク歩いていって。 田舎にいって荷物全部没収されて荷物何にもないの。歳は20歳や。 ほな子どもおんぶして、2度目の子ね。上の子、お婆さん預けて。はー。田舎行って、水がないねん、水道が。井戸いかなあかん、井戸。昼いかなあかんのに、昼仕事せなあかんやん出て行って。はたまた夜行かなあかんの、気持ち悪いやん。皿屋敷?あるやんか美空ひばりの「1枚〜2枚〜(歌)」ようできないで、あんた。

でも水汲めないから、今のこの子な。この子を椅子に縛り付けて、こうやってくくっといて、朝おっぱい飲ませて。おしめ取り替えて、そのまんま仕事にでて。真ん中の10時ごろに1回おっぱい飲ましにくるわけ。そのときにおっぱい飲まして、おしめ取り替えてすぐ井戸水汲みに行くわけ。水を。ほんでまた仕事に出て、夜は水汲みにいかない、怖いから。 だからもう洗濯とかたくさんできない。まぁシラミが布団の上ぴゅーと歩いてるしな 。そこで若いのに可哀想や言うて、そしたらな仕事に出んと家で、縄を機械で、こうやって足で機械で回したらできるやつあるねん。男の人がやってるのに、女の人のほうがな、能力で男は使えるから他で、あなたがしなさいと。

F: 家でできるようになったんですね。

C: それで、家でできるようなってから、あのおっさんが3つしかできないやつ、私は5つ 。スポーツマンやから、体育してたから、力があるし。もう働きもんやから、私は。

F:また昔に戻るんですけど、ここまでのお話がすごくてびっくりしています。

C: いろんなことがあったよ、みんな言わない、全部言えないけど ま、굉장해、なにしろあの国は。

F: ちょっと帰国船乗るところまで戻るんですけど。13歳っておっしゃってましたね? お姉さんたちは?

C: もう19、20歳のとき。

F:なるほど。1番目のアボジが帰ろうと仰ったんですよね? お姉さんたちね、もう、仕事とかしてる歳じゃないですか?

C:上のお兄さんは、別にもう、高校いったんか?中学で出たんか知らんけど。なにしろトラックの運転手するんやいうて、買ってくれ買うてくれ言うて、お父さんにな、トラック1台買うてくれたら、おれ金儲けできるってやってた。なんせ仕事しようと思ってた時やな。下のお兄ちゃんと私が、学校いってたんや。ほんでその呑んべえのお兄ちゃん있잖아。呑んべえ、あの呑んべえの兄ちゃんはコソ泥やねん、泥棒しよるねん。

F: お兄ちゃん、お兄ちゃん、お姉ちゃんですか?

C:お姉ちゃん一番上、お兄ちゃん、お兄ちゃん。下のちっちゃい兄ちゃんが、このコソ泥やねん。呑んべえの使い道ならんやっちゃ。泥棒はするしやで、人のもんよく、そら自分の妹のもん軽く盗むわな。そういう泥棒やねん。私1回学校、一緒に이렇게 나가는데,오빠が学校行かんとこうやって。なんで?いうたら、学校行かんと映画館で映画見に行こうやって え!?って、ほいで映画館ついていったのに、その横の、映画館の横に洗濯干してあったんや。タタって降りてって洗濯1つひっぱって掻っ払っていくわけ。だから、それがないと釣りにしてから上がれないから。トイレから入るんやて、私もそっから入ったけどな、映画館。小さい時に。トイレの横から。こんなん(格子を手で表現)やってへんねん。こうやって窓からいくらでも入れる。

でも高いから上がれないじゃん。だから、その紐をくぐるために、私見て俺がこうするからこの上あがってな。 「そこで縛れ」って、その盗んできた洗濯物な、縛って。うちのオッパがこうやっておって。私が先に上がって、「入れ」って。入ったらオッパがちょっと背が高いからな、それ持って入ってきて。映画入ったことあるんや。あいつは悪いやっちゃ。あの小さい時から悪いことばっかやって、ほいだからロクなことないであれは。

F:よく考えましたね。

C:小さい時は悪さするて聞いてるけど、なんせうちの家ではね、うちの큰오빠もよう働くし、働きもんやから日本に置いてきたらもう金持ちなってるわ。もう学校卒業した途端、トラックあったら自分は金儲けるって。だから北朝鮮来ても、金はよう儲けとったで。どないして金儲けてたんかしらんけど、よう金儲けしてた。

F:お姉さんはどんな人ですか?

C:お姉さんは博打打ちや。

F:博打?!

C:博打しかしらへん。

F:結局結婚、せずに

C:うん。結婚せんと、北朝鮮来て結婚したんや。

F: アボジがね、帰国するぞといったとき、お姉さんたちは嫌だとか反対は?

C:そら嫌だ言うて、また逃げてたよ1回。逃げたやつを捕まえて。だから、本当はすぐに20船ぐらいで帰れるやつ、延期して子どもらのために 延期して30…34船で来たんや。

F: ということは1961年?

C:そうなるな、61年やな。

F:季節は?

C: 夏、8月15日、14日。次の日해방날이다〜言うとった。

F:そうですか。 船はなんでした?

C: ロシアのクリリオン号か、ドボルスク号かどっちかや。

F: アボジが、なぜそこまでして子どもらを連れて帰らなきゃいけなかったのか?

C: だから昔から総連ボケじゃん、うちのお父さん。総連ボケやんか。だからそういうの まぁ神さん信じるみたいな感じで、金日成の話を本気にしてたわけ。だから、日本に置いとったらコソ泥はするわ、姉ちゃんはキャバレー行くわ。私はお母さんとこ行ったり来たりするわ。だからまとめてな、あっちに行ったらちゃんとした学校いって、な。まぁここでは大学行けなくても、あっちに行ったら大学もいけるし。みんな家もくれるし、공산주의やで共産党。アホかて。共産党ちゅう自体はな、これがあんたのものであり、私のもんや、としたら誰のもんでもないもんでもない。そういう国や、だから誰も働かないさ。あんたがスコップ持って1回やっても、私が2回やっても同じ給料くれるんやで。誰が働くねん。

F:そうですね。

C:うまいことちょろまかしてからな、給料貰えるねんから配給貰えるねんから。そんなね、そんな国が成り立つはずがないわ、そやろ?資本主義はなんで発展する? 自分が儲けたら儲けただけ自分の懐に入るし。なにしろ自分の物になるってのは魅力やな。あっちは魅力がない。なんの魅力もない。魅力のあるっていう人は遊び人。仕事の嫌いな人たちがあの国にちょうど合うわけや。흔들러 흔들러やっても配給くれたし、お金くれたし、大したことないお金やけど、配給だってトウモロコシやけど、なにしろ굶어 죽지 않고食べられるようになってたんやから 고난의 행군 들어가서あの国はおじゃんになったけど、でも今入って、고난의 행군 들어가서 거꾸로今になったらな、ゲンちゃんたち見たらみんな良い物着てるで、北朝鮮。今の北朝鮮ええところよう出てるやん。

F:平壌の様子はね。

C:そうやろ。だいたいもう幹部とかな。そして今商売さしてるから、もうよほどじゃなかったらみんな食べてる。どうにかやってる。

F:そんなことがあっても愛国心ということに?

C:ずっとこだわっている。ちゃんとあるからこうやって帰国してきたんやろ。

F: 帰国事業が始まってからね、アボジが、土地を離れて帰国するのは(アボジの)愛国心だけですか?

C:だから、子どもをまともにしたい、ただそれだけやな。間違った道に行かんように、ただ夢を思ってな、夢やそりゃあんなもん、本当じゃないんだから。 まったくハッタリで、嘘やない。

F: 元々生まれ故郷に帰りたいとか、そんな事はなかったですか?

C:それはあったけど、こっちは、韓国は貧乏やったやろ? だから韓国には入れなかったじゃない。 だからあの時、韓国で船出してくれてたら、誰だって自分の故郷に帰えるわ。帰れないから同じ朝鮮でも、すぐ統一するやろいうて、うちのお父さん言うとったもん。2だけ、あ、3年やな。3年したら統一するから、3年分のやつを持って帰ろって言うてな、スリッパから靴からタオルから石鹸から、なんか机の中の引き出しからみんな石鹸入れてタンスの中にも生地いっぱい入れて、靴下こんな大きなトランクにいっぱい入れて、3年どころじゃないよ、そりゃあんた持ってって、米と取り替えてみんな食べたで。(笑)結局お米になって変わった。

F: では3年たったら統一するし、

C:すると思って行ったわけや。

F:고향にもいけるしで。

C:そうそう、やからあん時ね、6.25戦争があったじゃない。だから、その後から総連でもう、北朝鮮の宣伝バンバンするやん、ええとこばっか言うてな。せやからな、絶対に北朝鮮に勝つとおもてな、勝つも勝たないも同じ朝鮮じゃん。だから、いずれその삼 팔は無くなるだろうって夢を持って行ったわけ。

C:そう思いますよね。

F:そう思って、子どもらもな、ちゃんと真面目に勉強させたらいいな思って行ったわけ。それがもう結局は、もう、地獄や地獄。

F: ではアボジは子どもたちに勉強させたい気持ちと、愛国心と。

C:そう。

F:共産主義的な側面は?

C:そうそう。共産主義的な人間や。

F:そんな話もしていました?

C:なんでかと言ったら、うちのアボジが民団の、ここに、北朝鮮に帰国したら、うちの兄が党員にならなあかんのに、なんでも党員にならなあかんやんか北朝鮮は。 党員にならなあかんのに何かがひっかかって、お父さんの成分がひっかっかって、党員になれなかったわけ。ほんで党員になれない原因をお父さんに聞いたわけよ。お父さん一体何を悪いことしてたら俺が党員になれないのかって。ほんで聞いたらお父さんが、その時に、あー俺が련맹 때な、民団の속으로 들어갔다고。民団。 だから련맹도 있고民団もあったやろうな、一応はそういう塊があったわけよ。

F: でもいうてね、当時は朝鮮人ていう感じだったじゃないですか

C:そうそう、もうこっちの属、あっちの属てなんかもう、アフガニスタンみたいに アラブ人よ무슨人よと。イスラム教よキリスト教よと教が別れてるみたいにそういう感じだったのが、お父さんが련맹の方に入ってたのに民団の人たちの속으러入ってたらしいわ。うちのお父さんが、その時に俺はお父さんは民団の人になってたって。だから우리가 기여한 다음에ね、そのまんま付いてきたはずやって。

F: そこまでも出るんですね。

C:すごいよあんた、굉장해요あんた。こっちで北朝鮮、綺麗に知ってるし。北朝鮮はこっちのこと綺麗に知ってる。工作員使ってるから、やからなぁ朝鮮人は복잡해、あっちにスパイこっちにスパイ。やりたくないスパイ、やりたくてするスパイ、もう여러가지やな。(笑) いや、ほんまややこしいわ朝鮮人は。私な、こんなこと言うたら韓国人に殺されるかわからんけど、ここでの話やけどな、あん時な日本がな、アメリカの진중한 な、打たんかったらよかったんや。そしたらな朝鮮は日本になっとったんや。わしいつもそれ思うのよ 。こんなこと言ったら殺されるかもわからんけど。

F: 可能性はあったでしょうね。

C:ねぇ、どこの人間だろうが幸せに暮らせたらええやん 。民族の、うちのお父さんたち、遠い昔の人間たちはなんあんな民族に対してこだわるんやろうって。やから、私はどこの人間でもええからな、飯食って幸せやったらええと思てるわ。思想が悪いやろ、私って。(笑) まぁ限定的に考えたらさ、どこの人間であろうがみんな幸せに暮らせたら、地球は1つってなんでいうてるんやろて、わしがいつも思うのが地球は1つにならなあかん。こんな戦争ばっかりやっとって思うもんね。地球が1つにならない限りいっつも戦争や。見てアフガニスタン、この頃アフガニスタンに対してずっと勉強してるんやけど、アフガニスタン、イスラム教の喧嘩、もうビンラーデンがいるとこ、もうインドも、そこの歴史な この頃なその歴史勉強してるんやけどな、いやぁ、この戦争ってのはな、無かったらあかんのんなって。 地球が1つになったらどれだけいいか思うよ私はほんまに。もうキリストよイスラム教여 신교여 불교여 とややこしいことやってるわて。私はな、불교とかキリストとかひとつも信用せんよ。自分の運命はな、

F:自分で?

C:それは金日成が言うてること合ってる。(笑) 金日成がいつも言うとることは、自分の運命は自分にかかってるって言うたんや。ところがな、それは金日成が誰のことを拾って言うてるかや。ベートーヴェンの話やで、ベートーヴェンがその運命という曲を作って、自分の運命は自分にあれしてるっちゅうのはベートーヴェンが出したんや。それを真似してから、ええかっこやって。あいつは悪い奴や。だけどな金日成だってな、재대로 해보라고 했겠지.国民のために一生懸命やろうと思ったけど、結局はそれがうまくいかんいうことや 。共産主義、社会主義は絶対あかんいうことや。結局は自分が왕になってやで。自分のためにあの国、成り立てているやんかね、奴隷やんか残った人間は。あんなやつは世界でやっつけなあかんで。

F: その金日成の話なんですけどね、朝鮮学校行ってたっておっしゃってたじゃないですか。子どもの頃は、金日成とか北朝鮮のことどう 思ってました?

C:そら学校行っても金日成の写真があったもんな。そらあの時は小さいときやから、金日成は神様みたいなええ人やぁとおもてた。ただ幼い時やからな。

F: 祖国のことは?

C:祖国っていう、まではいってなかったかな。12、3歳やからな もうただ遊び盛りで子どもの頃やから、もうボンボンやってる時代やからな。もうなにも、社会がどうでも、資本主義がどないで社会主義がどない、全然関心もなかった。 F:学校変わったり、なんやかんやあったしね。

C:そう、しょっちゅう学校変わってから、勉強したくないなと思って。もう勉強、(学校を)変わってばっかりいると、休んでる時間が多いから。結局は勉強できひんやん ほんでまた北朝鮮に来たら、またそん時はもう中学校になったら、もうスポーツやってたから。

F:何やってたんですか?

C:私、陸上から始まって、농구、バスケット、陸上、バスケット、バレーボール、中学校の時は、あれもやってこれもやったりいうて、もう選手になんでも出ていくんや。もう陸上は速いから高跳び、幅跳び。いつも1等2等やってたからね。

F:家建てる話もやけどね、基本的に体力が(あるんですね)

C:そう。そういうのがある。スポーツはね、スキーひとつどけて全部できる。スケートも中央までいって、選手してたしな。スケートも私本当に速いで。

F:ええ、スケート選手まで。

C:日本に居る時、よくうちのお姉ちゃんとアイスリンクな、幼い時、よくアイスリンク行って、フィギュアでな、スケート乗ってたんや。朝鮮来たらタダでスケート乗れるやん、氷が昔はよう凍っとったから。汚い木でやったやつな。上は木や、そんなやつで下スケートの歯で、乗って、(日本にいる)お母さんにな、私スケート乗りたいんやけどな、お母さん、送ってって言うたら、ホッケーが送ってきたホッケー。(笑)ホッケー乗ったらスッテンスッテン転んで、お母さんお母さん、これホッケーでフィギュアじゃないで言うたら、今度フィギュア送ってくれてん。ほんでフィギュア乗ったらまたひっくり返ってその指導員が、あんたはね、踊るタイプじゃないから(笑)スピードしなさいって。ほんでスピードやってたんや。スピードはもう女の子とは경기しなかったからね。男と対等にやってたから。男の選手が練習するやろ、そしたら私は必ず男とやってたんや。

F:男性と一緒にやりあう人生だったんですね。

C:だからなにしろ横が男性やね、女の子は相手にならなかったんやね。スケートもいつも男の子と競技やってたんや。だから、女の子とやったらもちろんバァンと先に出る。だからもう力があったんや。

F:力があって活発な。

C:そうそう男みたいな性格。

F:一緒に遊んでたのもだいたい男の子?

C:そうそう、だからね小学校の時なんか、女の子に掃除させなかった.。男の子たちにオイみんな来いって、男の子に掃除させて、女の子は家帰れーってやっとった。親分や、女親分。(笑)

F: 학교ではしっかりした학생だなって?

C: 別にそんなのは聞いたか覚えてないけど、学校だってね、長いこと通った学校がないからね。ちょっと通っては辞めて、他の学校行って、そんな感じやから。

F: 帰国したことは運命やと思います?

C: それも運命やと思うな、うちのお父さんが総連の仕事してなかったらそんことなかってん。련맹の仕事したから、またその頭が、ずーっと総連の方の見方やから。やっぱりそういうの耳に入れるやんか。

F: 総連の仕事をしていればしているほど、結構後に帰ったりされる方が、

C:それはね、総連の仕事してたときやけど、うちのお父さんは私が生まれる前までは련맹をやったけど、生まれた後、お母さんが帰ったあとは、何にもできひんやんか。子ども3人育てやなあかんから。それでその仕事を辞めたけど、友達たちがそういう仕事してたから こう耳に入ってくるやろ。

F:友達付き合いがずっとあってね。話の内容もそればっかりだったでしょうしね。 C:そうそう、そうなる。それでもう色んなこと聞いてたら、祖国に帰ったら大学もいけるわ、なんやかんや言うてな、まぁ夢みたいなこと聞いてから、それで帰国事業に走ったわけや。

F: 帰国するぞって聞いた時にどう思いましたか?

C:私なんかこの小さかったから、なんとも思ってへんかった。 うちのお母さんは、帰国する言うたら、うちのお母さん途中で2番目の旦那さんとこ逃げてったやんか。その時に、私はお父さんとこ行ってたんやろな、んで帰国する言うから、私とお姉ちゃんが 行ったわけ、お母さんとこに別れの話のためにな、別れの話しに行ったらお母さんが 「いくんじゃないよ」って。お母さん民団やな。やっぱり利口や。お母さんは民団やねん 。

F:なんでオモニは民団へ?

C:知らん、うちのお母さんは総連大っ嫌いや。お父さんがあんなことやってたから。

F:お父さんがあんなんやからって、もう

C:なんにせようちのお母さんは、親戚自体がここは大邱のな、そこらで金あったし、だから民団の方やねん。ほんでそのオモニ、うちら帰国する言うたら言うてた。お前な行くんじゃないよって。北朝鮮行ったらトウモロコシのご飯食べるよって噂聞いたよって。

F:噂がその時にもうあったんですね。

C:うん、もう聞いてた。だから、噂っていうより、だいたいね昔っから北の方はトウモロコシしか食べなかった。米がないって、だからウチのお母さんは昔っからここは米があっても、上はトウモロコシしかないっていう頭があったわけよ。だから、北にいく言うから、そんなこと言ってたみたい。あっちに行ったらトウモロコシしかないんやでって、米は出るとこがないからなって。行くなー行くなー言うてたお母さんが。ほんで今度はお姉さんと2人で帰る言うたら そのお母さんが私に1万円くれたわ、くれながら逃げてこいって。 んで私1万円もらって靴下の中に入れて、ずっといてたわけ。靴下取り替える度、また靴下にいれてな、靴下二重にしてその真ん中に入れて。ほんだら伊勢湾台風 、名古屋でね伊勢湾台風があったんや、んで、その時にお父さんが学校行け言うたから腹立ってからさ、何も台風のあとにな、学校行くことないやろってバス乗ってそのまんまお母さんとこ行っちゃったわけ。そんで名古屋駅行ったら、どこで切符買うかわからへんやんか、そしたらなんや、各駅停車。(笑)わからんから、切符買うて、各駅停車乗ってからな、鞄ランドセル背負って。 小学校やのにな、ランドセル背負って、ほんでなんかマンボズボン(?)な。なんか折ったら赤いのでな、こんなビロードの、ほんな折ったやつでな。こんなやつはいてやで、ランドセル背負って電車乗ってから、今行くのにな なんや売りにくるやん、「弁当~弁当~」つったら、お金パラパラ出して買うてたら、前にいる人が、えらいお釣りくれるやんか1万円がバラバラになったから。お嬢さんそんなんしてお金バンバン使ったらあかんよ、隠しとき隠しとき言うてたわ。(笑) そうやってお母さんのとこまた行ったわけやわ。んで私は元々横浜に居てたから道を知ってるやんか、小学校通ってるときに、行ったり来たりしとたから。 お母さんとこ行って、そのまんま置いといたら私日本おったで。 またさ、お姉ちゃんがさ、鬼みたいな顔してさ、私連れにきたんよ。 ウチのお父さんがな、今な自動車に轢かれてな、私を찾다가、私を探してて、お父さんが事故起こして倒れたて言うて、せやからお前早いところ行かなあかん言うて。また私連れていきよってん。 せっかくお母さんとこ逃げたのに。嘘や。自動車の事故じゃなかった。探して、일꾼들仕事もさせんと일꾼들 들어서私探してくれって。일꾼들一日のお金あげながら探せいうてな、もう大騒ぎだったいうてやってた。ほんならまさか横浜まで行くとは思わなかったって。それでも혹시と思って姉ちゃんが来たんや、あの姉ちゃんと横浜行ったんが悪かった、でも行ったから1万円貰ったんやな。

F: お姉さんは結構アボジ側というか

C: そうそう、小さい時からアボジ側、

F:アボジはとにかくこともらを連れて。

C:子ども子どもってやって、結局子どもをどん底にはめちゃったんや。ねぇ、ありがた迷惑やな。

F:アボジだけのせいではないけども。 アボジはアボジの想いがあったんでしょう

C:そうそうそう、アボジはアボジで子どもをしっかりなぁするために 。

F:しかし頑固だったと

C:そうそうそう、なにしろねウチのお母さんと合わないから。

F:じゃあオモニとの別れがそんな風になったということですね。

C:だから、ウチのお母さんは、2度目の旦那さんもハンサムやで。背も高いし、せやけどな、いつもウチのお父さんが好きなんや。訪問に来てもね、言うてた。 自分は2度目の旦那さんよりな、このお父さんが好きやったって。それでもいつもこのお父さんは、追い出すやん。何があんなに合わなかったんやろな。 離婚した言うたら敵みたいに。私はそうじゃない。

F: 선생님の面白いところ、人と関わるサッパリ感というか、距離感というか 口も達者というか、(笑)なぜそのお力が?

C: どっちかって言うたら行き過ぎぐらいやで。(笑)

F:今もお話をうかがっていると、考えるところは考えて、そうでない時はこう、上手い口調で。 そういう賢さってね、大人になって欲しくても手に入るものじゃないから。

C:そういうところはウチのお父さんに似てるんじゃないかなと思う。ほんであの商売の方はお母さんに似てん。だからどっちの二人のね ところを貰ってるのに、1つはお父さんの義理人情、1つはお母さんの商売根性。私見てね、みんながね八方美人や言うて、私見てお前の頭はベアリングや言うて。頭がベアリングで八方美人。できないことがない、なんでも男のすること女のする、 そやろ?針仕事もそうやし、パーマも

F:土木もするし、

C:土木もするし、

F:スポーツするし

C:スポーツもするし、おなごの仕事もするし

F:ごはんも作るし

C:料理もするしね。だから服なんかもパターって切ってからすぐバッと最近の服に取り替えちゃうしさ。なにしろ、あだ名が八方美人やった。

F:有名人だったんでしょうね。

C:うん、有名やったよ。だからね、李さんが、車いっぱい送ってきたいう人、お前元山でな C知らんかったらな、スパイやでって言うとった、いつも。(笑)お前知らんかったら俺スパイやでって。そんなして言うてたぐらい。

F:スパイしてたら儲けてたかもしれませんね

C:ねぇ。でも私はスパイはしたいとは思わないな、金儲けはしたいと思っても。

F: オモニは、訪問団とかで来られたりはしたんですか?

C: そうそう、来てた。初めはね民団やからって来れなかったんやけど、次からまた民団も来るようになってん、それで来たんや。じゃなかったら、来れないよ。

F: そこでお会いになられたのが最後ですか?

C: そうそう。結局はもう、私も新潟センターで逃げようかなって思ったけど、ウチのオンニがもう、見張ってからにほんま、逃げたら殺すって。

F:最後まで逃げようとは思っていたんですね。

C:そうそう、ずっと逃げようと思ってた、幼い気持ちでもね。

F:お母さんと居たいから

C:なにしろお母さんと居てたんやから。お姉ちゃんとこ行ったらイジメられてるから、お姉ちゃんも私叩くねん。掃除せぇ!言うたりな、あれは根性が悪いのよぉ。

C:やりすぎたりとかはしないの。

F:オッパもね

C:そう、飲み過ぎ。 でも、ウチのクンオッパは働き者、私と同じ、二人が。二人が働きもの。

F:兄弟ってそういうバランスなのかもしれませんけどね。

C:だけどウチのオッパもね逃げようと思って、何人かで恵山まで来てたんやで。ところが、捕まってから帰っていったんや。

F:お兄さんはまだ北にいらっしゃるんですか?

C:いやいやもう死んだ、死んだ。

F:お姉さんは?

C:お姉さんはとっくの昔に死んだ。90年度の、95年?94年?そのぐらいに死んでるわ

F:金日成と同じぐらいですか。

C:そうやなぁ、金日成の、そうやな死んだ後かな。なにしろこうやって、生きてるだけでも大したもんや私は、不思議に思ってる。

F:また、それで、オモニと泣く泣く、逃げようって新潟センターに行かれるまで思いつつも逃げられなかったんですね。

C:うん。逃げられなかった。

F:サインしないとだめだった?

C:私はサインしない、

F:子どもだから?サインしなかったんでしょうか。

C:うちのお姉さんなんかはするけど、わたしは(しない)。うちのお姉さんもいかんとこ思ったんやて。来てから言う話では。でも自分がいかなかったら、この兄弟たち、弟妹のご飯を誰が炊いてあげるんかなって、それが心配で、自分は行った言うてたわ。だからその時そういう気持ちだったって。お父さん子やからな、お父さんがかわいそうやし、お父さんひとりで行ってな、嫁さんもおらんのにな。あんなしてから。兄弟どないしてご飯食べさせるか、ってついていったんや。じゃなかったら自分も逃げよう思ってたんやて。

F:そうでしたか。新潟までは汽車にのっていきました?

C:新潟までは、汽車。電車。

F:名古屋から電車で行って。荷物の準備とかは大変でしたか?

C:荷物はそりゃ後ろで全部荷物して、それをちゃんと国家でやってくれてたん。

F:そうですか、アボジが

C:荷作り全部タダ。全部北朝鮮でやってくれる。北朝鮮か総連かなんかで。なんせ寄付したお金かしらんけど、荷造りの荷物は全部タダで送ってくれたんや。だけども、帰国してね、荷物持って来たら、他の人たちはトランク一つ持って来たって。あんたとこどんなしてそんな、たくさん持って来たのって。うちのアボジ、そこまでよう考えたんやけどな、うまいこと考えていっぱい持って行ったのはいいけど、また20年経っても統一できてへんで。(笑)

F:そうですね F、3年経ったら統一する言ってたのに、2、30年経っても統一せえへん。もうこれで終わりや。絶対統一はせえへん。

F:いやぁ、どうでしょうね。

C:絶対できへん。だってさ、考えてみ、アメリカも強いよ。あっちだって、中国とソ連は強いで。ロシアも大きいし、中国も大きい国やで。そこ出すと思う? F:今となってはそうですね。

C:でもね、私はそれを思うのよ。日本があの時ね、中国まで入っとったやろ。私はそういうの、日本のうちの国を食うたとか食わんかったとか、悪いとか思ってないよ。あの時代は全部、あっちがこっちを食って、こっちがあっちを食ったりやってる時なんやから。お互いに食われるのがアホや。でも日本は、中国までうまいことね、満洲まで入ったんだったら、アメリカ達まで안돼.アメリカは触ったらあかん。アメリカをおちょくったためにうまいこといかなった。あそこ放っておいたらよかったんや。何しろさ、日本もね、ちょくちょく食うていかなな。いっぺんにぶわってしたらな、そりゃあたるで。そやろ?吐くで、食いすぎて。食いすぎて吐きますで。食いすぎや、日本は。だから私は思うのね。いやぁ、これはかってなことか知らんけどな、向こうは向こうの事情があると思うけどな、日本での。だけど、あれはね、徐々に食うていかなあかんねん。

F:急にやりすぎた、

C:急にもう、フィリピンから何からどれだけ手をのばした。そのために日本国民はどれだけ苦労したの。ね?国民は国民で苦労して、な?軍隊は軍隊で死んで。だから、中国まで行って、一時停止せなあかんねん。朝鮮30年あんた、植民地やったんやで。あんたみんな日本語喋るようになったんやで。すごいよ30年植民地。

F:よう考えましたよね。

C:そこまでやってなんでまた取られるか。私があれやったらそんなせえへんわ。途中でやめるわ。で、わたし思うの。日本はな、全部食うとったらよかったのに。うちらもう日本人に、まるっきり日本人になっとるて。 F:いっそね。

C:そうよ昔からずっと考えたらさ、日本になってるよ。大体さ、日本人も朝鮮人も中国人もみんな、昔を言うたらね、一つの民族なのよ。だからね、モンゴルいるでしょ?モンゴルの赤ちゃんのおしりみたら青いのよ。

F:蒙古斑

C:中国も青いの、朝鮮も青いの、日本も青い。一つのアジアや、アジアは一つやから、もうかえってアジアは一つにした方がええのに、お尻の青い通しで、ね?

F:(笑)

C:それで日本がうまいことぶわっと食うたからな。うちらあんた、朝鮮人が、そん時日本語30年使って。わたしは 北朝鮮行ったらな、近所のおばさん、歳とったおばさん、日本語ベラベラやったもん。おばさんどうして日本語知ってるの?言うたらな、ああ植民地やったからな、学校で朝鮮語喋ったら怒られるんやでって。だから日本語ばっかり喋ってたって。だからどれだけ、30年言うたら、うまいことやれば日本は買ったんよ。私いつも思ってた。あの時な、うちも子供らにいつも言うとる。あの時日本が、食いすぎてな。

F:とうとうアメリカに手を出した、って。

C:そう!とうとうアメリカにおちょくってからな。あんなんなったんや。진주왕攻撃は本当にやばかった言うて。

F: それで、結局乗ることになったんですよね。8月14日に。

C:8月14日に乗ったんじゃないわ、乗るのは12日頃や。3日くらい乗って来たから。

F:名古屋を出発したのがどれくらいでした?

C:10日ぐらいに出発してるんちゃうか。新潟センターでまた寝て、なんか船が来て。だからもう、なんだかんだしたらね、何日か前には行ってるわ。

F:新潟センターには、数日間止まって、

C:1週間くらい居たんちゃうか?

F:家族多いじゃないですか?お兄さん、お姉さんとアボジと、ですよね。

C:うちの家族が問題じゃない。みんなあちこちから、みんな来てるんやから。

F:5人家族で結局C:そうそう5人家族で、私らが5人家族でみんなあちこちからくるやろ。そしたらそれ全部書いてみんな면단してから、いこうと思ったら1週間くらいいたんとちゃうか。

F:アボジの親兄弟とか?

C:みんなこっちや。韓国や。

F:誰もいなかった?友達とかは?

C:そりゃいなかったもなにも、来て皆わからんねん。北にいったんやから。

F:友達とかも特にいなかったですか?アボジの友達とか。

C:知らないね。

F:見てないですか。

C:全然見てない。

F:C선생님のお友達とか、朝鮮学校の友達とかは?

C:そりゃうちの旦那さんと兄弟やって言ってるやん。

F:同じ船に?

C:船は違うよ。学校が同じやったのに、帰国してそこで会ったんや。

F:同じ船で友達は?

C:同じ船には友達いなかった。もう四方八方からくるから、誰が誰かもわからないし。

F:どんな印象でしたか?人がいっぱい?

C:いっぱい、あのだからなんかね、米軍のね、軍隊たちがいてたようなそんな寄宿舎みたいなそんな感じのとこね。夏やからキャベツ、今思い出したらね、キャベツのキムチ、あれいっぱいだしてくれてた。それを思い出す。キャベツのキムチ

F:あとは?食事

C:あとはちゃんとしたご飯くれたよ。日本やから。

F:ご飯とか、カレーとか?

C:うん。カレーとか一般的なメニューでやってくれてるけど。もう、北の方に来ても食べるもんはね、来たとたんは、お米がくさかったわ。

F:ああ。ちょっと話また戻っちゃうんですけど、朝鮮学校で送別会とかしてもらいました?

C:そんなんはしてもらってない。してない。あたしはちょうどね、방학の時、夏休みの時に、

F:そっか、8月ですもんね。

C:そうそう、8月のちょうど방학の時、夏休みの時に行ったから。

F:小学校6年生ですよね、

C:小学校5年生かな。

F:そっか、じゃあ別れも特に、

C:それもしなかった。だから、このうちのおっさん(前夫)の弟が、私の前に座ってたやろ?クラス同じやから。だから夏休みの時に、うちの家遊びに来てたんやて。そしたら、「引っ越した」って言うてたって。

F:もう、急にいなくなって、

C:急にいなくなって、引っ越したっていうてたから、自分はC 집에遊びに行ったんやでって。自分は、夏休みの時に、Cとこ行ってたって。

F:気があったのかもしれませんね。 C:気があったんやな。結構わたしに、この、ブラウスの後ろにヒューンなんていたずらしとったけど、あいつ結構私に気があったんやわと思って。(笑)

F:大人になってわかることですね。

C:うちのおっさん(前夫)が死んだあとな、私一応離婚した女じゃない。うちの娘、下の娘連れてでて行ったから、だからこの시동생が自分の家の方から何か送ってきたら、今度は시동생がな、うちの家まで持って来てくれたで。ほんで私、変わったおっさんやなと思ったんやな。なんでまたうちのおっさん死んだあとになってからな、この優しくしてくれるの。ほんで、この頃思うのね。あれは、私に、結構気があったんやな。

F:매력이 있으시는군요.

C:なんかどっかね、매력이 있었나?なんちゃって(笑)北朝鮮から見たらめっちゃくちゃとっぴ抜けてるから。うん。でもそれでも、私はなんでもそれなりに合わせられる性格やから。田舎に行ったら田舎に合わせられるし、都会に行ったら都会に合わせられるし。

F:追放されたらそこでも。

C:おう、ヤクザと喧嘩するんやったら、なんやテメエらよぅ、言うてやるんだから。(笑)

F:巻き舌でね。

C:そう、ハッタリもこいて。ヤクザとは喧嘩してないけど、ややこしいチンピラなんかもひっかけてきたら、なんか後ろにバックにヤクザでもいるフリしてから、うぇーってやるよ、わたし。

F:そう振る舞える。

C:そういう振る舞いがうまいのよ。

F:なるほど。

C:なんだってんだよこのヤロ!パンチが効いたら、 F:무서워

C:パンチが効いたらな、おなごがこれくらいやったらバックにいるわな、思うわ。

F:今ちょっと怖かったですもん、私。

C:そやろ。(笑)

F:それで、いよいよ船に乗る時に、61年の34차だったら、すごい人でしたよね、

C:あの時は人多かった。34船。1週間に一回ずつ船来てたから。1週間に一回ずつ船が来てたんよ。

F:オモニって見送りに来られたんですか?

C:いえ、来てない。

F:誰か見送りは?

C:誰も見送りはなかった。親戚なんかいる人は来るのもあるけど、うちはみんな家族全員が来てしまったから。お姉さんがそこで生活しているとか、お兄さんが、結婚しておちついてるとかそういう人がいたらもう、(見送りに)来るけど。うちはもう家族全員が来たやん。お母さんだけ置いて。お母さんは来るはずがないわ。

F:寂しいですね。覚えている風景は?歌歌っている人とか。

C:くる(出発する)ときはわからないけど、천징降りたら、もう全体がこう、旗持って朝鮮の歌歌って、そんでハダカの子供たちが行ったり来たりやってな。食堂行ったら、ご飯食べられへん。

F:さっき仰ってましたね。

C:そのお米がなんであんなに臭いの?

F:日本だとニンニク臭いとかいわれませんでした? 昔ね。

C:そうそう、それは朝鮮の学校言ってるからニンニク臭いって言われてないけど、でもね、道歩いてたらさ、中学生が、朝鮮学校の横やから朝鮮人やってわかるやろ?そしたら、「よ、朝鮮、朝鮮」って言ってから、中学生の男の人たちが、男の子たちがいじめるんよ。私ら。わたしはすっと歩いてた。私は絶対スカート履いたことないねん。いっつもショートパンツ。あの時はもう、ポロシャツにショートパンツだけ履いて、で、足蹴り。

F:臭いご飯は船の中でも?

C:船の中では、さほどわからなかったけど食べれた。あんまりニンニク使ってないんやろ?そこは。

F:かもしれないですね。

C:クリリオン号とかドボルスク号やろ?だからソ連人が乗ってた。女の人が。乗組員はみんなソ連人。だからソ連の食べるもの、コメとか置いてたんちゃうか?料理もその人たちがしてたんや。だから普通のご飯だった。その人たちが作る、東洋人が食べられるようなやつ作るんやろ?だけど、降りてから食堂行ったら、すごい匂いしてたな。

F:招待所?

C:うん。초대소。招待所。すごい匂いしてた。それでもう、あの、みんな並んで食堂入るやんか。人が多いから、並んで入るのに、この帰国船に乗ってた人じゃない人が並んでる場合がある。それは、ご飯食べようと。

F:아이고.

C:そうやって、前に帰国した人なのに、そうやって入ってご飯食べようと思って。 F:前に帰国した人が。前に帰国した人が紛れこんで帰ろうとした人もおるとは聞いたことがあるんですけど。

C:いや違う。ご飯食べるために紛れ込んで、うん。そんな話そこで聞いた。私が直接見たんじゃなくて、あそこにあの、誰だれが入って、人が入って、見たらなんや、前に帰国した人らしいわ、とかなんとか自分らでいうてた。幼い時やけど、それ聞いたことは思い出すな。 行った途端は白米くれるけど、一回だけ。配置して自分の行くとこいくやろ?行ったらそこで、1回目は白米くれるわけ。一回目の配給は。次の配給からは、

F:混ざってるんですか?

C:混ざってるんじゃなくて、何しろこう、お米はちょっと。2、30%。あと70%は、とうもろこしのコメ。

F:オモニの言ってた話、ほんまやったな、って。

C:そう!お母さんのことつくづく思ってた。うちのオモニは利口だったな、うちのお父さんは初めから最後まであかんわ。うちのお母さんはやっぱり利口や。

F:暑かったですか?청신の気候は?

C:暑かった。日本では暑かったけど、청신はそれほど暑くなかった

F:햇빛とか?

C:それも大丈夫だった。8月15日を過ぎると、이슬이 내려서 もう涼しいねん。あんまり暑くない。北はね、寒いほうだから。

F:ついたときの匂いは?

C:その匂いが、大変なんや。

F:大変。どんなでした?

C:もう、なんとも言えない匂いだったね。なんとも言えない。だけどね、配置うけてみんなバラバラになるやろ、帰国者みんな。そしてもう、米くれた時は匂いがしなかったね。それは匂いがしなかったで。

F:それがだんだん臭くなっていくんですか?

C:だんだん臭くなくなっていくわけよ。はじめは臭いけど、慣れるいうこと。だんだん慣れてくる。

F:なんとも言えない匂いって、船、청진항が見えて来てね。船から見下ろすじゃないですか。

C:だから、みんな並んで、手を降ってから学生たちは歌を歌い、太鼓を叩いてやってる。

F:太鼓も叩いてやってた。どんな人たち?

C:みんな顔真っ黒で、もう、学生服来ていたり、裸の子供達があっち行ったりこっち行ったり走ってるし、だからここくる前までの話で、船がもう陸地についた途端からもう、それが丸見えやったな。ついた途端から丸見えやった。

F:どんなことを思ったり感じました?

C:こどもやから、やぁ、すごいところやなって思った。ただただすごいところやと。ただそれだけ。他のことは全然考えてない。

F:楽しみな気持ちや緊張感は?

C:そんなんもう、緊張感も何にもない。ただ、すごいところやなと。

F:それよりもお母さんとのわかれとか、他のことが大きかったんですかね?

C:そうよ、それが大きいから、お母さんと別れたのは。

F:逃げ出すこともできず。

C:そうそう。うちのお姉ちゃんが連れに来なかったら私はちゃんとお母さんと暮らしていたのにね。うん。うちのお母さんも苦労させへんのに。北朝鮮に送っても、私が(荷物の工面を)一緒に送られるじゃん。

F:一緒にね。そういう人生もあったかもしれませんね。

C:そうそうね。

F: 청진に着いて、一番はじめに배치 받은 곳은、원산?

C:いやいや、はじめて배치もらったのは、문촌(文村)いうところ。원산の横。横やから近くや。원산行ったりきたりできるんよ。だからすぐ引っ越してきたわけよ。うちのおっさんと離婚してすぐ원산の方にいったわけ。離婚してすぐ。うちのお父さんお兄さんなんかはみんな문천にいてた。

F:今は

C:もういない。死んで。

F:ずっと문천にいらっしゃったんですね。

C:そうそう、

F:アボジはどんなお仕事に配置されたんですか?

C:うちのおとうさん

F:ええ。ついてから。

C:ついてから、うちのお父さん、日本でもあのね、土木やってたから、北朝鮮来てもなにも技術がないじゃん。だから、あの、家마다, 온돌してる家なんか、無煙炭、奥戸さんの修理とかあんなのやってたわ。そこでやることないじゃん。うちのお父さんの覚えたこと建設でも、セメントさわることしかしらへん。

F:アボジが望んだわけじゃないですよね?アボジはどんな風に?

C:そこで配置くれるのよ。あなた日本で何やってたかって言うじゃん?そしたら土木してたって言ったら土木の仕事させるのよ。もし電気のなんか仕事してたつったら、電気屋さんに入れるし、ね。

F:アボジは、どうでした?祖国での暮らしは。自分が行こうと言って行ったじゃないですか。

C:自分で行こう言って行ったから

F:やるしかない?

C:なんにも言わない。

F:何も言わずにただその日々を、

C:面目ないと思ってるやろ、子供らにね。言わないだけで。

F:お酒とか酔っぱらった時は?

C:お父さんはお酒飲まない。うちの家ね、全部お酒飲まないのよ。この2番目のお兄ちゃんがキチガイみたいに一人占めして。お酒飲んで。

F:そうですか。じゃあ、まあ面目ないとおもいながらも日々を、仕事で、ただただ働いて

C:そうそう。

F:お姉さんは来られて何かしました?

C:うちのお姉ちゃんは원산で食堂で仕事してた。来た途端はね。

F:문천についてすぐ

C:원산に行った。横やから、すぐ引っ越して원산に行って、食堂で仕事した。

F:兄たちお二人は?

C:オッパたち、学生だったね。うちの上の兄さんは、なんかトラックのうんちゃんやってた。やっぱり日本にいる時はトラックの運ちゃんしてたやろ。だから朝鮮に来てトラックの運転手やってた。

F:작은 오빠はフラフラもしつつ。

C:あれはフラフラして金使うことしか知らへん。

F:当時中学生、違う、小学校5年生だったじゃないですか。학교はどうされた?

C:私?中学校出て。

F:小学校は?

C:小学校は日本で卒業してるから。なんでか、北は4年生までや。その次中学校に上がるわけ。その中学上がるやろ。そしたら日本の小学校6年生と同じ。だから中学校1年生から入るわけ。

F:문천の학교ですね。

C:そうそう、それですぐ、技術学校。中学は3年だし、技術学校は、それは2年。

F:技術学校、正式な名前は覚えてますか?

C:기술학교니까

F:문천?

C:원산.원산 기술학교。その時は원산出てってたからな。

F:원산の기술학교に通った時は기숙사ですか?

C:うちのお姉ちゃんなんかも行ってた。

F:お姉さんと一緒に過ごしてたんですね。기술학교で何を勉強してたんですか?

C:何を勉強してたって、勉強大っ嫌いやからさ。(笑)勉強大っ嫌い。先生の顔だけみたら眠たくなってくる。私は勉強が好きや言うたらね、化学の時間。化学が好き。문리とね。物理と化学。

F:実学だからですかね。

C:あとは嫌いやねん。でも科学の時間とかね、ああいう時は必死になって聞くんよ。 F:기술학교って、고등학교みたいな位置付けですか? C:そうそう。そんな感じ。同じや。 F:それは、원해서.自分で望んで行ったんです?それとも行けと?

C:そうそう、私が体育ができるから、あっちこっちで学校でひっぱるわけよ、スポーツができるから。だからあっちこっちで呼ばれて、一番いい学校に自分が選んで入るわけ。조○○기술학교言うたらな、원산ではちょっと名のある学校なんや

F: 조○○?

C: 조○○っていう英雄がその学校通ってたから、조○○기술학교っていうの。そういう学校なんやけど、けっこうエリート学校やな。そういうところやけど、スポーツしてたから自分が入りたいところに入るのよ。あちこちで連れにくるから。そやろ? 

F:スケートね。

C:うん。

F:その時の競技は?いろんな競技を?

C:そうそうそう。

F:高校でスポーツをやりつつ、勉強は寝てて。

C:もうすぐ辞めて、すぐ結婚したじゃん。19で結婚した。

F:学校辞めたことになる?それとも、

C:通った通って、

F:学校は卒業して、

C:結婚したんよ、すぐ。同じ원산にいたらね、帰国者は帰国者しか付き合わないからすぐわかるのよ。大阪くらいの大きなところでバラバラになってたらわからんけど。大阪もそうじゃない。韓国人は類は類を呼ぶ、って。韓国人は韓国人でやってるやろ。それと同じ。帰国者はもう、ちゃんと帰国者だけ付き合うんやから。地元の人と付き合わないの。

F:結婚しようとは思ってなかった?

C:いや、結婚なんて考えてもなかったけど、

F:親同士とか?

C:親同士とか、そんなんない。ただ2人がいい仲になって、結婚します言うて、だから今度は親同士で。見合いじゃなくて、恋愛やな。

F:恋愛結婚。

C:はい。

F:そうなんですね。そうですか。で、娘さんがお二人。

C:娘が2人、息子が一人。息子さんは、あっち、北朝鮮で死んで、いない。病気で、あの子も癌に。お父さんが癌やから、息子も癌で。若い時に死んだ。一応は結婚したんやで。子供も一人いるしな。その息子が産んだ子供は、結構北朝鮮にいるんやで。 F:お孫さんじゃないですか、

C:そうそう。でも、今はこんなの送れないもん、お金。

F:息子さんを先に見送るなんて、そんな辛いこと、人生でね。

C:そう、そうよね。

F:初めの娘さんが19歳でご結婚されて、すぐですか?

C:うん。

F:そっか。娘さん、ずっとじゃあ、ご家庭にいらっしゃったんですか?

C:私?

F:はい。

C:そう、いつも編み機やってた。 あの時ね、編み機が流行して、編み機、帰国者なんかは全部編み機やってた。セーター編んだり、その機械がないから、あそこは。

F:子育てしながら?

C:そうそう。子育てしながら、編み物やったりな、してた。

F:で、その後離婚されて?

C:うん。

F:その時から、帰国者の원산の人たちとは付き合いがずっとあって?

C:そうそう。

F:そうですか。

C:だからもう、帰国者は帰国者同士付き合うじゃん。だから、あの、付き合わない人は付き合わないけどね。地元の人と付き合ってる人もいるけど、大体もう、ちょっとね、あれいう人は麻雀とかできる人たちは帰国者同士、わー、言って来たり激しくやったり。それでバチが当たってみんな捕まっていったんや。バチがあたって(笑)送ってくれる金で、贅沢やって、麻雀なんかやって、ピーチクパーチク、ん?いらんこと言うて、それで捕まって行ったんや。だからゲンチャンたち、ざまーみろって。帰国者見て、ざまーみろと思ってたはずや。それ言ってた。いやぁ、보위부の人に言うたんや。おじさん、みんなほんまのスパイ違うやろが、って。みんなね、下手なこと喋ったかしらないけど、スパイじゃないですよ、つったらね、 (保衛部の人が)自分はいつも思ってたんやって。食堂行ったらな、帰国者がええ格好やってから、こんなしてウィスキー飲んで、自分ら見てから、「よぅ。연강.おっさん。一杯飲むか?言うて人を馬鹿にしてね。そん時いずれかはみてろって思ってたって。だからみんな憎んでた。帰国者をね。で、その時代は、もう帰国者だけじゃなくて、幹部たちな。ちょっと偉いさんたちも、みんなビデオみてるし、幹部たちが賄賂もらうから、ビデオもあるし、もうなんだかんだってテープ見る時があるねん。ほんで泥棒が幹部の家に入ってテープを持って、捕まって、今度はその幹部が落ちたり。(笑)いろんなことがあるよ。 いろんなことがある。だからね、「ある・ない」が関係で、「ない」人間が捕まっていかないし、ある人間はほとんど捕まっていくんやな。今日はこの人捕まえて行ったら、こっちの人が今度向こうの人捕まえて。お互いに食い合いっこやな。

F:食い合いってやっぱり90年に入ってからですか?

C:そうそう、そん時。一番、90年度が一番食い合いが激しかった。もう50代の時や。私が50代、うちの娘が嫁に行ったあとや。嫁に行ってからやから。 F:帰国者がね、子どもで来た人たちが、大人になった時に、なんでしょう、帰国者狩りじゃないけど、そんなことになったんかなと思って。

C:もう、私ら帰国した人たち。その人の子供たちがしたんじゃなくて、日本からちゃんと帰国した人たちが、みんな捕まっていったのよ。 何しろ日本から来てるやろ。だからその時私らが捕まってた時は、もう50すぎてる時や。だから、日本の名残が少しはあるじゃん。私だけが13歳なだけで、あとの人たちはみんな20歳すぎて帰国してるから、大人になってみんな帰国してるもん、私の友達は。私の歳の人いない、みんな私より年上。みんな、6歳じゃなかったら7歳上。みんな私より。私の付き合ってる人たちが。私だけが、

F:ちょっと若かった、

C:若かった。ちょっとませてたんやな。私が。おませや。

F:下のひとたちはいなかったんですか?

C:年下?いなかった。付き合いの友達の中では年下はいなかった。年下言うたらうちらの子供の代ね。その、お互いの子供達が子供同士付き合ったりね。そういうのはあるけど。

F:子供達もやっぱり帰国者同士で付き合う?

C:そうそうそう。帰国者は帰国者の親の子供たちが付き合うわな。いわばここで、もう、ブルはブル同士、お見合いするやろ。貧乏人とはせえへん。同じ会社同士とかな。もう、それと同じ。あっちはあっちなりに、ちょっと小さなあれやけど、それなりにある同士が付き合うわけや。結婚もある人同士するし、加太宇陀がな、ない人間ともする人、人間ができてたら。そう言う人もすけど、もう同じや。人間生きる方法は皆同じ。やり方が、どこ行ってもちょっと大きいか小さいかだけや。皆同じ。

F:すごいお話。

C:今の北朝鮮はアフガニスタンよりマシや。だからアフガニスタンは戦争やから、そこよりはマシやいうの。今の北朝鮮は。また、ちょっと落ち着いてきたんやろうと思う。北朝鮮も。私らいる時、90年度。あの時、고난의 행군.それは終わってるからな。今の状態はもうそこまでな、人が死んだりしてないやろ。でもコロナのためにな、

F:コロナで全部外貨がね、稼げなくなって。

C:だから北朝鮮は全部マスクしてないやん。絶対入れないから人を。

F:入ったらね。まぁ(羅漢者が)いたっていうことも聞きますけどね。

C:ちょっといてたんやけど、すぐもう、全部捕まえて入れて殺したって言うてたよ。

F:北での暮らしでね、本当に、この時間ずっと聞き入ってましたけど、暮らしの中で一番しんどかったことってどんなことですか?

C:そやな、若い時、子供を一人産んだ時、うちのおっさんがギター弾いて、入った時。 あの時一番涙が出たな。若い時、田舎に行かされて、水もない、井戸水のために子供を椅子にしばって、おっぱい飲ませて、おしめ取り替えて、パンツ取り替えてまた縛り、子供を椅子に縛り付けて仕事に行ってたんやからさ。あんなの赤ちゃんの拷問じゃない?私は子供に拷問をしながらいてたんやから。その時のことを考えたら一番悲しい。だけど私はね、ちょっと楽天的な性格だから、まぁ、うちの娘も言うこときかん時あるやんか、ちょっと頭にくる時も。この野朗、と思っても、急に、ああ、あの時この子な、椅子に縛りつけとったのにな。赤ちゃんやのにわからんやろ?

F:記憶にはないでしょう。

C:記憶にはないけど、わたしは言ってあげたの。あんた縛りつけて仕事行ってたんやでって。椅子に、拷問や、な?どっか痒くても、誰も、かからん。ギャーギャー泣いて寝るんよ。椅子に縛りつけられて、ぎゃーぎゃー泣いて寝るわけや。しんどい言うて、だから今の娘にはいつもそのことをね、悪いな、面目ないな、だからもうちょっと言うこと聞かんと腹立ってもな、ああ、我慢しましょうと思うわ。

F:それでもたくましく今もね、健康で、

C:苦労は小さい時してもわからんからね。(笑)

F:染み付いてるでしょうけどね。

C:染み付いてないよ。赤ちゃんがどないしてわかるの、赤ちゃんの頃のことどないしてわかるの。

F:3つ子の魂、100まで言うやないですか、

C:3つでもないよ。おっぱい飲まして、生まれたばっかりの子連れて行ってから、一緒にスダレつけて、1歳の時やからな。わからんよ。1歳の時やもん。生まれてすぐ田舎に行かされたんやから。ギター弾いただけやで。ラパローマ歌ったから、弾いたから言うて。

F:どれくらい帰ってこなかったんですか?

C:1年

F:1年も、

C:1年間田舎に行って苦労したわ。だから人間は、私があとで(追放村に)入ったのは、子供らみんなお嫁に行って後やろ。私一人じゃない。だからちょっと気楽。でもあの時はね、赤ちゃんおんぶして、おんぶして行ったから。荷物全部没収されて。着るもんちょっとだけもって。布団ひとつと。田舎に行かされたから、苦しかったよ。

F:どこかはわかります?その田舎は、

C:どの辺行ったかって、あなたはわからないよ。田舎つったら강원도のそこの田舎やから。はー。(ため息)

F:강원도の中の、

C:강원도の中の田舎。それでもさ、私ね。結構運がよかったろうね。あの時ね、ちょうど2番目の子供を産んだ時、北朝鮮がコメが切れちゃったの。だから、ロシアからコメをもらってたんや。ちょっと、ロシアが助けてくれてたの。밀가루とかさ。そういうお米を少し。お米はここであれしてるけど、なんせロシアのあれが多かったわけ。 せやのに、急にロシアからもういい加減にあんたたちね、自分の力で暮らしなさい。それくらい助けてあげたらそれでええんちゃうかって、いうようになったみたいや。私の考えでは。ちょっとピッと聞いた話では。

F:1970年?

C:70年じゃない。60年の終わり頃や。

F:二十歳くらいの時ですか?

C:だから私が21や。 F:21の時、C1の時かな。21か2かな。そのくらいの時はコメが切れちゃったわけ。配給くれない、お米くれないっつったんや。とうもろこしだけくれる言うてた。だから私が田舎に追放された時に、うちの시어머니、お婆さんが、上の子をみてくれたわけ。

F:시어머니も一緒に来られてた?

C:시어머니はうちのおっさんたちのほうやんか。おっさんも自分の親がおらんかったら帰国せえへんわ。親がいるから帰国した。시어머니が上の子を預けて、下の女の子預けて行ったやろ?だから私は上の子を預けてるやんか。だからな、시누이が、うちのおっさんの妹が、その田舎まで探してきてた。お米恵んでくれって。ほんで、私が、아이고追放された人間の家来て、米くれ言うとんの。私はな、田舎やから。あの、雑穀くれないで全部白米くれた。全部お米や。

F:そこでできたお米とかですか。

C:そこでできたお米なんやけど、雑穀じゃないのよ。トウモロコシもなく。ただお米。真っ白なお米を全部もらったんや。だから、得したわけやそん時の時代は。何かが一つ得しとるわけよ。(笑)

F:何かしんどいことがあっても。

C:そうそう、何かが、ええ運がついてる。

F:2回目の追放の時はテレビが見れたりね。

C:そうそうそう。2回目の追放の時は、ぱっとみたらあっちのテレビバンバンみれたもんね。面白いね。それで私が、시누이한테ね、私がお米を送ってあげたの。

F:そうでしたか。시누이はどこに住んでいた?

C:원산にいてた、あの子も山奥に行かされたよ。あの子の旦那さんが、외화벌이してたわけよ。その、日本との외화벌이してたんやけど、友達Sと喧嘩したわけや。仲悪くなったわけよ。なんかのために、崩れたわけ。二人の仲が割れて、後でそのKっていうのが誰かの商売人の中で誰か一人入ったのにKの名前が出たから、Kが今度보위부に入ったわけ。ほしたら、お前の知ってる人間で、思想の悪いこと言った人間いたら、言いなさい。ちょうど私が連れていかれたみたいに、この、Sいう子が、昔言ったこと。「この国は滅びる」と言ったことをこいつがちくったわけや。それでこの人ね、(収容所に)入ったわけや。家族全員が、

F:追放。

C:こいつらの親戚みんな神戸にいるわ。神戸やと思う。 なんか知らんけどさ。そんな感じや、みんな。仲いい人間も捕まったら、誰かのことを言わなあかんねん。私みたいに自分のことばっかり、どうにかって。3ヶ月粘って、自分のことだけでやったからね。反対に偉いって言われたよ。出てもこの女は絶対にひっかからない、大丈夫やって、生かして出た方がええ。それを確認しているから。だから私利口だと思うわけや。あとのアホはみんなアホや言うて。人のこと言うたらあっちもお前のこと言うんじゃ。こうやって確かめるねん。

F:どうやってその方法を学んだんやろ?どうやって、눈치보고?

C:だからそれは、人間がそのものの考えてることが항상ね、人との付き合いがそうだったっていうことよ。私は友達と誰かが喧嘩するやろ?あーやこーや言っても聞いたことこっちに絶対言わない。こっちで聞いたことこっちで絶対言わない。そんで、言ってないこと、いいことを、でもあんたのこといいこと、こんな風に言うてんの、そんなんせんときって、悪く思わんときって、こっちもいいこと言ってあげて。なんでみんながみんながね、仲良くせなあかんから。私はもういつも子供に言うねん。今日はこの人と喧嘩してるみたいやけど、明日はこの人と喧嘩するかわからない。だから、自分の弱点になるようなことは言うなって。こっちで喧嘩したことを向こうが悪くても、言ったら弱点やって。だからこっちの人のこともこっちの人に言うな、こっちのこともこっちに言うな。ただ良いことだけ言え。そしたらみんながいずれはわかる。あの人の口から、なんか聞いたことはない。そしたら、安心して秘密のことを私のところに持ってくる。ほしたら私は聞いて、みんないれとけばいい。耳の中に。ほんで、何かがあったら一対一で、聞いたことを一対一でばーんてやったら꼼짝도 못해.相手が、あんたのこときいたこと、こんなことあるけど、꼼짝도 못해。ばらさないのが得なのよ。腹立ってもがまんして、それをがっしり持っておく。

F:でもそれってね、北朝鮮の社会ではね、わかるんですけど、それでは生きにくくなかったですか?

C:いや、それで私はかえって生きやすかった。人の信用、友達の中の付き合い、あの人は信用できる。どんなのみても、あっちいってこっち行って喋らない、ね?間違ったこと言うとしない。言いたいことあったら、いくら金持ちでも貧乏でも関係なしの。

F:裏切られた経験とかなかった?

C:そういうのはない。もう、裏切られたとかそういうのはない。もう、大体の人たちが怖がっていた、私を。

F:なるほど。

C:下手にしたら、がしゃんってやられるかと思って。金持ちだろうがなんだろうが関係ないんや。お前が金があったって私にくれるんかい、あほかって。ペコペコするかと思ったら大間違いだこのやろうって、けつまくってすごいで、だから怖がる。

F:なんでそんな、その力はどこから出てくるのかすごい気になります。

C:力というよりはさ、瞬間瞬間のこと、悪知恵やな。

F:悪知恵。

C:悪知恵や。

F:その悪知恵をね、誰かから教わったわけではないでしょ?

C:悪知恵を良いふうに向けて使うねん。 だから私はどっちかって言うたら正直なの。嘘はつかない。自分の恥であろうがなんであろうが、嘘はつかない。正直やねん。ね?だから、その相手たちが見込んでくれるのは、でも、喋ってることは間違ってないと思うから、ね?それを見込んでくれるし。悪いことはあることもあるっていうことを、保衛部でな、自分の悪いことをベタベタ並べたわけよ。人間としてあり得ることを、ベタベタベタベタ、三ヶ月な、並べて書いたわけ。

F:他人のことは一切書かず、

C:あの人のことは一切言わない。でもね、浮気したやつは名前出さないとあかんねん。誰とした、お前鉄の棒とやったんかってね。(笑)ね?だから、ちゃんと名前出さなあかんねん。

F:なるほど。

C:でもその浮気した人間でも、政治的にかからないような人。あんまり麻雀とかしないな。そういう静かな人。私、浮気した人、3人。3人やで。多いやろ?はっは。3つ並べて言ったんや。まあ、独身やから理解するやろ。(笑)甘い考えか。

F:人間だもの。

C:だって生きてる人間だものね。

F:でもまさかそれを並べてね。3ヶ月書くことになることになるとは思わなかったでしょう。(笑)

C:それだけじゃないし。また他のこともあるけど、一般的な話ね。一般的な話。なんせ私はそこで私が罪になることと言えば浮気したこと。それで2年受けたわけ。浮気のために。

F:浮気のために。

C:3回やった。

F:やっぱり女が、罪になるんですね。

C:男も女も同じ罪よ。だけど、私らは政治犯として前もって捕まっていってるやんか。でもそういう浮気したっていう男がいても、呼ばれること呼ばれるよ。私が出た後、言ってた。その付き合いのあった男の人たちが、自分呼ばれたって言ってた。

F:その後どうなったかはわからない?

C:だから、その私のその問題で呼ばれてるわけや。で、呼んで政治的にひっかったら(収容所に)入れて、政治的に問題がなかったら、そのまま浮気で終わって帰らせるけど。浮気は、帰らせる。私は麻雀もやってるし、そやろ?その、悪い仲間たちと付き合ってたじゃない?だからそういう、その人たちみたいな感じにはならない。何しろ政治的なことで、장군님の悪口言うたんやから、この国はほろびるとかけったいなこと言うて、絶対あかん。それはもう銃殺や、銃殺。キンちゃんのことだけ言ったら銃殺やで。

F:キンちゃんの悪い事言ってっていうのって、やっぱり고난의 행군の時から酷くなりました?

C:そうそうそう。

F:70年くらいはどういう感じでした?

C:何しろね、90年度から入りながら、ビデオを見ながらね、大体その、結局はビデオで北朝鮮はやられたな。北朝鮮망했어.ビデオが入ってきたから。노란 물이 들어왔어.빨간 물이 될텐데 노한 물이 들어갔어.

F:노란 물って言うんですね。

C:そう。赤かったのが、黄色くなっちゃったの。国が。だから、あの、韓国で노란〜 샤츠입은 〜 말은 너〜 생긴 생긴 (歌). 있지? その노란 물이 들었다っていうわけ。赤い国なのに、国は赤い国じゃん。ところが、노란 물이 들어왔다っつう、赤い물을 노랗게 물드렸다って。色を染めたっちゅう。

F:それは帰国者たちがやったっていうことですかね。

C:もちろん帰国者が第一やけど、第二も地元の人たちの、中国からテープばんばん持ってきて、この金儲けするあれがないから、あのなんや、そういうテープを、

F:장마당で売ったりとか。

C:うんうん。

F:ダビングするんですか?

C:ダビングしてから、あっちに売ったりこっちに売ったり、金儲けや。そんなのやったりしてたのよ。

F:それは、70〜80年代は見逃して?

C:その時はそういうのはなかったから。

F:ビデオは、そっか、90年代くらいか。

C:そうそう。90年代くらい。

F:そっか、すみません、なんかビデオってめっちゃ昔からあるんかと思ってた。(笑)

C:北朝鮮では80年の終わり頃やな、その時からビデオが入ってきたわけ。だから、日本もその頃、バンバン出てたやろ。80年度の終わりころから始まったんちゃうか。日本が始まるとすぐこっち来るからね。船が来るから、すぐすぐ持ってくるわけ。방문단が持ってくるわけよ。そこから始まるの。

F:방문단の人たちは持ってきてもいいって思ってたんですかね。

C:そうそう。방문단たちは日本で普通に見てるから、何も悪く思わない。普通に鞄にもってくる。방문단の鞄なんか調べないやろ?だから방문단はそれまた、お前見なさい言うてから、機械送ってあげるからテープ置いていくわ言うて、ん?だから機械も一緒に持ってくる人もいるよ。なんでか、家族たちを写したやつ。そういうのを、見せてあげるために持ってきながら、映画もついでにおもろいやつを入れてあげるわけ。

F:はいはい。

C:だからエロテープから何からもう、いろんなテープを、みんなが持ってた。

F:そこで情報が、たくさん入ってきて、

C:うん。みんなだからこの방문단のために、テープが入り出したんや。だから방문단の船が、テープを노란 물をな、持ってきて、北朝鮮にばらまいたんやな。 F:それに対する規制や弾圧って、その、追放されたあたりからですか?

C:それはもうちょっとしてから一般化されて。完全にゲンチャンまでそのテープを見出してから、始めは帰国者だけ見ていてね。だんだんだんだん、ゲンチャンも見て、その次は中国に돈벌이 가는 사람들行ったりきたりしながら韓国のテープ持ってきたり。だからもう、北朝鮮自体がテープだらけでから回ってるわ。全部。ほんで、基本的には中央の幹部たちがもっと見ているのよ。

F:でしょうね。

C:親が見たらな、ガキも見るのよ。子供たちがそれを持って、同じ幹部たちの子たちと交換するやろ?そしたらこの交換した人たちが、普通の幹部じゃない人たちも友達が親しかったら見せてあげるからおいで、なんて言ってから見せてあげたりするわけよ。それでもう、だんだん一般化されて。もう、言葉は、平壌でなんかね。一時もう韓国の言葉が流行して。もう、「잘 됐네요〜」とか言ってから。장마당行っても、장마당のおばはんまでね、いや、빨리 가야지, 영화를 봐야지, 그런데요〜って。ああ、うちの友達が言うたんや。「비싸네요〜」て言うたら、相手のおばあちゃんが、「자네도 (南朝鮮のビデオを)봤네요〜」、あんたも見たねって言う。だからあのおばさんも韓国の言葉で、자네도 봤네요〜、ネヨっていうのが、ここだけなのよ。北はネヨを付けないでしょ?

F:서울말?って感じですよね。

C:だから、この品物비싸네요 って言ったらな、この頃映画ばっかり見とったからこの頃急にこの韓国の言葉が出たわけや。비싸네요、って言ったら、向かいのババアが、늙은ババアが자네도 봤네요〜って。(笑)それくらいに一般化されたのよ。장마당の婆さんまで、売ってたからな、ほんで、昔は私がいてたこの38度線とこ、追放されたとこだけ来てたのが、電波がぶわって来出して、もう一般的なところにはほとんどくるようになってな。함흥なんかバンバン入ってくるようになってな。장마당で座ってたおばはんたちが、はよ帰らなあかんわって言うたら、왜그러니って言うたら、映画、ドラマ、やる時間じゃないか、つってから、帰っていく人もいるんよ。それくらいに完全に一般化されて。

F:それに気付いて、

C:気付いてじゃなくて、今はどうにもならんくらい広まってるわけよ。今でも広まってるの。

F:そんな中で帰国者は中心になって、

C:だからそれが初めの方で、それが初めの方で、帰国者がやられたわけ。

F:それはだって、ビデオが普及したのもありますけど、帰国者してから60,70年代は

C:その時なんかは全然そんなのない。

F:帰国者への差別はあったかもしれませんけど、

C:60年代はギター弾いたらそれが罪になって1年行ってきたいうやんか、うちのおっさん。なんやそれは、テープでもない、CDでもない。ただのギターやで。パラン、パランって弾いた言うて行ってきたやんか。

F:貧しさとか日本からきたばかりの苦労もあったけど、

C:それはもう、入ってきて

F:慣れもする

C:慣れたからなんともない。

F:そこでがんばろうっていう、お気持ちで暮らしてはいらっしゃった

C:人間慣れたらなんともないのよ。どこの国行ってもインドだろうがどこに行ってもね。10年くらいなったら、地元の人と同じよ。

F:日本のことは懐かしいと思わなかったですか?

C:それはもうあっちにいる時はいっつも日本が、うん。

F:あれ食べたいな、とか。

C:そうそう。その代わり、食べるものは日本で食べてたやつそのまま作って食べられるから。

F:たとえばどんな物ですか?

C:寿司であろうがなんでも。カレーでもなんでも。

F:食堂もされてましたもんね。

C:北朝鮮も90年度、80年度、何しろ船が行ったりしたりきながら、日本の品物がバンバン入ってきてたから、もう外貨だけあったらなんでも買って食べて。今はもう外貨なくても、朝鮮金でみんな買って食べてるわ。わさびであろうが何であろうが、みんな買って食べてるよ。珍しいものじゃない。もう장마당行ったら何でも売ってる。日本製、中国製、韓国製、全部ある。

F:お金さえあれば。

C:そう、お金さえあればなんでもある。それは동지できないねん。みんな動いて、アリのように動いてるからな。

F:食べ物はなんとかなると。懐かしいなと思ったことはどんなことです?日本に対して。

C:日本に帰って。

F:人のね、20代、10代の真ん中からええ時を朝鮮で過ごして、

C:だけど、あっちにいたら諦めてるから、そんなのうらやましいも何も考えたことない。

F:積極的に思い出そうとはしなかった?

C:それなりに、そこに、ん?みんなに合わせて、それなりの友達同士で楽しみを作って、お互いに付き合って、そうやってきて、日本、そりゃ帰りたいとは思うけど、いつもそればっかり考えてたら、事にならないから。諦めて、それなりの、雰囲気でやっていく。

F:その帰国者の友人と日本のこと懐かしがったりとかはしなかったですか?あの歌よかったわ、とか。

C:それはする。帰国者集まったら日本の歌、ピーチクパーチク歌ってやってるよ。もう集まったら日本の歌歌う。

F:みなさんひばりとか?

C:昔のひばりとか、なんかいろんなの歌うよ。 もうそれで、だってもう私なんかは幼い時に来てるし、あとはみんな、歳いって子供らもいるし、それなりに馴染んでいってるわ。ただもう歌は朝鮮の歌は知らんから日本の歌を歌うんや。日本の歌しかしらんから。朝鮮の歌知らないから、学校で教えても絶対頭に入らないもん。朝鮮の歌。

F:入らない?

C:入らない。朝鮮の歌は入らない。

F:今懐かしいなと思う朝鮮の歌とかないです?

C:今ね、朝鮮の歌で懐かしいなつったらね、名曲ね。朝鮮の曲でも名曲があるのよ。そういう名曲なんかはね、曲のあれは、頭に入ってる。でも、歌詞はわからないけど、歌詞はたまたまわかってた。一曲ちゃんとまともに歌うやつは一つもない。日本の歌はまともに一曲歌えるけど、だからね、幼い時からね、この育っていくその環境いうのはね、恐ろしいものやで。幼い時。私らが12歳まで日本に居てたのに、なんの教育も受けてへんよ。ただ自分が좋아서 歌っただけや。それでもその頭には取れなくて。北朝鮮に行ってもそれしかしらへん。それが頭から離れない。だから朝鮮の歌一回教えてくれても、入らない。

F:北朝鮮もお子さん、娘さんとかも教育がまさに、당원を育ててる?組織の人間に育てていく、

C:そう。당을 위해서.당のために목숨을 바치다というけど、(タリバンの様に)二度生まれるとかそういうことは言わない。ただね、초국을 위해서、お国のために。だから、命を捧げるとか、なんか爆弾、爆弾じゃなくて、工場があなが空いてなんかあそこ入って行ったら死にゆくのわかっても、お国のために入っていって溶接したり、へたにしたら死ぬんやで、それでも入って行ってやるのよ。それが、突撃隊やな。당원、党員。だからもう、自分は党員になるためにわざと入っていって、やるやつもいるけど、入って死ぬやつもいるし。党員になって何するの、給料もっとくれるわけじゃないしね。でもね、党員に入ったら子供らの学校、教育になかなかいいのよね。党員になると。大学は行きやすい。お父さんの成分見るから。成分みたら党員だけが成分がいいんだから。党員にならなかったら成分はええことないんやからな。

F:亡くなった始めの旦那さんは党員にはならなかった?

C:党員になるって一生懸命やってたけどね、なんだかんだって豚箱入っちゃったから、党員にもなれなかった。一時党員になるって一生懸命やってた。

F:党員になるにはどうしたらいいんですか?

C:あの人は運転手やったから、うちのおっさん。もう、自分の服売って、何売って時計売って、トラックの、付属品なんかどっかで買って集めて、また自分の工場の自動車、ぶっ壊れたやつを一生懸命直してから、この人は国のために自動車直してくれた、なんだかって。自分のものを捧げて一生懸命やったけど、結局はもう、ギター弾いてからいかされてから、党員どころの騒ぎじゃない、党員どころの騒ぎじゃないよ。みんな終わったことやから笑ってるけど、ほんと笑ごとじゃない。

F:娘さんたちもね、朝鮮で生まれて、당원교육を受けるわけじゃないですか。

C:そうそう。

F:そういう距離感、日本でお生まれになって、13歳まで日本っていうところ、資本主義を知ってらっしゃって、で、そんな娘さんたちの教育、祖国のためにという党員になっていく子供達を見て、思ったことってあります?

C:どう思うこともない。何にも思わない。タレバンと同じ。アフガニスタンのタレバンと同じ。7歳から教育、頭からこうやってせえ、ああやってせえ、それで教えてるのと同じや。김일성のためにな、김일성 원수님が、うちらのことを思ってくれたらな、そのお返しするために一生懸命勉強してから、えらい人間になってな、国のために목숨 바치라っていうことだから、教育っつうのは。そんなの私も聞いたって屁のカッパやから、また嘘八百教えてる、それくらいで、何にも思わない、何の感情もない。ただそんなもんやな、と思ってるだけ。

F:嘘八百を教えてると思うじゃないですか。その嘘八百は信じてましたか?

C:信じない、信じない。子供らも誰も、知らない子供が生まれて、幼稚園くらいまで信じるかな。そろそろ2年、3年になっていくと、言ってることと事実、子供はもっと正直なの。子供はテレビを見てなんて言ってるか知ってる?長靴が出てくるわけ、テレビで。長靴がこんなして、生産してな、どこどこの工場でこの長靴を、生産しました。テレビで出たら、「お母さんお母さん、なんであんなにたくさん長靴が生産されてるのに、お店には一個もないんですか?」って。子供がもっと早いっつうの。

F:子供達自身の力で、学んでいくんですね。

C:お菓子がいっぱい生産されて出てきてるのに、なんでお店にはお菓子も一つもないんですか、って。

F:仕送りね、日本からオモニが送ってくれてたって言ってたじゃないですか。横浜の。お母さんと妹、サチコさんから。それは初めからずっと?

C:初めから、帰国船が通ってるときから。あの時は外貨がない時ね。외화なんかない時に、帰国船が通ってるとき。大体ほとんど帰国してなんにも乗ってけえへんけど、なんせ荷物は持って行ってくれるんよ。そういう、帰国する言う人たちに、下金あげて、お願いしますいうたら、その人たちがお金もらって、お使いしてくれるわけ。自分の荷物だって言うて、名前はちゃんと표시してあるから、荷物をもってきてくれるのよ。そしたらね、連絡がくるの、その人が配置うけたら。どこどこの誰さんですかって住所を持ってきてるから。手紙がきたら、取りに行ったら持ってくるわけ。

帰国船が通ってる時、私はお母さんが居たから。お母さんいなかったら乞食や。お母さんがいたから、お母さんがそうやって送ってくれたんであって、嫁に行く時は布団から何からみんな送ってくれて。何しろ編幾よ洗濯機よ言うてな。お母さんがみんなしてくれたやつや。大変やろ。子供4人やで。一人行く度に全部してあげなあかんからな。お母さんがしてくれて。今度は방문단来出して。今度外貨のお店が出来た。何でもお金だけあれば買える、そしたら帰国船が切れて、今度は방문단がきて、その방문단の中で帰国する人何人か乗ってくるわな。普段も、その後から何しろ外貨だけあればな、やっていけるから。その次からは、親戚とか友達とか知り合いを通してお金がくるわけ。そしたらまた連絡がくるわけや。あんたのとこ、誰か、自分は誰々を会いたいですって幹部に言ったら、会わせてくれるわけ。そんで私らに通知が来るの。원산のどこどこのところに行きなさい。そしたら旅館に寝てるから、ホテルとかそこで会えたらお金と、一緒に写真を写して、お金をもらいましたって言って。自分の手でいくらを受け取りましたってあげて。ありがとうございますって、帰りはお金貰ってるから、見送りに行くわけや。見送って。そんなんがしょっちゅうや。船が行ったり来たりせなあかん、あれは命の繋がり船って言うて。(笑)

F:そんな風に呼んでたんですか、本当に?

C:そうそう。みんな、帰国者がそう言ってるわけ。

F:それ朝鮮語ではなんていうんです?

C:だから朝鮮語で”목숨 줄”、命の紐やな。목숨 줄이。この船がなおもろいで。北から日本に行ったらタカリ船や。親からタカって。ここから半分渡って、北に来たら助け舟になるわ。(笑)そんなことわざが있어.

F:그렇게 만들었었요?

C:만들었어.喋ってるねん。こっちいったらなタカリ船でな、こっち来たらな、助け船や、言うてから、同じ船でも所変われば品変わるっちゅうねん(笑)

F:所々で機能がね、

C:そうそう。だからそんな馬鹿げたこというたり、帰国者はよくそういうこと喋るの。

F:手紙でこれ送ってほしいなというのは送ったことが?

C:そういうのは手紙に書いて。だからスケート靴とかあんなん送ってきた言うてるやん。

F:そっかそっか。そしたらホッケー来たんでしたね。

C:ホッケー来たからこれあかん言うてから、言えばまた後で来て。

F:スポーツするにも全部送ってもらわないといけないんですね。

C:そうそう。そこにあるやつはあるけど、

F:あんまり良いもんじゃなくて

C:そうそう。やばい。日本製言うたらもう、あん時まででもすごいじゃん。

F:운동복とかも全部ですか。

C:そうそうそう。みんな送ってきてくれたの。

F:そうか。私やっぱり印象に残るのは、脱北された時に電話したら、妹さんが、

C:ばーって、サチコの旦那さんに切られたんや。

F:どんな様子だった?

C:様子もなにも、「良い加減にしなさい」って

F:やっぱり어렵게 어렵게荷物を送ってくださってたからですかね。お母さんが別に儲けてたりしてたわけじゃないでしょう?

C:そう、妹たちも送ってくれてたんだけど、私言うてるやん。お母さん死んだのに、電話かけてもお母さんのために大変やった、どうもありがとうとかいわなあかんのに、

F:それどころじゃないですもんね

C:それどころじゃないよ。縁の下に隠れてな、その台所に火たくところあるやろ。そこに木をこう、開けて、その下に入って電話あけてるわけや。だから안녕하십니까とかさようならとか、そんな騒ぎじゃないの。私今お金が必要ですって。そこから言ったから「良い加減にしなさい」てばーんって切られた。そりゃ私もその気持ちもわかるけどね。うん。

F:ショックですよね。

C:だから私が日本に行って妹の家に行ったわけ。探していった。私が韓国でいる間に電話かけたのよ、妹んとこ。そしたら私、あの、どうにか韓国に入ってこれた言うて。電話かけたわけよ。そしたらその電話受けて、そのサチコの旦那さんが아마私来たら困ると思って、したのかしらないけど引っ越していなかった。その家全部だして、引っ越していなかった。

F:そこからは連絡もうつかない?

C:電話番号もみんな変わって。

F:そうですよね。

C:逃げられた。だからもう、理解するけどな。

F:肉親やのに、

C:肉親が問題じゃないよあんた、私お母さんの血だけが通ってるだけで一緒に暮らしたわけじゃあるまいし、ただ血が通っています、はいそうですか、お金バンバンくれるアホがいるか?これまた日本も今不景気やで?

立派な家やったよ、わたし(妹の家に)行ってからね。不動産にこれ出しますって旗が立ってたよ。その旗の番号書いてきたけど、何しろ旗がたってた。その向かい人にちょっと聞いたんや。ここのお宅ね、どちらの方に引っ越しましたかって言うたら、そのおじさんがちょっと待っててくださいって、聞いてきますからって入って行ったんや。入って出てきたら、ころっと言葉が変わってた。そこで電話で、誰か訪ねてきたよ言うたら、(妹のが)知らん言うてくれ、言うたんやろ。せやから出てきて、急に、どこ行ったか知りませんって、急にぱっと変わって。そのおじさんが優しかったのに急に冷たくなっちゃった。ああ、向こうで連絡がきたんやなって。それでそのまま帰ってきた。東京行って。だからもう、冷たく当たられてもしょうがない。だからね、自分の兄弟に冷たくされたけど、他人に100万送ってもろて、助けてもらったから。

F:気になっているのは、一緒に帰国したアボジ。一緒に帰国したアボジ。もちろん結婚されてからはあんまりしょっちゅう暮らしたりはなかったと思うんですが、どんな風に暮されて?

C:だからそう言う建設なんか、その、부두막とかそういうさ、修理しながら仕事してたけど、歳になってもう65になって。60すぎたらね、61からは仕事しないのよ。

F:それまではご健康にくらされた?

C:そうそう。それなりに。

F:誰とくらしてた?

C:お姉ちゃんお嫁にいってね、ご飯する人いないじゃん?だからお母さん、地元の人。なんか원산で旅館の食堂で働いてたおばちゃんや。うちのオッパが旅館のおばちゃんと仲良くなって、ものすごくこのおばちゃん綺麗でな、色が白くて綺麗でものすごく品があってね。昔金持ちやったんや。だから成分が悪いいうてな、だいぶいじめられたみたい。だから、

F:昔金持ちやったら成分が悪なるんですか?

C:地主とかな、なんかそういうの、成分が悪いのよ。昔のあの、資本家とか地主は成分が悪いのよ。だからうちのお母さんはちょっとええとこの娘やったみたいや。だからなんや、品があった。指輪も金の指輪してるし、ほんでなんかのためにお姉ちゃんがどっかから遊びにきたのに、あんた、真っ白な麻の첫상あるやろ。あれ着てからこうやって巻いてからな、ふわってして。それこそあの、朝鮮の地主のおばさんや。このおばはんらは、家族全員がええ生活してたんやな思った。うちのお母さんな、二度目の。うちのお父さんが二度目に結婚した人。そのおばさんは本当に地元の人やけど、まぁ、帰国者以上に垢抜けてた。おばさん自体が垢抜けてた。料理もすごくうまいし、やさしいし。何しろうちのアボジのあのうるさいのでもうまいこと合わせてな、やってたもんね。だからわたしはすぐお嫁にいってしもうたから、それ以来あれやけど、うちのお父さんがそのおばちゃんと、一緒に문촌で暮らしたわけ。なのに、문촌のこの市内じゃなくて田舎の方に引っ越していったわけ。畑仕事するって言って、歳とったから。歳とったらやることないじゃん。市内の方はやることないから、そこからちょっと外れたとこな、田舎みたいなとこに行って、二人で暮らしてたんやて。そやのに、だんだんうちのお父さん、私うちのお父さんに似てるみたいやからな性格が。お父さんが急に、うちのお母さんの、その、二度目のお母さんに怒ってから出ていけ!言うてからこのおばさんを追い出したわけよ。

F:なんと!

C:なんでそうしたかわからなかったんやけど、うちのお父さんが、一人で自殺しようと思って。なんかどこか悪かったみたい、体が。だからずっといたら、寝込んだまんま、お母さんに迷惑かけるかと思って、自分で死のうと思って、お母さんを喧嘩してわざと追い出したわけ。そのお母さんがうちの飲兵衛のお兄ちゃん、あそこに行って暮らしたわけよ。この、暮らしたというより何日かそこ行って迷惑やけど行ってたわけ。それで、やっぱり長いことおったらあれやから、近所の人が行ってみたら中から鍵しめてたって。うちのお父さんが、中から鍵閉めて、誰もドアを開けられないようにしてたって。それで1週間後には死んでたんやな。うちの、その近所の人から連絡が来てから、みんなが行ったんや。そしたらお父さん死んでた。だから自殺したんや。お母さんを追い出して、自分ひとりでしのうと思って、中から鍵閉めて、ずっと、食べないで、단식.

F:단식으로 돌아가셨어요?

C:단식して死んだ。

F:それがきっと、本当に精神的にも疲弊して、

C:普通の根性じゃないとできないよね。

F:生きようという気持ちがもうない状態ですよね。

C:そうよ。

F:それはいつ頃の話ですか?

C:ずっと昔よ、うちのお父さん73で死んだんや。だからあんた、私がいつもおもうのが、今が私73よ。ちょっとちょっと、私ね、あの李○さんが捕まって行く時さ、夢みたんや。ちょうどこの人が捕まってった後。まだみんなつかまってないこの人だけ捕まっていって、何人か入ってる時に夢みたんや。夢をみたのに、松の木が一本あるのに、松の木が二つある。夢やで?

一つの松の木には、魚のブロックを凍らせた、蜘蛛の巣がぶわーってなってるわけ。魚が、蜘蛛の巣。もう一つの木はね、松の木なんやけど、そこにはそういう魚がなくて、かちんかちんの木でな、ツルツルみたいな、そういう部屋の中で、土台に立てたりするやん。きゅーんって、何しろ硬い硬い。葉っぱが何個かついてるしな。こっちは葉っぱがない、蜘蛛の巣だけいっぱいあって。私はどっちの道に行ったらいいんかっていう夢をみたんや。聞いて。それはもう完全に覚えてるわ私。その時危ない時やからもう。私もなんとか捕まって入った、出てきた時や、小さく。3日入ったとか4日入ったとかそういう時に、夢みたんやから。その李さんが入ってきとる時やし。その時に夢見たんや、こういう木の夢みたんや。魚腐った魚と、青々とした葉っぱね。松の木の葉っぱ。どっちも選ぶかっていう時にうちのお父さんがな、真っ白の、死んだお父さんが真っ白の服きて出てきてたわ。私そういうあんまり夢みないのよ、夢って。私がお父さんにいうわけね。「お父さん、お父さん、これどっちの道に行った方がいい?」って聞いたわけ。そしたらお父さんが、それはお前が思った通りの道に生きなさいって。うちのお父さんはっきりそう言った。それで終わったわけ。夢が覚めた。

私はね、自分一人であれするのはあれやから、占い師、その占いのおばさん手相もよう見るから、行ったわけよ。行って私のこと言ったわけ。そしたら、あなた自身がそういう占い師だっていうわけよ。その占い師が。私が占い師だ、そうやって持って生まれてきてるんやて。だけど私はそういうのしようともしないし、あれやからこのおばさんが、お前の考えてる通りにしたら間違いないッちゅうわけや。このおばさんが。だから、私は、考える通りした。この李さんという人が、大きな食堂持ってたわけや。

F:油、撒けるくらいですもんね。

C:そうそうそう。大きな食堂な。

F:何食堂?

C:食堂って決まってるねん。みんな同じやつ。불고기찌개やな。なんかい色んなの売ってるよ。カレーとかなんかそんなの。オムライスとか。簡単なやつや。なのに、私がそこで、やぁC、そこであんた、若い子たちのなんか班長みたいな感じにな。そうやっていってから、入ってやろうかなと思っていた時にこういう夢を見たから、あ、私はこの店にはいらんとこって。気持ちがなんとなくね、入らなくてよかった。入らんとこって、その夢がな、教えてくれたもんね。ほやけど、すぐ追い出されたやろ?銃殺されて追い出されて、私も、3ヶ月入ってたけど、何しろ生き残ったやん。だから、あの松の木は私が生き残る夢やったんやなって思ってん。もしこっちのこの、魚があるとこの方に行ったら、見栄えは魚が大きくあるけど、蜘蛛の巣やからな、そっちに行ってたら私も銃殺の方やな。(笑)だから夢ってばかにできないなって思った。

F:アボジの言葉が重たいですね。「思った通りにいけ」って。それはアボジの人生でもあったような気がして。

C:うん。なんとなくね。

F:祖国のために帰国を決めて、

C:そう。

F:思ったままに。子供達を連れてね。

C:お父さんがそんな性格やからな。自分の思った通りにやってたけど、私も思った通りに行けっていうわけよ。だけど私は自分をじっと見たらこっちの魚よりはこっちの葉っぱの方がええなと思って。魚はやめてこっちにしたわけよ。魚のなんで、あんた、蜘蛛の巣だらけやのに気持ち悪いもんね。誰だってこっち行くわな。

F:そういう様子もしっかり覚えているくらいの?

C:綺麗にはっきりしている。今でも。で、私がこれを占い師に言ったら、あんたはあんた自身が占い師なんやでって。それでここ来れたやんか。な?そやから、원산시にいる帰国者たちは、へえーって思う。私だけやから。あの、どさくさ騒ぎでみんな追放されて、殺されてしてるところにいた私が、今度はトントン拍子に韓国行って日本に行ったっていう噂はちゃんと入ってるわけ。

F:でしょうね。

C:みんなが見るわな。へぇ、あの人言うて。だからあのおばはんの言うてる通りや。

F:そうですね。

C:うん。だからあのね、その、なんや여독に行って帰ってきた人ね。お金出して。 F:여독に入ったその家族たちはね、(出て来たあと)C선생님に対して何も言わなかったんですか?

C:여독に行った人たちは、もう言うも言わないもそのまま여독に行くんやから私のこと言う暇もない。ただ男の人たち。銃殺された男の人たちが、私のことを言うて、この女の人たちは連れてきて、言わしたり、そうじゃないの。

F:状況がわからないのか。

C:ただもう、追放。

F:いえいえ、出てこられたあとですよ。

C:ああ、出てこられたあと、そんなこと言わへん。なんでか、自分らの旦那さんが入ったもんやで。罪もないのに入ってるのわかってるのに、私のこと何を言うことあるのん。ましてわたしはやばいことしない女なのに。集まってややこしいこと言ったら。一時この若い子らたち、軍隊のなんか、事件があったんや。名前がなんやったかな、

F:いつくらいの話ですか?

C:だから90年代や。なんか大きな事件や。김…名前なんだったかな。スパイだったとかなんとか言って大きな事件になった。その軍隊の事件ある。その時代に。ほんでそれをみんな、帰国者なんかは座ってあんた、そこらへんにもう무슨 간첩이でなんとかなんとか言ってる時、私がそこに行って、素通りしながら、トイレ入って出てきながら、ちょっとしたらうちらがスパイって言われるで、って言うたの。まったくそうなった。だから何とない勘でパッと言うのが、それが当たってしまうのね。わしも気持ち悪いで。そのうちうちらがスパイって言われるでって、何をあんた誰をスパイだとかなんとかとか言うとるんやって。だから何気なしに喋るのは怖いの、私。

F:なんか私ね、前半のお話ではすごく北の社会に適応されてるのかなって思ったんですよ。郷に入っては従えなのかなと思ったんですけど、それよりも冷静に、客観的に、その、そこに適応できない人たちが、文句を言うたりしてしまうところを、見て、 C:それが、私ら若い時に、二十歳の時に(田舎の追放に)行かされたじゃない。それがいい経験やったんや。それが私のいい経験だったの。ちょっと歌歌っただけで連れていかれる、1年間。だからどこ行ってもそういう風に朝鮮は気をつけなあかんっていうのがちゃんとあったんよ。はじめからそういう頭になってたんよ。

F:ええ、でもそれは誰もができるわけじゃないですよね。

C:でも、1年そうやってやられたら考えるやろ?朝鮮というところは怖いところやって。ギター弾いただけでも連れていかれるんやってわかるわな。だから常にね、朝鮮いうところは政治的には決してやばいこと言ってはだめだということは頭から항상 있었어.

F:覚えてます?一番はじめに「これはやばいんや、気をつけなきゃ」と思った経験?

C:それが20歳の時に2番目の女の子を産んで、おぶって田舎に行った時の経験や。ここは、やばい。

F:それまでは貧しいけど、別に、

C:そうそうそう。

F:まぁ、頑張るか、という気持ちだった?

C:その二十歳の前までは知らなかった。

F:なるほど。でも、じゃあ、子供の時の教育の違和感がなかったのは朝鮮学校と変わらなかったからですかね?

C:朝鮮学校なんか行ったら、算数国語とか教えてるだけで思想なんかないからね。小学校のころは。

F:思想の教育を受けた記憶は?

C:思想の記憶は朝鮮に来てから、ね?そりゃもう、수령님한테 복종하라とか。

F:학습시간とか。

C:それはある。こっちから聞いてこっちからよ。全然聞いてない。

F:やり過ごすか、

C:聞かない、聞かない。帰国者で、私みたいなのはなかなかない。だから、脱北した帰国者の中で、私みたいなこの、こういうあれは、ケースはなかなかない。政治的な問題、ちょっとのことであれやいうて、入ってね。ちょっとのことで。

F:捕まって生還する人って、誰々が捕まって死んで言った話は伺うのですが、初めてのお話ばかりでした。

C:この事件は帰国者の団体のな、総連の、それも、総連やで、北朝鮮の味方の総連を固まって敵にして殺したから、すごい問題や。日本ではもう、皆総連やめましたっていうてから、手をあげた。

F:そうですよね。

C:それから総連で手を出して、やめた人がすごく多いのよ。

F:その後拉致事件もわかり。この事件は総連社会にも結構大きく?

C:うん、総連に響いた、これは総連に響いた。

F:李○さんの事件は特に?

C:そう、みんな総連やもん。중앙녀맹위원장とかさ、もうほとんどなんか、どっかの滋賀県やったり青森だったら青森、そこらの委員長とかね。なんか総連の幹部の子供らや。捕まって行ったのは。だから幹部の子達は強がって麻雀やってたやん、怖がらない。

F:自分たちは大丈夫だと。

C:成分がいいと。

F:日本にバックがあるから、大丈夫って思っていた。

C:だから、座って麻雀やって。だけど、それはギッチョンチョン。変なこと喋ったから。そんなかの一人が喋ったから、全部あれ(粛清)されたんや。それ喋った人が、私が2年入るようになってた時、男の人一人いたっていうてたやろ?

F:亡くなった、

C:そう、死んだ人。その人がまず言って、それをばらした.んや。Yさんっていう人が。その人からの始まりや。政治問題。臆病者やねん、この人が。

F:いやぁ、まだまだ質問はあるんですけど、また来ます。また会いに来るので、生きててくださいね。

C:はいはい。

F:約束してくださいね。

Interviewer: Rina Hong

Interviewee: Choi Bok Sil

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Transcript Notes


  1. Chongryon is the General Association of Korean Residents in Japan, one of two Zainichi Korean organizations in the country, with ties to North Korea.

  2. Mindan is the Korean Residents Union in Japan, the other Zainichi Korean organization in the country, with ties to South Korea.

  1. Given that Choi Bok Sil was only a child when she returned to North Korea, consider the differences in the Cold War experiences across various generations of Zainichi Koreans from Japan.

  2. What does the fact that Choi Bok Sil’s parents supported differing sides of the Korean War suggest about the nature of Zainichi Korean society during the Cold War? Discuss its implications for the study of the Cold War in Asia and how it challenges the traditional historiography of the Cold War.

  3. Discuss how gender and social class intersected to shape Choi Bok Sil’s Cold War experience?

  4. Consider how relations, ideas, and exchange covertly continued across the 38th Parallel, and what that suggests about the nature of the Cold War in the Korean peninsula.